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#同一性

海辺のカフカ

海辺のカフカ

 10年ぶりに、村上春樹の「海辺のカフカ」を読んだ。「ああ、この話には、こういう意味があったんだ」と改めて気づかせてくれる小説って、なかなか無い。

 たとえばオイディプスの挿話。以下、わたしの記憶に拠りますが、
 ーーかつて、人間は男男、男女、女女として幸せに暮らしていた。しかしある日、神が彼らを半分にすっぱりと切ってしまって、彼らは自身のかたわれを探してさまようことになった。

 これまでは「

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