速報:2024年4月ドバイの大雨事例(2)
上層の状況や安定度を調べる前に、ドバイ国際空港を通過した5つの雷を伴った雲域の衛星画像を確認しました。UAE東部の西側またはすぐ近くで対流雲が次々に発生、発達した様子が見られました。これらの雲域の特徴についてまとめます。
この記事の衛星画像(赤外画像)は、EUMETSATのデータを利用しています。
5つの雷を伴った対流雲域の衛星画像の動画
ドバイ国際空港に雷雨をもたらせた5つの雲域について、それぞれ雲域の発生から空港を抜けた直後までの衛星赤外画像の動画をYouTubeにUPしました。どの雲域も空港の西で発生しており、この対流雲域が急発達している様子が見られます。
5つの対流雲域の特徴
雷雨期間A
ベルシャ湾沿岸で発生した対流雲が、東進しながら東西にのびる発達した雲域に組織化して空港を通過しています(図6)。その後オマーン湾に進みました。この対流雲域6時間程度の寿命のようです。
雷雨期間B
サウジアラビアの東部で発生した対流雲が東進し、雷雨期間Aの雲域より大きく組織化しました(図7)。UAE東部やオマーンを通過しています。その後オマーン湾へ進んだ後次第に弱まりました。この対流雲域は20時間以上の寿命があります。
この雲域の初期に、対流雲が南北に並んでいる様子もみられました。
雷雨期間C
雷雨期間Aとほぼ同じベルシャ湾沿岸で発生した対流雲が東進し、雷雨期間Aの雲域より大きく組織化しました(図8)。UAE東部やオマーンを通過しています。その後オマーン湾へ進み、対岸のイラン・パキスタン方面に抜け、他の雲域と一体化しました。この対流雲域の寿命は少なくとも12時間以上の寿命があります。
雷雨期間D
この対流雲は雷雨期間Cとほぼ同じエリアで発生、発達、通過しています(図9)。Cの対流雲が発達している頃に、Dの対流雲が発生していました。
雷雨期間E
発生は、他の対流雲域と異なり、南北に連なる対流雲でした。東進しながら発達してUAE東部やオマーンを通過しました(図10)。オマーン湾に入っても背の高い対流雲が見られ、対岸のイラン・パキスタン方面へ抜けても雲域は明瞭でした。この対流雲域の寿命は少なくとも12時間以上の寿命があります。
この雲域は南北に明瞭な境界があり、上層・中層から乾いた空気が侵入している可能性がありそうです。この雲域の西側では、発達した対流雲は見られなくなりました。
まとめ
衛星画像から5つの対流雲域の特徴がわかりました。
・全ての対流雲域は東進しながら発達しています。
・雷雨期間Aの対流雲域は他の雲域に比べてスケールが小さく、線状に発達した
・雷雨期間BとEは内陸で対流雲が発生、その他は沿岸部で発生
・雷雨期間CとDでは、発生位置や発達の状況が似ている
・雷雨期間BとEでは、発生期は南北に複数の対流雲が並んで東進
・雷雨期間Eでは、この対流雲の西側では対流活動が見られなくなった
この次に、上層の状況や安定度について記事にします。