#91 会社辞めるって妻に言ってみた。

 半年ほど前から家庭でも土日を使って副業として起業する仕事をしていた。私からは何も言わなかったし、妻も趣味の一環として見守ってくれていた。家族の会話の中では、今の仕事でなくても稼げればいいよね?という話をしたりして、何となく会社を辞めて起業することをほのめかしていた。

 しかし、会社の登記をして、来年夏ごろに会社を辞めようと思っていると妻に話をすると結果は大炎上。あと5年は絶対やめないでほしい、子供が小学校を卒業するまでは絶対無理、やめるなら離婚してほしい、離婚して私も働くなど、いろいろな意見が飛んできた。

妻の話を聞いて、多少揺れる気持ちがあった。今やろうと思っている仕事が順調に伸びていくかが保証がないからだ。だから夏ごろに業績を見てもう一度判断をしたいと思っているということを話したいのだが、最初の切り出し方がまずかったのか、やめるのを辞めない限り受け入れないという一点張り。

話はすぐに実家の家族にも伝わり、なぜ今の仕事ではだめなのか?もう少し今の会社で頑張ったらという意見が飛んできた。家族を捨ててまで自分のやりたいことをやるのは自分勝手など批判的な意見だった。そして副業であれば許してくれるらしい。

恒常性維持機能だと思った。

人は衣食住にかかわる根本的な危機を察知すると、今が生活できているのだから、そちらに戻る方が安全だと本能的に感じる。そしてそれは正しい時もあるし、間違っている時もある。

 現在私が勤めている会社はとても大きい。そして誰も沈むと持っていない。タイタニック号が沈没すると思っていなかったように、誰もが宴を楽しんでいる。だが、私はそうは思っていない。船底に小さな亀裂が入り始めている。その亀裂は頑張ればふさげるかもしれないが、このまま広がっていく可能性もある。

私は小さな救命ボートでも、自分が行先を決めて、ボートを漕ぎたいと思った。そして願わくばそのボートを少しづつ大きくして、安定的に航海したい。大きな船で人生を終えられれば、世界一周をするかのように、傍から見れば幸せかもしれない。でもその未来は少なくとも私には見えていない。

起業する人生を正しいものにするには自分が船を漕いでいくしかないと感じている。


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