【あなたがいるなら】
規則的な音が少しずつ速度を上げる
君の笑顔が瞼の裏に映る時は自分自身に感情が宿った瞬間
手を繋いでいるひとが誰かわからない
分かってはいけない気がする
君を忘れてしまいそうで
この人生に意味が無いのなら
君を失うことは無かったと思う
期待している自分がいる
君のそばにいることか
歩き出す自分なのか
君が居なくなってから乾いた砂の上を歩き続けている
砂漠か砂浜か区別がつかない
君を曖昧にしたくないのに
砂の上を歩いた分だけ輪郭がぼやけてしまって
この音が風なのか波の音なのかもわからなくなって
水筒の水も無くなって
夜になった
子供の頃遊んだビーズみたいな星たちが輝いている
寂しくない
君がいないから孤独とは無縁になった
眠る
足元が冷たくて目を開けるとすぐそこまで波が来ていた
行くよ
誰かに呼ばれて振り向いた
君の姿を重ねながら誰かの背中を追う
嗚咽を抑えて
僕は歩き出す
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