傾きをゼロにしない ~「組織を芯からアジャイルにする」第5章より~
この記事は以下のマガジンへの寄稿です。
「組織を芯からアジャイルにする」第5章では、芯の定義、そして、「組織アジャイル適用7つの原則」や「アジャイルCoEの8つのバックログ」などを中心とした、組織を芯からアジャイルにする方法論が記載されている。
芯の定義については、ぜひ、読んでほしいので、ここでは、第5章から、「傾きをゼロにしない」に着目してご紹介する。
傾きをゼロにしない
組織アジャイル適用7つの原則のうちの5番目に挙げられているのが、「傾きをゼロにしない」である。
傾きをゼロにしないためには、「止めないこと」と「続けていくこと」の双方が必要になる。
「止めないこと」と「続けていくこと」って、同じじゃないか、と思われた方、実は、この二つはちょっぴり異なる。
止めるのには決断が必要だ。なぜなら、止めるまでに時間やお金や労力を注ぎ込んでいるから。投資したものが大きいほど、その投資を回収したい気持ちが大きくなるため、止めづらくなる。
止めるということは、その投資回収を諦めるということだ。そして、投資失敗リストのアイテムが一つ増えることになる。
止めるべき時に止めるべきものを止められる能力というのは、何かを始めたり続けたりする判断をするのには必要な能力だと思う。止める判断が適切にできるからこそ、止めない判断も適切にできる。
一方、続けていくことも簡単ではない。某朝ドラでも「続けるのが一番難しい」と複数の登場人物が言っていた。「継続は力なり」というような、継続することの重要性を強調する名言もある。何かを成し遂げるためには、それに向けての努力を継続することが大切だ。
継続するための工夫も、いろいろある。小さくても毎日アクションを起こし、記録し、よいルーティーンをつくっていく。そして、なかまを増やして一緒にやっていく。なかまとふりかえり、更に改善していく。
「組織を芯からアジャイルにする」の1章から4章には、継続するための工夫も、随所にある。ぜひ、手に取ってみてほしい。