【自動車産業】アイシンとデンソーの決算から見る中小企業の取るべき戦略
自動車会社では部署の名前をアルファベットの、頭文字で呼ぶ。シャシーはC、ボディはB、パワートレインはPといった具合。
かなり前の話だが、自動車の部署でHと言う部署があった。それは補器類を設計する部署だった。ワイパーやバッテリー、オルタネーターなど建築でいう所の設備を設計する部署だ。(今はE 電技と言う部署に改名されている。)
パワートレインを作るサプライヤーはアイシン、補器を作るサプライヤーはデンソーが最大手となる。そんな主要取引先の24年9月決算が発表された。
デンソーとアイシンで明暗がくっきり表れている。両社とも売り上げは数%下がっているが、純利益の下がり方がアイシンの方が90%近くなっている。
デンソーはこの10年ソフトウェア比率、他社販売比率を上げてきた。その結果、トヨタグループの販売が下がっても、収益に与える影響が少なくなってきている。一方でアイシンはトヨタグループの販売比率の高さ、電動車のe-axleの競合性の無さがトヨタグループの販売影響を大きく受ける構造となっていた。
デンソーの好決算から中小企業も取るべき2つの戦略があると思う。
1.受注先を増やす
慣れた会社とやる事は楽だし効率も良かったりするが、今のビジネスだけではなく、いろんな会社から受注を受けて売り上げを確保していくことで、1社からの受注が減った場合でも経営を安定させることが出来る。
2.利益率の高い分野に軸足を移す
デンソーはソフトウェアの販売比率を増やすという長期目標を立てて着実に実行している。ソフトウェアは原価が人件費のみで利益率が高い。最初から利益を出すのが難しいが、長期的には取り組むべき課題を先送りしていない事の結果が表れ始めている。
設備設計でも1.受注先を増やしたり、2.新しい設備の導入検討をしたり、いろいろとできる事はある。ただ、どちらの戦略も収益が悪くなってからやるのは遅すぎる。日々の業務や課題に追われる忙しい毎日だが、長期的にやった方がいいことを着実に行っていくことで安定した経営を目指したいなと思った。