レスポンシブ検索広告におけるABテストのあり方について
川手@RKawtr です。
Google 広告がレスポンシブ検索広告を導入し、はや1年が経過しました。しかしながら未だに拡張テキスト広告との仕様の違いに戸惑い、どのように活用していけばいいのか、悩んでいる運用者も多いのではないかと思います。
レスポンシブ検索広告とはどんな広告なのか
レスポンシブ検索広告とは、どのような広告でしょうか。Google 公式ヘルプでは下記のように記載されています。
レスポンシブ検索広告では、より豊富なテキストを使って、ユーザーに関連性の高いメッセージを表示する広告を作成できます。レスポンシブ検索広告の作成時に複数の広告見出しと説明文を入力しておくと、その後 Google 広告によってさまざまな組み合わせが自動的にテストされ、掲載結果が最も高い組み合わせが使用されます。レスポンシブ検索広告では、広告のコンテンツと見込み顧客の検索語句との関連性が高まるように調整されるため、キャンペーンの掲載結果の向上を見込めます。
旧来のテキスト広告、拡張テキスト広告とは異なる異質な広告です。見出し、説明文を複数設定しそれらが自動で組み合わさりテストされ、掲載結果に対して最も最適な組み合わせの広告が生成されます。
旧来の広告との違いは何か
旧来のテキスト広告、拡張テキスト広告は広告見出し、説明文が固定的であったため、単純に広告同士を比較し、どちらが優れているのか、劣っているのかを比較することができました。
ところがレスポンシブ検索広告では最大15の広告見出し、最大4つの説明文が常時変化し、最適な形を模索します。そのため旧来のような形での AB テストは困難ですし、広告見出しの固定機能を活用すれば従来のような広告に近い形での運用も可能ですが、それではレスポンシブである意味・価値・恩恵が薄らいでしまいます。
何故このような広告が登場したのか
まず、自分は以前に note(下記)にも書いた通り、Google はおそらく今後、検索連動型広告において、テキスト形式、ショッピング広告のような画像+テキストの形式以外のもの、画像、動画などが単体で「広告」として表示されるようになってくるはずではないかと考えています。
そのため「まずはテキスト広告のあり方を見直す」というのは、極めて自然な流れではないかと思います。
拡張テキスト広告の難点は、広告運用者・広告作成者の「思い込み」「意図」「癖」が広告見出し、見出しの位置、説明文に知らず知らずのうちに入り込んでしまうという点にあります。そうすると広告表現が固定化されてしまい、仮にテストしていたとしても、実際にはテストになっていないことも珍しくありません。
レスポンシブ検索広告はどのようにABテストしていくべきか
まず前述した通り、レスポンシブ検索広告では最大15の広告見出し、最大4つの説明文が常時変化し、最適な形を模索します。そのため旧来のような形での AB テストは困難です。ではどのように AB テストしていくべきなのでしょうか、またはそもそも AB テストをすべきなのでしょうか。
そもそも旧来の広告のような AB テストできる広告ではない
そもそもレスポンシブ検索広告は、人間が意図して広告効果が高い広告見出し、説明文をテストし見つけ出すことを想定し、設計された広告ではないと個人的には考えています。
例えば最終ページ URLが複数存在する場合、最大1つの広告グループに3つまでレスポンシブ検索広告を設定することができますので、つまり同時に3 URL まで、同一ドメインであればテスト配信するといったことは可能です。
しかしながら、見出しや説明文は常に変化します。「よくある露出のパターン」「各広告見出しの表示回数」などは管理画面上で確認することが可能ですが、旧来のテキスト広告、拡張テキスト広告のように「A」「B」と定め、テストするのは難しいでしょう。
ではどのようなABテストを行うべきなのか
AB テストが一切できないわけではありません。ただし単純な広告間の比較によるテストは出来ません。出来たとしても、意味がありません。例えば、広告見出しを複数固定し、固有のフレーズの価値をレスポンシブ検索広告を1広告グループの中に2つ作成し、比較検証するテストは実施可能です。しかし前述した通り、レスポンシブ検索広告の最大の魅力は「広告のコンテンツと見込み顧客の検索語句との関連性が高まるように調整されるため、キャンペーンの掲載結果の向上」させるという点にも、このような手動設定による介入は Google も推奨していません。以下はGoogle による「広告見出し」「説明文」を固定する行為についてのコメントです。
固定した広告見出しや説明文は、その特定の位置にのみ表示されるようになり、他の広告見出しや説明文はその場所に表示されなくなります。広告見出しと説明文の固定により、見込み顧客の検索に一致する広告見出しと説明文の総数が減るため、ほとんどの場合推奨されません。
話が少し逸れたため、ではどのような AB テストが可能かという点に話を戻したいと思います。
「よくある露出のパターン」を参考に拡張テキスト広告を作成する、広告見出しを複数パターンテストし、その結果広告効果が高いと思われる見出しを LP にも反映させるなどといった、単純な広告間同士の比較テスト以外のテストは実施可能です。
以前に AB テストに関する下記 note を書いた際に言及した通り、AB テストの成果は、如何に「前提条件の枠組み」をつくり出せるかにかかっています。
結論
「広告の AB テスト」というと単純に数種類の広告を同時に配信し比較する、単純な広告間同士の比較テストを示すと解釈している人は多いように思います。しかしレスポンシブ検索広告はそのようなテストには対応していませんし、物理的に工夫させれば対応できてしまうのですが、広告効果を最大化させるという点について考えれば、実施すべきではありません。
ABテストの目的は、多くの場合広告効果のより拡大、最大化にあるように思います。そのためレスポンシブ検索広告を使って広告効果の最大化を図る場合、レスポンシブ検索広告の仕様についてしっかりと説明でき、その上で前述「前提条件の枠組み」で述べたように、「どのようなAB テストを実施するのか」という点について、クライアント・上司・決裁者に説明できる能力が必要となってくるのではないかと考えられます。
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