ジャーニーで迷子になったなら
シン・アジャイル Advent Calendar 2023 19日目です。
今回は、チームビルドとアジャイルジャーニーについて、特にスクラムによるインクリメンタルな開発という視点の話をひとつ。
「人は誰もが旅人」と言う人もいる。そして、自分以外の旅人はみな、旅慣れて見えたりもする。でも、意外と、みんな、気がつくと迷子になっていたりしませんか~?ということで、自分の迷子の話。
ジャーニーとは
最近お世話になっているNativeCampのブログによると、英語で旅を表す言葉には、それぞれこんな違いがあるらしい。
チームビルドジャーニー
多くのシゴトはチームで遂行される。ただし、人さえ集めれば、勝手にチームができるというわけではない。スクラムには自己組織化するしくみが備わっているが、そのしくみの核のひとつは人と人とのコミュニケーション。
特徴的なのは、スクラムイベントに、強制的なコミュニケーションのしくみが備わっていること。
小さな粒度でアイテムを共有していくしくみ
(スプリントでのインクリメンタルな進捗、バックログなど)アイデアをとことん共有するしくみ
(デイリーやスプリントプランニングなど)違和感や誤解を解消するしくみ
(リファインメント. ふり返りなど)
インクリメンタルに進めていくとコミュニケーションが深まっていき、チームビルドもできていく、というのが理想的。
・・・ではあるのだけれど、実際にコミュニケーションがうまくいくためには相当高い心理的安全性が求められるし、腹を割ることができる関係性も必要になる。組織によってはこの種の障壁がすごく高いことがある。
タックマンモデルで言う、形成期 (Forming)、混乱期(Storming)、統一期 (Norming)、機能期 (Performing)、散開期 (Adjourning)のうち、混乱期にすら達しないうちにプロジェクトが終わり、散開する組織も少なくない。混乱期で迷子になることもある。今の私のように。
チームでシンからアジャイルになる道は混乱期の迷子の先にある。いや、あるはず。今はまだ迷子なのでワカラナイけれど。
迷子に気づく瞬間
実はスクラムには、ちょっと別の種類の迷子もある。
スクラムでは、粒度を小さくしたアイテムに集中して、蟻や蜂のようにみんなで群がってやっつけていく。
ひとつひとつのアイテムをこなしていくうちに、もともとめざしていた大きな目標への道を見失って、チームで迷子になることがある。
迷子になっていることに気がついたら、「むきなおり」が必要なタイミング。お互いに違和感を共有し、目的地を再確認し、そこに辿り着くための新たな道を探すのが、むきなおり。
プロダクトオーナーでもメンバーでも、誰もが目標に向かってナビゲートできるようなスーパーチームは、なかなかない。
もっと端的に言うと、誰もが迷子になり得る。
勇気をもって、「私たちは、目的地に向かって進んでいるのかな?」とか、「私たち、今、迷子になってない?」とか、言えるようなチームの関係性はとても重要になる。
迷子になったら
迷子を完全に防ぐのは、難しい。なぜなら、私たちがアジャイルやスクラムで進める時は、道を探し、時には切り開きながら進めなくてはならない時だったりするから。でも、完全に迷ってしまう前にできることは多い。
違和感を伝え合う。
目的地・中間目的地に辿り着くのが難しそうなら、相談する。
コミュニケーションに尽きる。コミュニケーションに始まり、コミュニケーションに終わる。感謝とリスペクトを忘れず、礼にはじまり、礼におわるのも大切かもしれない。
今はチャットなどの非同期コミュニケーションのツールもあるので、気軽にコミュニケーションが取れるように、複数のチャネルを用意して、日常的に気楽な会話をしておくのがよい。
結局
チームも人も、迷子になって成長していくものなのかもしれない。
はじめての道を行くときや道を作りながら進むときには特に、アジリティ高く、協力して進めることが不可欠になる。その時、スクラムの5つの価値基準である「確約」「勇気」「尊敬」「公開」「集中」も大きなカギとなる。
そして、順調な時も、迷子の時も、チームでしっかりコミュニケーションを取りながら、進めていきましょう。
シン・アジャイル Advent Calendar 2023 19日目でした。