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患者様の想いを取り入れ導入へ 化学療法時の脱毛を軽減する頭皮冷却療法

 社会医療法人友愛会友愛医療センターの乳腺外科は、昨年六月に当時沖縄県で初めて化学療法による脱毛を軽減する頭皮冷却療法を導入した。同院乳腺外科部長の中島裕一先生に、頭皮冷却療法の特徴や県内初導入までの流れなどお話を伺った。

―これまでの先生のキャリアについて教えて下さい。
 島根医科大学を卒業した後、はじめは消化器外科を専攻していました。関連病院をいくつか経験した後、ステレオガイド下マンモトーム生検を学ぶ機会をいただきました。それを機に、乳腺外科を専攻にしました。
 その後、亀田総合病院(千葉県)で勤務していた時に、当院の非常勤医師である福間先生の紹介があり、沖縄県にやって来ました。

社会医療法人友愛会 友愛医療センター
乳腺外科部長 中島 裕一 先生

―頭皮冷却療法とは何でしょうか。また、どのような患者様が対象になりますか。
 頭皮冷却療法とは、「化学療法による脱毛を軽減するための対処療法」になります。抗がん剤治療は、頭皮で髪の毛を作る毛母細胞も攻撃します。頭皮冷却を行うことで、毛細血管が収縮し、毛母細胞に流れる抗がん剤量を減らすことで脱毛が軽減するといわれています。
 当院では、抗がん剤の投与の回数が決まっている術後補助化学療法と術前化学療法として、患者様にご案内しています。その際には、この治療法のメリット・デメリットをそれぞれ説明した上で判断していただいております。

―そのメリット・デメリットについてそれぞれ教えて下さい。
 最大のメリットは、やはり社会復帰が早くなることだと思います。この治療法は、脱毛が軽減される上、発毛の回復が早いと言われています。ただ、完全に脱毛を抑制するわけでは無いので、その点をしっかりと患者様にお伝えしています。
 一方、デメリットとしては、かなりの低い温度で頭皮を冷却するので、寒さや頭痛が生じることがあります。また、冷却キャップを長時間固定するので、下顎の痛みもあります。この下顎の痛み軽減のため、スタッフの協力をいただきながら装着方法を模索しました。

―県内初導入でしたが、その経緯や苦労したことがあれば教えて下さい。 
 患者様の要望があり頭皮冷却装置の導入を検討しました。当時、当院を来院していた患者様が頭皮冷却装置を受けたいと、一度県外の病院に行かれました。当院に戻り二つ目のレジュメを行う際に、是非導入してほしいという声をいただきました。県内で導入実績はありませんでしたが、当院ならその環境を整備出来るだろうということで導入を検討し始めました。
 やはり新しい試みでしたから、導入手続きが煩雑でしたね。また、自由診療なので価格設定に苦労しました。他院と比較しながら、化学治療の収益や治療時間、治療室の回転率を考慮して価格を設定しました。無事導入が叶い、様々な患者様に利用してもらえて良かったです。

―今後の展望やこれからやりたいことはありますか。
 頭皮冷却療法を導入して一年が経過しましたが、この治療法を選択する患者様が増えてきているのを実感しています。実際、脱毛が嫌で化学療法を行わず、癌が進行してしまうケースもあります。頭皮冷却療法は、患者様の不安を取り除く一つの選択肢で、最終的には癌を根治する目標のために寄与出来る機会であると考えております。

乳腺外科チームの皆様

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