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【設備設計】世代による働き方の違い

 戸建住宅をメインに担当されている建築士の方と話すと、修行時代の話を聞かせてもらうことが多い。40歳くらいの方が多いので、10~15年くらい前の話になるが、毎日夜の12時を超えるのが当たり前。休みの日も年間10日も無いくらいというのが普通らしい。今は是正されているらしいが、建築事務所は外から見るとインテリな感じがあるが、実際はインテリ+体育会系といった方が正しい。

自分が勤めていた自動車会社も15年くらいまでは結構ハードな働き方が普通だった。自分が入社したのは2007年。ぎりぎり団塊の世代が働いていた。団塊の世代は日本の高度経済成長と共に企業戦士として働いてきた人だ。その方たちがまだ現役として働いていた。

 今の職場に比べると昔の上司は、職場の空気がピリッとした感じで、私語を話してはいけない空気が生まれていた。ミスをすると30分立たされて説教を受けたり、描いた図面を赤ペンで真っ赤に直されたり、愛のムチを身近で見る事でその空気感が自然と生まれていたのかもしれない。

そんな上司も2010年代に入ると定年を迎えて、上司になっていったのは就職氷河期世代の人たち。非正規雇用が増えて、正社員の採用が少なかったせいか、出世競争もそこまで厳しくなく、順当にマネジメントをしている印象が強い。

 そして就職氷河期以降の1984年以降の世代が40代になり上司やマネージャーになろうとしている。高度経済成長、就職氷河期をリアルタイムで経験していない自分たちの世代は、勢いが足りない気もする。

 経済成長が止まった30年の日本で生まれ育ったせいか、この現状を維持することが普通だと思っている。世界を見れば日本だけが経済成長をしていないのだが、日本で生活しているとそんなことは感じずに大人になってしまった。世の中は自分の世代が作るのではなく誰かが作ってくれるものだという感覚もある。

 でも、何かを与えてくれる上司がいて猛烈に働く環境や、現状を維持するだけでよい暮らしが出来た時代は終わってしまった。実質賃金はこの30年下がり続けている。人手不足でどの職場も現状のシステムを維持することで精いっぱいな状況だが、我々に求められているのは現状維持ではなく、新しいシステムを構築することなのかもしれない。

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