建築家がよく使う合板3選
建築資材として、もっとも一般的なものに「合板」があります。
種類も使われ方もさまざまですが、合板をうまく使い分けられれば、安くても質感ある空間をつくることができます。
今回は、建築家がよく使う3種類の合板をピックアップし、その使い方について簡単にまとめてみました。
3種の神合板
早速、書き出してみると、、
・針葉樹合板(構造用合板)
・ラワン合板(ベニヤ板)
・シナ合板
この3種類です。
呼び名や定義はまちまちですが、ベニヤというと、5.5mm以下の薄いラワン合板を指すことが多い気がします。
価格は、針葉樹 < ラワン < シナ という順に高くなります。厚みはいろいろありますが、4mm、5.5mm、9mm、12mm、18mm、24mmといったあたりが流通量が多く、手に入れやすいものになります。当然、厚いほど価格は高いです。
いずれもホームセンターで手に入ります。種類や厚みによっては扱いがなかったりしますが、最寄りのホームセンターになくても、別のホームセンターやプロショップ(コーナンプロなど)に行ってみれば、どこかには置いてあるはずです。
針葉樹合板
下の写真は、ぼくが運営しているギャラリー。壁付けの格子棚と、テーブルの脚に針葉樹合板を使用しています。
針葉樹合板は、主に構造用として、オモテに見えない部分で使うために製品化された材料ですが、ラフな表情と価格の安さから、DIYを中心に仕上げとして使われることも多いです。このギャラリーの粗い雰囲気には、この合板がマッチしています。
ただし、表面がザラザラ、凸凹が多く、節もあるので、書き物をするデスクなどには向いていません。
ラワン合板
下の写真で、収納扉に使われているのがラワン合板です。
ラワン合板は、木目のくせが少なく、色味は赤っぽいのが特徴。きれいめな空間でも、古民家などの味のある空間でも、どちらでも合わせやすく重宝します。
ただ、ここ数年でラワン材が枯渇してきていて、きれいなラワン合板は希少になってきています。今は、材が多少汚くても、濃いめの色を塗るなどしてごまかしながら使ってますが、仕上材として使えるレベルじゃなくなってしまうのも、時間の問題かもしれません。
シナ合板
下の写真で天井に使われているのがシナ合板です。
他の合板より価格が高いので、下地材としては使われず、もっぱら仕上材となります。シナ合板は、白くてすべすべしていて上品な雰囲気。主張が少ないので、どんなインテリアにもなじみます。
使い方を変えれば見え方が変わる
下の写真の壁面と天井面は、同じシナ合板を使っていますが、貼り方が少し違います。壁面は「突きつけ」と呼ばれる貼り方、天井は「目透かし」と呼ばれる貼り方です。
目透かしは、合板同士の間(目地)にあえて数ミリの隙間を設けてデザインとして見せています。突きつけは、目地に隙間を設けず、文字通り合板同士を突きつけて貼り合わせます。
再びギャラリーに戻りまして、こちらは格子棚の写真。合板の断面に縞々のラインが入ってますね。
針葉樹合板だけでなく、すべての合板に共通する特徴は、薄い板材を積層させて作られている点。寸法的に安定させ、反りを少なくし、大量生産するための工夫です。その作り方ゆえに、このように断面はミルフィーユ状に層をなしているんです。
この断面をデザインとしてどう見せるか、あるいは見せないかといったところも、設計の腕が試される部分。こちらの格子棚では、合板の構成とともにその断面層を見せることで、より水平・垂直ラインを強調しています。
同じ材料を使うにしても、使い方によって見え方が全然違ってくるのは面白いですね。
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以上、建築家がよく使う合板たち、その特徴と、使い方についてでした。
他にOSB合板などもありますが、やっぱり上記3種が使いやすく、王道です。誰でも手に入れられる材料なので、DIYでの空間づくりにも参考にしていただければと思います。