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【設備設計】外注委託という誘惑とどう付き合うか?

 現在の日本の自動車メーカーの中で国際的な競争力があるのはToyotaだけになってしまった。今の礎は、HVという20年前のイノベーションがそのきっかけだが、なぜToyotaがHVというイノベーションを”実現”できたのかは、あまり語られることはない。

 1980年代までは技術の日産、販売のToyotaと揶揄されるように、技術力では決して優位性がある会社とは言われていなかった。ただ、Toyotaの経営方針として自前主義があり、どんな機能も自社で開発して、自分でできるようになってから外注するという方針があった。

 1980年代に普及し始めたABS(アンチロックブレーキシステム)という雪道で車輪をロックさせないという機能が普及し始めたときにToyotaは自前(内製)でソフトウェアを開発した。ブレーキの専門メーカーでもないToyotaが開発したABSの機能は決して優れているわけではないが、自社で開発した後も地道に改善をしてきた。

 ABSの機能そのものは、ベンツの後追い開発なので、会社の収益に貢献することはなかったが、その15年後、プリウスというブレーキとエンジンが協調するHVという機能の構想が出たときに、ABSを開発した経験のおかげで、それを実現できる開発力と環境が自社内にあった。

 そう、ABSの機能そのものだけを考えれば、Boschから購入するのが賢い選択だったのかもしれないが、自社でやる事でイノベーションを実現できる能力を身に着けることが出来ていたのだ。そして、その能力があったから、HVという理想的なシステムを短期間で”実現”することができたのだ。

 外注委託をしたくなる理由は2つあると思う

 ①自社でできるが手が足りないので外注先に委託する
 ②自社でできないので外注先に委託する

どちらも外注という点は変わらないが②を実施すると未来のイノベーションや機械を大きく損なう可能性がある。まずは自分でやれるようになる。そのあと①の理由で外注先を探す。短期的に成長するには②の方が利益が出るかもしれないが、着実に成長するにはまずは自社でできるようになることが大切なんだと思う。

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