シニアタイムズ第15話 「あなたの一番のお仕事は幸せになることです。」


新井さんの作品、お誕生日プレゼント。

パリ際という記念すべき日に
今年もひとつ歳をいただき、
70代という素晴らしい年代を
ひとつひとつ元気に重ねています。

働き始めた20代の私の目標、
それは、「幸せになること」でした。
仕事や、恋愛や、毎日の暮らしの中に、
小さな幸せの種を見つけて、
それを大事に育てることを、
心の畑仕事にしたのです。

仕事の中で見つけた幸せは、
自分が制作した広告作品で賞をとったり、
会社の中での職位があがったりする、
ことではなく、
努力をした分だけ、きちんと自分の中に
成長を感じられ、次にやるべき新しいことが
見えたことでした。

家庭をもって、子供をもってからは
自分よりも、家庭と子供を最優先するという
独身の時にはなかった、
柔らかな心が芽生えました。
愛を育む。
その動きの中にこそ、
幸せの種があったのだと、
この年になったらわかります。

ちょっと昔の話ですが、
娘のための指南書のつもりで書いた
「やっぱ、自分ブランドでしょ。(講演社)」という本に
講演会の参加者からサインをお願いされた時のことです。
相手のお名前の後に、いつものように
「あなたの一番のお仕事は」と書き、
ひと呼吸おいて、
「幸せになることです。」と続けたら、
それを覗き込んでいた女性が
突然ポロポロと涙を流したのです。
胸がいっぱいいっぱいだったのでしょうね。
いろんなことがあるかもしれないけれど、
「一番は幸せになることね」という
あまりにシンプルな言葉に心の澱が取れたのかもしれません。

私はといえば、
残された時間が気になる年代になったとはいえ、
まだまだ、幸せの種を育む心の畑仕事を続けます。
「もう、やり残したことはないよ」と言える日までね。

誰もがいつか来た道、
誰もがいつか来る道、
同じ道なら、愛いっぱいに歩いていきましょう。







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