ほしがた7ようめ

掌編「そんなところも?どんなところも」


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星語《ホシガタ》掌編集*7葉目

(1143字/読み切り)

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「なに読んでるの?」

色の薄い板張りのダイニングに、東からの白い光。くっきりと窓の影が描きだされていた。今日の空は何色だろう。

継ぎの当たった二人掛けソファから巨体をはみ出し寝そべりながら、日曜の朝からスマホをだらだらと読み耽る、わたしの………恋人?いやなんかもうそういうのではない。家族?腐れ縁?じゃれついてくるいぬころ?

「ミカちんのスリーサイズ大解析特集かな」と手でひさしを作ってわざとらしく上から下までわたしを眺めながら冗談で返してきた。ああもうはいはい…。

あくびがうつってふたり同時にふあああ。
寝ぐせも同時にピョコン。目が合って少し笑う。

「今日はどこにも行かないの?」

不精ひげを引っこ抜きながら、いぬころは
「俺も最近オッサンになった…」

ごろん…とガタイだけはいい体をひねって、またスマホをみる。日曜のたびに、散歩に行こうよ。棒とってこいやろうよ。みたいな人なのに珍しい。体がしんどいんだろうか。

「オッサンの塊が何いってるの」

今日はふたり、部屋でだらだらデーにしよう。

「じゃーわたしは今日はブログでも更新するかな…」
「じゃー俺はミカちんの応援をするかな」起きてきて、フレーフレー。ミッカミカ。俄然張り切り始める。

さも構って欲しそうに、つむじにチューしたり、頬を突いてくるのを軽く肘鉄などして追っ払う。全く…。

ダルそうだから体をあっためた方がいいんじゃないだろうか…。香りのいい入浴剤はあったっけ…とか一瞬頭によぎったりしなかった。なかったなかった。絶対なかった。

茶飲むけど、ミカちんもいるか?とポットのお湯を足しながら、お揃いのマグを出してくる。

「さっき読んでたサイトさ」お湯を注ぎながら
「『彼氏にキュンキュン!そんなところも好きだよ!特集』ってやつだった。」

吹き出してしまう。そんなの読んでなんになるの…。いや、調べ物してると下のほうにエロサイトとかと一緒にリンク貼ってあって、つい辿っちゃう系のやつだけども…。

それにしても、意味がわからない特集だ。

「そんなところも」とか言って、好きなとこを一段下げるのわかんないなぁ」こういう卑下するような言葉の使い方は大嫌いだった。

「好きなところは全部好きでいいのに」
イライラしながら返す。

「ミカちん!」
がばぁ!
やおらいぬころが満面の笑みで抱きついてきた。

「俺のミカちん!」
「な、何!?」
ほっぺたにめちゃくちゃチューされてしまう。

「俺のミカちん!!」
なんだなんだ!?

「デート行こ!」

な、なにがツボった!?

ほっぺたを散々ぷにぷにされて、また肘鉄などして追っ払う。よくわかんない人だし、しょっちゅうじゃれついてきて、うっとおしいけど、そんなところも……、いや違う。全部だ、くそ、しょうがない、全部好きだ……。


*了*

 ツイッターアンケート結果からの書きおろし。

(c)mamisuke-ueki/2018
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アンケートご参加ありがとうございました。いかがでしたでしょうか?

ミカちんといぬころのカップルは、この↓記事で描いた、こいつらがだいぶ近いイメージです。

ミカちん。フルネームは多分、観ヶ村《みかむら》ミカとか、そういう雑な名前だと思います。
マキノさんもマキノマキですからね!