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空間を立体的に彩る「吊りもの」知識

今日はちょっとニッチだけど、刺さる人には刺さるはずの内容。

2年前にギャラリー八角を利用してくれた方が、困り果てた様子で連絡してこられました。自分のお店を持つことになったのだけれど、吊り金物の選定がうまくいっていない。八角で採用されていたものが理想形なので、ブランドや商品名がわかればおしえてほしい。とのこと。

「吊る」ことは、空間を立体的・3次元的に使うことであり、ギャラリーに限らず、店舗や住宅にもとても有効な手段。うまく使いこなせるようになると、空間づくりがより面白くなってきます。

吊り金物は種類が豊富な一方で、WEB上で説明書きを読んでも違いがわかりにくいんですよね。ぼくも、自分でいろいろショールームに見に行ったり、買って試してみた結果、今使っている商品たちに落ち着いています。

今回は、そんな吊り金物について、具体的な商品名を添えて紹介するとともに、ちょっとした応用編みたいなところまで書いてみようと思います。上述の方も、この記事の内容を伝えてあげたところ、神様~!と大変喜んでくださいました。笑


ピクチャーレールに吊る

吊りもののド定番、ピクチャーレール。ギャラリー八角では、絵画作品などを展示するため、壁際の天井面に設置しています。

天井面にビス止め

採用しているのは、TOSOのピクチャーレールLシリーズの「L-1」。Lシリーズの中にも、L-1、L-3、L-5と種類がありますが、L-1がもっともスタンダードで重宝するものと思います。

八角では「L-1」を採用

このレールに、後入れできるフックを組み合わせて使っています。フックもいろいろ種類があるんですが、先入れタイプは、レールを設置する前に入れておかねばならず柔軟性に欠けるので、後入れタイプがオススメ。後入れタイプは、その名の通り、レール設置後も付け外しが簡単にできます。

八角では「Lフック15A」を採用

ダクトレールに吊る

これはホントによく使う手法。本来、照明器具を取り付けるためにあるダクトレール(=ライティングレールと呼んだりも)に、専用の吊フックを取り付けて、いろんなものを吊るします。

白と黒の2色あり

このフックにペンダント照明のコードを引っかけたり、ワイヤーを引っかけたり。モビールなんかを吊ってもいいですね。

ダクトレールの吊フックからワイヤーを垂らし
ハンギングバーを作った事例@自邸
吊フックからモビールを吊った事例
@ギャラリー八角

実はこれが肝!ワイヤー調節術

ピクチャーレールにしろ、ダクトレールにしろ、何かを吊るときには、その媒介としてワイヤーを垂らすことが多いと思います。

ただ、1m単位など決まった長さで、先端にループがついた状態で売られているワイヤーでは、長さが微妙だったり、ループのサイズが合わなかったりということが起きがちです。でも、ご安心ください。ワイヤーは結構簡単に自分でカスタマイズできるんです。それを可能にする調節金物の紹介をしておきます。

まず、ワイヤーは、ホームセンターで長さを自分で指定して購入することができます。店員さんに指定長さでカットしてもらったワイヤーは、そのままでは先端のループもない、一本線状態です。

そこで使うのが、ワイヤーロープスリーブ。金属製の筒(スリーブ)にワイヤーを通し、輪っかを作ります。その状態でスリーブをかしめる(押しつぶす)と、ループができあがります。

※専用のかしめ機もありますが、大量に作るのでなければ、わざわざ買わなくても、一般的なペンチなどでがんばればかしめられます。ただし、結構パワーが必要。笑

ワイヤーロープスリーブ
好きなサイズのループを作れる。一旦かしめたら戻せないのが欠点。

こうしてループを作ることでフックなどに引っかけることができますね。ただし、ここで注意したいのが、ワイヤー両端をこの方法でループにすると、ちょっと不便だということ。というのも、元々、両端にループのある状態で売られているワイヤー同様に、全長が固定化するので、吊りたいものの高さを調整しづらいんですね。

そんなとき使いたいのが、リーズロック。上記のロープスリーブと違って、いつでもループサイズを変更できます。下の画像の「B」内、「ロープの末端」にあたる部分の長さを大きくしたり小さくしたりと変えることで、吊り高さ調整できるんです。

リーズロック

このリーズロックは、手で簡単に調節できる機構なので、一時的な展示など、仮設的な用途に適しています。

もう一つ、似た商品を紹介しておきます。それはサーキュラースリーブ。こちらは、リーズロックよりもスマートな見た目をしています。同様にループサイズを調整できる代物なんですが、長さ調節時にレンチが必要です。よって、リーズロックが仮設向きであるのに対し、こちらは常設箇所向き。

サーキュラースリーブ

これらはいずれもホームセンターで手に入ります。ぼくは最近、もっぱらこれらを使い分けて、吊りものをしています。

どこにだって吊れる

さて、ここまで、ピクチャーレールとダクトレールに吊る話をしましたが、それらがなくても吊りものをすることはできます。

例えば、木板天井に、ヒートンと呼ばれる金物をねじ込んで、そこからワイヤーを吊ってもいいですし、極端な話、(素人がDIYでやるのはキツいですが)コンクリートの天井面にアイボルトを入れて、そこから吊ることだってできます。

ヒートン


アイボルト

天井付近を通っている配管から吊るすことなどもできますね。

排気ダクトにワイヤー吊で
コートハンガーとした事例@かもベース

ピクチャーレールなど、専用の設備がないからと諦める必要はないんです。どんな商品が存在していのかを把握していれば、発想次第で、簡単に吊りものを楽しめます。

吊りものを自在に操れるようになると、空間づくりがより楽しくなります。いろんな場所で、ここに吊れないかなぁ、、と妄想して、実践してみてください◎


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