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ウルトラマンガイアと遠回りなチャリティ

「ウルトラマンが東日本大震災の被災地を訪問」
というニュースを観たことがある。

僕はウルトラマンが好きだ。子どもも大人もみんな知ってるヒーロー。ウルトラマンがやってきたら、やっぱり嬉しいのではないだろうか。ウルトラマンはいいぞ。

ウルトラマンにもいろいろいる。僕は主にセブンやジャック(帰ってきたウルトラマン)を推している。しかし、今回この二人の兄さんは登場しない。別の機会に10万字ほど使って紹介させていただこう。

この記事で紹介したいのは、ウルトラマンガイア、さらにいうとそのオープニングテーマである。


この歌詞のサビが、僕はとても好きなのだ。

ギリギリまで がんばって
ギリギリまで ふんばって
どうにも こうにも
どうにもならない そんな時
ウルトラマンがほしい!

『ウルトラマンガイア!』歌詞(一部抜粋)


ウルトラマンシリーズの各話の展開といえば、

日常のワンシーン

怪獣出現

ウルトラマン登場

ウルトラマン勝利

というのが定石だ。

しかし、【怪獣出現→ウルトラマン登場】までがけっこう長い。それはウルトラマン自体の活動時間が短いからというのもあるが、防衛チームが必死に戦っていたり、怪獣と特別な関係のある子どもが奮闘していたりと、ウルトラマン以外が一生懸命がんばっているからでもある。

自分のできることは、ギリギリまで自分でなんとかする。
でもだれにだって限界はあるから、そんなときには助けてほしい。
ウルトラマンガイアのオープニングテーマはそういう歌なのだ。


これは、災害時における「自助・共助・公助」の考え方そのものだと思う。

自助とは、自分自身の身の安全を守ること。
共助とは、地域やコミュニティといった周囲の人たちが協力して助け合うこと。
公助とは、市町村や消防、都道府県や警察、自衛隊といった公的機関による救助や援助のこと。

僕は10年近く地方公務員(町役場の職員)をしていた。公助の立場だ。実体験でいうと、北海道胆振東部地震の際、避難所設営の任に当たったことがある。幸い、その地域に大きな被害はなく、避難所に来る理由のほとんどが「スマホの充電」だった。

もしこれが、地域一帯がめちゃくちゃになるほどの被害だったとしたら、避難所はてんやわんやだっただろう。食料や防災グッズは一通り備えてあるものの、全住民をカバーするほどの余裕はなかったと思う。
そもそも、避難所に来れたかどうかもあやしい。役場職員だってせいぜい150人くらいしかいないんだから、「役場が住民全員もれなく救助」というのは無理がある。

どうしたって、公助には限界があるのだ。


だからこそ、「できる限り自分のことは自分でなんとかする」という考え方は重要だ。災害グッズを備えたり、避難訓練をしたり、自分が助かるために行動する。そしてそれは、未来の自分への援助、ひいては共助や公助の負担軽減につながるのではないだろうか。

自分がいつ被災者になるかわからないんだから、被災者になるかもしれない自分に援助するのは決して悪いことではない。
それに、公助の負担を軽減することは、一般住民が思っている以上にありがたい。公務員だって同じ被災者なのだから。

つまり、遠回りなチャリティだ。


「情けは人の為ならず」ということわざがある。「人に親切にすることは、その人のためだけではなく、巡り巡って自分に戻ってくる」というような意味だ。
今回の話はその反対で、「自分に親切にすることは、自分だけではなく、ほかの人にも波及する」といえるのではないだろうか。

もちろん独りよがりや傍若無人はもってのほかだが、チャリティに対して変に気取らず、等身大の自分で最大限の行動をすればいいと思う。


それでもダメなときは、きっとウルトラマンが助けてくれる。


(おしまい)


【参考】




本記事は、リレーエッセイ企画への参加記事です。
小林潤平さん、PJさん、素敵な企画をありがとうございます!


リレーということで、紫吹はるさんからバトンを受け取りました。
安心してください、数十万円の怪しい壺なんて売りつけられてませんよ。


で、今度はバトンを渡すと。
どうやら次はリィさんが受け取ってくださるということです。後任を選ぶ手間が省けた。


最後までお読みくださり、ありがとうございました!


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