零細起業の経営実務(8)在庫をうまく管理するには
起業したい、するかもしれない研究者さんのために、リーゾの経験談をお伝えしています。今回は、さまざまな物品の在庫状況をどうやって管理したら
よいか?についてお話します。
いかに小さくても、会社を日々運営していくとなると、ほんとうに多種多様な消耗品が必要です。ボールペンやホチキスの針、印刷用の紙、プリンタインクなどの文房具。商品を送るのに必要な袋や箱、テープの類や、切手など。製品自体を作るのに必要な原材料。リーゾの場合は、実験に必要なプラスチック消耗品もあります。
ささいなものでも、使う時になって「ない!」となると業務が滞り、お客様にご迷惑をかけることもあります。かといって、多めに買い置きすると、買ったことを忘れたり、次の注文時に注文の仕方がわからなくなるなど不都合も。必要以上の在庫は不経済なだけでなく、保管スペースを食うのも困り物です。
どうしたものか・・・?と頭を絞り、あれこれリサーチしてたどり着いたのが、トヨタ自動車で有名な「かんばん方式」です。
このやり方は、すいすい通信でも以前ご紹介しましたが、念のためおさらいしますと、
(1)厚紙でカード式のかんばんを作り、
(2)モノの名前、保管場所、発注時在庫数、発注単位、発注方法などを書き、
(3)「これを使ったら注文」という在庫品にくくりつける
で準備完了。
その後は、
(4)かんばんがついた在庫品を使ったら、かんばんを外して「発注待ち」のフックにかけ、
(5)注文したら「納品待ち」のフックに移し、
(6)納品されたら再度在庫品にくくりつけて保管場所へ、
というサイクルで回していくという、これだけの話です。
かんばんには、パンチで孔を空けて輪ゴムを通してあり、これで大概のものにはつけられます。大型のもの(トイレットペーパーとか)には、輪ゴム部分をテープで固定しています。長い間使うと輪ゴムが劣化するのが難点ですが、切れても簡単に交換できます。
2011年頃から導入し、今に至るまでずっとこの方式でやっており、管理対象の物品は100種類をゆうに超えました。とにかく、在庫を「気にしなくていい」のが精神的にとてもラクです。機能も問題なく、スタッフの数が増えた今も、在庫切れや二重発注は全くありません。
一方で、『製品』や『仕掛品』の管理にも、もちろんかんばん方式は使えます。
こちらの場合は「製造指示かんばん」です。
同じように、「名前」「保管場所」「製造時在庫数」「1回製造数」を書き、「これを出荷したら製造」という在庫や仕掛品にくくりつけておきます。
まとまった注文が入ると、製品、仕掛品、原材料と、いもづる式にかんばんが出てきてしまうので大変ですが、束になった「かんばん」を1枚ずつ減らして定常状態にリセットしていくのは、ちょっと快感でもあります。
在庫管理、実はエクセルでトライしたこともあるのですが、入力が面倒で、すぐに数字が在庫と合わなくなり、挫折しました。今なら、スマホを使ってうまくやれる方法がありそうですが、とりあえず1円もお金がかからず、余計なものも増えない超アナログな管理方法も、捨てたものではないですよ。
すいすい通信バックナンバー(vol.11 2012年2月号)
http://rizo.co.jp/suisui11.html
写真入のブログ記事
http://rizo-inc.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-a31d.html
(2015年8月5日配信のすいすい通信より)
「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html