スタートアップに行った友達はトイレで手を洗わなかった
学生時代、同じ学部で仲の良い5名ほどのグループで遊んでいた。田舎の大学だったのもあり、街で遊ぶとかそんな感じではなく、バーベキューをしたり、海に行ったり、スノボーに行ったりと大自然の中で遊んでいた。
そんな友達たちの進路は、私を含めた2人は自動車メーカー、1人はパイロット、1人は電気メーカー、そして1人は印刷会社にそれぞれ就職した。
印刷会社に行った友人はサッカーが得意だった。顔もハンサムでモテそうだったが、あまり浮いた話は聞かなかった。そんな彼と授業後にトイレが一緒になった。私は手をチャッと洗ってトイレを出ようとすると、彼は後ろをスーッと手を洗わずに出ていった。
少し小走りで彼に追いつき、聞いてみた。ねぇ、○○はなんで手を洗わないのか?と
そうすると彼は、あんなチャチャッと水を手にかけるだけで、ばい菌が落ちるわけない。そんな洗い方をするくらいなら洗わない方がいいと思うと答えた。
本質をとらえるということは、そういう事なんだなと振り返ると思う。手を洗う人の中で本当に手のばい菌を落とそうと思って洗っている人は何割くらいだろうか?
ばい菌を落とそうと思っていない人は、人から手を洗っていないと思われるのが嫌でササっと手に水をかけているだけ。そう、自分の見栄のために手に水をかけているのだ。それを見抜いてる友人にハッとさせられた。
その友人は印刷会社に勤めながら、中小企業診断士の資格を取り、10年ほど前に技術系ベンチャー企業の経営者となった。今でいうスタートアップだと思う。
本質を見る行為は年齢、性別、国、関係なく行うことができる。今の社会、会社のあたりまえを本質を見る事で覆す。こんな視点がスタートアップの経営者には必要なのかもしれない。
建築設備という業界に異業種から参入した私たちも、業界の方が見えない何かを見つけ、本質的な何かを社会に還元できたらと思う。