ルーラーシップ×ディープインパクトはニックスではないけれど、牡馬産駒には走る配合があるよ!という話
イントロダクション
先日の朝日杯フューチュリティステークスを勝ったドルチェモアの血統表を見ていたときに気づいたことがあって、こんなツイートをしました。
キセキ、ワンダフルタウン、エヒト、そしてドルチェモア。重賞ウイナーであるルーラーシップ×ディープインパクトの牡馬産駒には共通項があるよ、という話。 pic.twitter.com/uZPNih0y1q
— ろくにー (@rk_ni_) December 19, 2022
きちんとまとめておこうと思ったのだけれど、年末の多忙によりなかなか時間が取れず、まとめるタイミングが遅くなってしまいましたが、業務が終わって一息つけたので、まとめることにしました。
ルーラーシップ×ディープインパクトはニックスなのか?
結論からいうと「ニックスではない」ということになります。以下、現3歳以上の中央競馬平地競走の勝馬率です。
![](https://assets.st-note.com/img/1672185978882-3ivJGKcqIM.png?width=1200)
以上のように父ルーラーシップ×母父ディープインパクトの産駒は、父ルーラーシップ×母父ディープインパクト以外の産駒より、中央勝馬率が劣っています。有意差はないですが、牝馬産駒で差が大きくなります。一方で牡馬(せん馬を含む)産駒では、若干母父ディープインパクトのほうが勝馬率が良好です。
とはいえ、今日(2022/12/28)時点で、母父ディープインパクトの牡馬産駒でG1レースを勝ったのは父ルーラーシップの2頭(キセキとドルチェモア)しかいないのも事実。そこで、母系の血統表を少し詳しくみてみることにしました。
![](https://assets.st-note.com/img/1672186219468-yvVdOxBd4l.png?width=1200)
ルーラーシップ×ディープインパクト配合の重賞馬の共通項とは?
まずはルーラー×ディープ配合の重賞勝馬4頭について、9代血統表の祖母の部分のみを切り出してみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1672186566282-AXwQyQggJm.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1672186642522-qWAjmI1fgm.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1672186701551-5s2As1NeVv.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1672186762071-f1Rg3UAA6R.png?width=1200)
4頭目のエヒトを除いては、Northern Dancerのクロスが目立つ程度です。ワンダフルタウンに至っては、6代目のVal de Loirがクロスするだけで、かなり異系度の高い配合になっています。
次に、この4頭のうち、共通項を示す上で最も典型的なキセキの9代血統表から、父ルーラーシップ側の9代血統表を切り出します。
![](https://assets.st-note.com/img/1672187847597-gSWoKa449W.png?width=1200)
最後に、父ルーラーシップ自体の9代血統表を。
![](https://assets.st-note.com/img/1672188066074-ZLVfXoAFqY.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1672188112860-XlF5G8OOE9.png?width=1200)
共通項がわかりましたか? 私が見つけた共通項は「4頭ともに祖母が持つNasrullahの本数が少ない or 祖母がNasrullah-free」(Nasrullah-Low)です。キセキ、ワンダフルタウンは祖母がNasrullah-free、ドルチェモアは1本だけ(Secretariatのラインから)、エヒトは2本だけ(9代では1本だけ。1本はSadler's Wellsの母系、もう1本はGrundyの母系)と、祖母の血統構成においてNasrullahの影響力が皆無 or 少ない構成になっています。
ルーラーシップ×ディープインパクト配合における「Nasrullar-Low」の意味とは?
ここからは自分の仮説に過ぎませんが、ルーラーシップ×ディープインパクト配合における「Nasrullar-Low」の意味は3つあるのではないかと考えています。
ディープインパクト自身がNasrullar-freeであること
ルーラーシップの祖母ダイナカールもNasrullarを1本しか持たないこと
ルーラーシップ自身はNasrullarの本数が多めであること(トニービンから2本 + キングカメハメハから4本 + ダイナカールから1本 = 7本)
言い換えると、父ディープインパクトの繁殖牝馬を使ってルーラーシップの良さを引き出すには、キングカメハメハ側の血を強調させずにダイナカール×ディープインパクトの伸びやかさを生かしたほうがいいのだろうと、私は解釈しています。
なお、私がツイートする前から、このことに気づいていた方が5chにいたことを付け加えておきます。すげーな。
![](https://assets.st-note.com/img/1672190215261-mRQsvl3O9M.png?width=1200)
あとがき(キングズレインの配合ってどうよ?)
今日のホープフルステークスに、父ルーラーシップ、母父ディープインパクトのキングズレインが出走するので、この投稿のコンテキストに沿って考えてみます。
![](https://assets.st-note.com/img/1672190050745-oksWjBoXJA.png?width=1200)
祖母リッスンはNasrullarを3本持っているので、ここでの「Nasrullar-Low」には該当しません。またリッスンの場合、ダイナカール、ディープインパクトではなく祖父Kingmamboを強調する配合になっているので、どちらかというとパワータイプになっていると思います。したがって芝G1の舞台で勝ち負けとなると、ちょっと厳しいのではないかというのが私の見立てです。
![](https://assets.st-note.com/img/1672190275181-9LpCFbh9v7.png?width=1200)
おまけ
今日のホープフルステークス、現時点における私の予想を。ちょっと変えました。
◎グリューネグリーン
○ミッキーカプチーノ
▲セブンマジシャン
△ハーツコンチェルト、ファントムシーフ、トップナイフ、キングズレイン
★ドゥラエレーデ