
ニュータイプじゃなくてもできる!M.A.V.戦術に学ぶチーム開発術
とあるマガジンへの記事で、モブプロ(ペアプログラミングの多人数版)への愛と感謝を語った。モブ(mob)って何?MAVと関係あるの?と問われ、ペアプログラミングやモブプログラミングと『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』に登場する戦術 M.A.V.との関連性をまとめることにした。
本稿が技術の平和利用につながることを祈る。
(* ニュータイプの説明はWikipediaに譲ります →Wikipedia: ニュータイプ)
M.A.V.とは
M.A.V.とは「ミノフスキー粒子下の有視界戦闘(モビルスーツ戦)において、二機一組で行う攻撃や戦術、またはその際に組む相方のことを指す」
Wikipedia: 機動戦士Gundam GQuuuuuuX
M.A.V.は、連携や役割分担を重視する戦術であり、下記の狙いや期待効果があると考えられる。
M.A.V.戦術の狙い
連携による戦闘能力の向上: 2機のモビルスーツがペアを組み、互いに連携しながら戦うことで、単機では困難な攻撃や防御が可能となり、戦闘能力が飛躍的に向上する。具体的には、一方が敵の注意を引きつけ、もう一方が死角から攻撃するといった連携や、互いに援護し合うことで防御力を高めるといった戦術が考えられる。
戦術の多様化: ペアを組むモビルスーツの組み合わせや連携の方法によって、様々な戦術を生み出すことができる。これにより、敵の戦力や状況に合わせて柔軟に対応することが可能となり、戦術の幅が大きく広がる。
ニュータイプの能力の活用: ニュータイプ同士がペアを組むことで、サイコミュなども活用した、より高度な連携や予測が可能となり、戦闘能力がさらに向上する。
M.A.V.戦術の期待効果
戦力差の克服: 単機では不利な状況でも、連携によって戦力差を覆すことが期待される。
戦局の優位性確保: 多様な戦術と高度な連携により、敵の意表を突く攻撃や防御が可能となり、戦局を有利に進めることが期待される。
ニュータイプの新たな可能性の開拓: ニュータイプ能力の新たな可能性を引き出し、その能力を最大限に活用することが期待される。
高度な技術や情報共有・連携の重要性、刻一刻と複雑に変化する環境への対応が求められる点は、テニスや卓球のダブルスやペアプログラミングにも通じる部分はある。ただし、ミスが機体の損失やパイロットの死につながる可能性がある点は大きく異なる。
チーム開発への応用
M.A.V.をチーム開発に応用する際には、下記の要素を考慮することが重要になる。
ペアプログラミングの強化:
前衛と後衛のように、ペアプログラミングでも明確な役割分担(ドライバーとナビゲーター)を設けることで、より効率的な作業が可能になる。
常に互いのコードをレビューし、リアルタイムでフィードバックを行うことで、品質の高いコードを維持する。
定期的に役割を交代することで、知識の共有とスキルアップを促進する。
相互支援と警戒:
ナビゲーターとなるペアの一方が常に状況を警戒し、潜在的な問題を早期に発見できるようにする。
互いの弱点を補完し合い、困難な問題を協力して解決する。
モブプログラミングの効率化:
チーム全体で共通の目標に向かって協力し、それぞれの専門性を活かして作業を進める。
リアルタイムな情報共有と意思決定を徹底し、迅速な問題解決を図る。
定期的な役割交代と知識共有により、チーム全体のスキルアップを促す。
情報共有と連携:
チーム全体で常に最新の情報を共有し、状況の変化に柔軟に対応する。
各メンバーの役割を明確にし、連携を密にすることで、効率的な作業を実現する。
戦術的な思考の応用
M.A.V.戦術の戦術的思考は、チーム開発にも応用できる。
目標の明確化と戦略立案:
開発目標を明確にし、達成するための戦略を立案する。
目標達成までの道のりを細分化し、各段階での目標と達成手段を明確にする。
リスク管理と状況判断:
常に潜在的なリスクを想定し、発生時の対応策を準備する。
状況の変化に柔軟に対応し、必要に応じて戦略を修正する。
振り返りと改善:
交戦後・試合後のように、開発プロセスを振り返り、改善点を洗い出す。
得られた教訓を共有し、次回の開発に活かす。
ニュータイプじゃなくても
もちろん、チーム開発にはニュータイプが不可欠というわけではない。ニュータイプじゃない私たちにも、彼らの直観的なコミュニケーションや状況予測の能力に近づくことはできるかもしれない。
高度なコミュニケーションと意思疎通:
ニュータイプのように、言葉を超えた高度なコミュニケーションと意思疎通を目指す!
チームメンバー間の信頼関係を築き、円滑なコミュニケーションを促す。
状況予測と問題解決:
ニュータイプのように、潜在的な問題を予測し、早期に解決策を見つけ出す能力を高める。
チームメンバーの専門性を組み合わせ、高度な問題解決能力を発揮する。
まとめ
M.A.V.戦術は、レーダー疎外粒子(ミノフスキー粒子)が散布された架空の世界『機動戦士Gundam GQuuuuuuX』での戦闘戦術だが、その根底にある考え方は、現代のチーム開発にも通じる普遍的なものと言える。連携、役割分担、相互支援、状況判断といった要素は、テニスや卓球のダブルス、そしてペアプログラミングやモブプログラミングといった開発手法とも共通点が多く、これらの要素を意識することで、チーム開発の効率と品質を飛躍的に向上させることができる。
ニュータイプのような特別な能力がなくとも、私たちも、M.A.V.戦術から学ぶべきことは多い。高度なコミュニケーション、状況予測、問題解決といった能力は、日々の訓練と意識によって磨くことができる。架空の世界から得られるインスピレーションを、現実世界のチーム開発に活かし、より良い未来を創造していこう!
さいごに
この記事は「組織を芯からアジャイルにする」をテーマに活動するコミュニティ「シン・アジャイル」が運営する note マガジン「【ほぼ月刊】シンアジャマガジン Vol.10」に向けて執筆した記事からのスピンオフです。本記事も同vol.10に掲載されています。