【自動車産業】戦略を失敗したフォルクスワーゲン
10年前、輸入車といえばフォルクスワーゲンだった。輸入車としては手頃な価格、安定した走行性能で人気だった。でもメルセデスとBMWが小型車に参入し始めてから、徐々に存在感が薄れて、今では台数が越されている。
フォルクスワーゲンが勢いを失ったきっかけとして、2015年に発覚したディーゼルゲート事件というものがある。認証受験をする際に専用のプログラムになり、排ガスが少なくなる様に改造していたのだ。
この事件が明るみになったあと、フォルクスワーゲンはディーゼル開発から手を引き、EV化に舵を切った。中国の販売比率が元々高かったフォルクスワーゲンとEVを普及させたい中国政府との利害が一致したのも理由かもしれない。
しかしそのEV開発で、電池というキーデバイスを自社開発できないフォルクスワーゲンは競争力のあるEVを作れず、中国市場で惨敗状態。そして今の経営不信に至る。
元々ディーゼルに舵を切ったのも、トヨタのハイブリッド車に勝てなかったと言う背景がある。そう、欧州は勝てなければ頑張るのではなくルールを変えようとする文化がある。
ルールに合わせて頑張ろうとする日本人とは対照的な感覚。日本は信長の日本統一から今に至るまで、全国を統一する政府があるが、欧州は国境を含めて今も争いが絶えない。ルールは勝ったものが決めると言う文化だ。そして勝てなかったら他のルールで勝負する。
ビジネスで勝てないルールで頑張り続けるのがいいとは思わないが、勝てなかったらすぐにゲームチェンジをしようと思うのも違う気がする。とるべき戦略は原理原則に沿って何がベターなのかを技術的な視点と社会的な視点の両方で判断する事だと思う。