ある小さなチームのふりかえり
今回は、イテレーションごとのふりかえりについて、今、まさに取り組んでいる方法やツールを紹介する。
ふりかえり、どうしていますか
計画や実行したことに対するふりかえりは大切だが、慌ただしいイテレーションの中で、時間を取ってキッチリ行うのは、意外と簡単ではない。ここでは、ある小さなチームのふりかえりの半年余りの試行錯誤の結果をご紹介したい。
ふりかえりに限らないことではあるが、スクラムイベントを惰性でこなしてしまうようになると、意義は薄いものになっていく。
スクラムイベントはスクラムを効果的に円滑に進めるためにある。スクラムイベントがめんどうに感じたら、それは、惰性になってきているサインかもしれないし、ふりかえりのいい機会なのかもしれない。
あるチームのふりかえり
(Dev + SM)3人 + POのチームで、1週間のイテレーションサイクルで開発を進めている例をひとつ。
デイリースクラム以外に、下記のイベントを実施している。
day1: スプリント計画(前イテレーションのday5に実施できなかった場合)
day3: リファインメント
day4: 中間レビュー
day5: レビュー・ふりかえり・次イテレーションのスプリント計画
(参考)スクラムイベントについては、わかりやすいRyuzeeさんの解説を引用しておく。
ふりかえりのツール
KPTAで行っている。
Keep: 続けたいことだけではなくよかったことやうまくいったことも抽出
Problem: 課題や困ったこと
Try: やってみたいこと。Problemの解決のためのものが多い。
Action: 主にTryから具体的に次のイテレーションで行いたいことを抽出
フォーマットは、富士通デザインの小針美紀さんが発案された、ワキデルを使っている。
インターネット上ではワキデルのフォーマットが見つからず、公開されていないようなので、具体例はここでは割愛し、概要だけ紹介する。
ワキデルは、スプレッドシートのたくさんのセルを付箋に見立てて4象限にグルーピングしているフォーマット。好きなセルに思い思いに複数人で同時編集でコメントを書いていく。
セルの個数により、数百人規模でも使えるし、数人規模でも使える。リアルタイムでも使えるし、非同期でメンバー個別に書いておいて後程共有することもできる。
うちのチームの場合は、チームメンバーがリマインドボットを作ってくれた(これもKPTAのAのひとつ)ので、毎日、夕刻にお知らせしてくれる。特に、上半分の象限(K, P)は、日の終わりに書き込んだり、思った瞬間に書き込んだりすると、ふと思ったことも記録に残せる。
ふりかえりの際にもK, Pを書き込むが、主にK, Pをチームで共有して、T, Aにつなげる時間にしている。
まとめ
ふりかえりはチーム力の強化には欠かせないイベント。ふりかえりは適切に行えば、チームのコミュニケーションを活性化し、団結力や心理的安全性を高める効果もある。特に下記を意識すると効果的だと思う。
全員が参加する: チームメンバー全員が参加することで、多様な視点を取り入れ、より効果的なふりかえりを行う
可視化・共有する: ワキデルのような非同期ツールも活用して、日々のふりかえりを可視化し、共有する
定期的に行う: 日次、週次など、定期的にふりかえりを行う時間を作ることで、個人やチームの改善を習慣化する。
そして改善へ: ふりかえりで得られた課題や改善点に対して、具体的な行動計画を立て、実行することで、チームの成長を促進する
チームの状況に合わせて、ふりかえりの頻度や方法を調整して、その時々のチームに合う方法を探すのは大切。愚痴に終始したり、誰かをつるし上げたりするのがふりかえりではないことは言うまでもない。
Have a happy scrum and dev life!!
本記事は、シン・アジャイルコミュニティの【ほぼ月刊】シンアジャマガジン Vol. 6のトピック「ウチのチームのふりかえり」への起稿です。
本稿では触れていない、数か月単位の中長期的なふりかえりやむきなおりについての記事もあります。