エッセイという土俵で相撲を取る【noteクリエイター紹介~番外編(2)】
どうも、両親が欠かさずテレビ中継を観るので少し相撲に詳しくなってしまったアルロンです。推し力士は宇良です。くまのプーさんみたいな可愛らしい顔と、トリッキーな取組が良いね!
さて、現在もりもりに盛り上がっている創作大賞2024。無数の作品の中から特に面白いものを探すのは困難ですが、見つけました。見つけてしまいました。
というわけで、【noteクリエイター紹介】番外編の第2弾です。
※番外編なので、二つ名はつけません。あしからず。
花丸恵 さん
おんなは股関節
本記事は、花丸恵さんが自分の体調を整えるために始めた蹲踞(相撲の基本姿勢の一つ)にまつわる痛快なエッセイである。
失礼ながらそれまで存じ上げていなかったのだが、花丸恵さんは創作大賞2023の恋愛小説部門で入賞された人。他のコンテストでも受賞歴があるので、素晴らしい物書きに違いない。
はじめに、朝ドラ「おんなは度胸」の話が出るが、僕はそのドラマを知らない。
調べてみると、泉ピン子や藤岡琢也が出演していた。もはや「渡る世間は鬼ばかり」じゃないか。しかも原作は橋田寿賀子。もはや「渡る世間は鬼ばかり」じゃないか。
しかし、花丸恵さんは「渡る世間〜」の話題に露ほども触れず、早々に股関節の話に移る。語り出しが斬新かつ潔い。
花丸恵さんは、生理前後の体調不良に悩んでいた。
僕が男性というのもあってか、女性特有の“生理”については知らないことが多い。40代になっても生理は来るとか、生理の前後で体調不良を感じるとか、まずそういう知識がなかったので、非常に勉強になる。
しかし、体調不調になってもやらなければならないことがある。その思いから少しでも体調を良くしようと考える点が、人として素晴らしいの一言に尽きる。体調が良かろうと悪かろうと洗濯物や洗っていない食器の山を作る「プロだらしない人」の僕には、彼女がまぶしくて見えない。
生理前後の体調不良を改善するには、股関節をほぐすことが大事らしい。生理には子宮や卵巣が関係するからその周辺にある筋肉や関節をほぐすと効果的、というわけなのだろうか。なるほど。
ここで冒頭の「度胸と同じくらい、股関節は大事」が回収された。
この後、股関節から相撲に発想が飛ぶ。確かに、四股踏みなど相撲の所作には股関節を開くものが多い気がする。股関節といえば相撲、相撲といえば股関節である。
その中に、花丸恵さんが体調を整えるためにチョイスした蹲踞と呼ばれる座法がある。
相撲以外に、剣道などでも使われるポーズだそう。体幹が鍛えられることに加え、柔軟性アップ、骨盤の歪み改善、姿勢の改善、腰痛や背中のコリの解消、美脚化やヒップアップなど、良いこと尽くめである。めっちゃいいじゃん。
知識だけ取り入れてもしかたない。実践することで理解力はより上がるはずだ。
というわけで、YouTubeの動画を参考に、僕も蹲踞に挑戦してみた。
【参考動画】↓
これ、けっこうキツくない?
体を踵で支えるのが思った以上にキツく、足の親指に力を入れないとぐらぐらバランスを崩す。たった10秒でも、汗がじんわりと体を伝う。花丸恵さんはこれを毎日やっているのか…すげぇな…
しかし、ここで登場する夫が、いらぬことを妻に告げる。
「とうとう決意したんだね」
と。
花丸恵さんが「何が?」と返すと、
「入門」
と。
申し訳ないのだが、これには笑いがこぼれてしまった。夫の軽妙なジョークが、直接的に相撲関連ワードを介さずともその意味を伝えている。「とうとう決意したんだね」のパワーたるや、夫のワードセンスに脱帽である。
さらにその後に、
と続くのだから、いやぁ、すみません、面白いです…!
入門もやぶさかではないところが、花丸恵という人間の懐の大きさを感じる。有吉ゼミとか観ていると本当においしそうなんだよね、ちゃんこ。
そして怒涛のラストに入る。
見事である。相撲関連ワードをふんだんに使い、オチもしっかり相撲で締めている。ここがサンデーモーニングの収録スタジオだったなら、上原浩治の「あっぱれ!」が聞こえてきただろう。ステッカーも2枚分貼られるに違いない。
やはり創作大賞の受賞者は違う。物書きとしての手腕が光る、素敵なエッセイにあっぱれ!
この記事を知ったのは、創作大賞2023受賞者の秋谷りんこさんがシェアしていたのを見たからでした。
タイトルとトップ画像に興味を抱かずにはいられず、フタを開けてみたら、まぁなんと、めちゃくちゃ面白い!
知らなかったことが知れた上に、健康への意識も向上し、最後にはしっかり笑える、素晴らしいエッセイです。
読んで気持ちがすっきりする痛快エッセイ、未読の方はぜひ読んでみてくださいね!
花丸恵さん、素晴らしい記事をありがとうございました!
【余談】紹介記事のトップ画像、ヒッポリト星人によってブロンズ像にされたウルトラ戦士たちを思い出すので、少し切ない。
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