忘年会で逆ナンパされた話
12月だ!年末だ!忘年会だ!
10年前(公務員2年目)の年の瀬は、職場の忘年会が3回あった。狂気の沙汰である。なぜそんなに年を忘れたがるのか。
答えは簡単。ただただ酒が飲みたいだけ。
記念すべき初回は、当時の職場近辺ではなく、車で片道1時間かけて大きな街に繰り出した。
しゃぶしゃぶをたらふく食べ、二次会と称してとあるバーへと移動する。バーといっても、シックで大人な雰囲気のそれではなく、賑やかなクラブ的バーだった。
僕は数日前にビンゴ大会で当選したデジカメを、この二次会の場で初披露した。ちょうど上司Aが広報担当だったので、初期設定やらなんやらをやってくれた。
さて飲み物を注文しよう。
しかし、メニューに書いてあるアルコールは、ほとんど見たことも聞いたこともない名前ばかり。
当時23歳のナウいヤングだったので、無理もない。
カミカゼ?なんかカッコいいな。
ギムレット?ガオガイガーに出てくるやつ?
ブルドッグ?「ニッチもサッチもどうにも」のアレ?
XYZ?ドラゴン・キャノン?
まぁ、飲めればなんでもいいや。すいませーん、フォーリーブス・・・じゃなくてブルドッグくださーい!
※アルロンは、ハイボールやウォッカベースカクテルが好きです。
◇
ワイワイ飲んでいると、上司Bが席を立ち出した。
「ダーツやろうぜ」
それもそのはず、このお店はダーツとビリヤードが設置されていたのだ。
しかし、僕はどちらかというとビリヤード派だったので、それはそれは丁重に「あ、僕ビリヤードやるんで」とお断りした。
幸い、上司Cが一緒にやってくれることになったので、ビリヤードぼっちは無事回避。
ビリヤードはけっこう好きで、公務員時代はよくアミューズメントパークでビリヤードを嗜んだものだ。まぁ、ヘッタクソだけど。
下手なりにビリヤードを楽しんでいると、声をかけられた。
「ビリヤード教えてくれませんかー?」
声のした方向に振り返ると、見た感じ30過ぎくらいの3人のお姉様たちが。
これが俗に言う「逆ナンパ」か!!!
ドギマギしながらお手本を見せる。いや、僕もズブの素人なんだが。
そして、上司Cが忽然と姿を消した。辺りを見回すと、カメラを構えている上司Aのそばにいた。
ていうか、なぜカメラを構えているのですか、上司A。
お姉様たちとビリヤードをしている僕を、上司Aは激写、激写、激写した。
僕は戸惑いつつも、お姉様たちに手取り足取りキューの扱いを教えながら、ビリヤードを楽しんだ。
ひとしきりビリヤードを楽しんだお姉様たちは、「ありがとー!」と手を振りながら去って行った。
あれ?これで終わり?そこは「せっかくだし、一緒に飲みましょうー!」じゃないの?
いや待て、そもそもだね、これ逆ナンパじゃなくない?
ただビリヤードに興味があっただけだったのではないだろうか、彼女ら。
くううぅ、幼気な男子を弄んだのかぁ!許すまじ!
まぁ、こっちも団体で来てるから、あのまま誘われても困ったと思うけど。
そんなこんなで、忘年会Part1は幕を閉じた。
後にも先にも飲み屋で女性に声をかけられたのはこのときだけだ。
もっと話しかけてくれてもいいんだよ??