零細起業の経営実務(18)販路の作り方・広げ方
起業を考えている研究者さんに、リーゾの経験をお伝えするシリーズです。
今回は、リーゾがどうやって販路を作ってきたか?についてお話しします。
商品を作っても、売れなくてはビジネスになりません。売り上げがない会社は生きていないのと一緒。なので、販路をどう作るかは、小さな会社にとって、最重要といってもいいくらいの問題です。
リーゾの場合、実はそんなことはまったく考えてませんでした。
良いものを世に出せば、勝手に売れるだろうくらいに思っていたのです。
(もちろん、そんなことはありません。)
なんとかなったのは、研究業界の熟練営業マン兼社長のSさんに出会えたから。
つくばの研究者さん3000人にアクセスできるというその方にくっついて、つくばの研究機関に行き、建物の部屋を端から回って、お部屋にいる全ての方に紹介してまわりました。いわゆる飛込営業です。
(セキュリティや会計不正の影響で今はできないようですが、昔はできまし
た)
核酸抽出やSNPマーカーで「困っている研究者さん」は、わずかな割合でしか見つかりませんが、うまく情報が届けばとても喜んでもらえます。こうして、ぽつりぽつりですが注文がもらえるようになりました(ここまで数ヶ月)。
つくばの研究者さんに売れるようになると、学会などでの研究者さん同士の
口コミで、つくば以外の研究者さんからも引き合いがくるようになりました。
購入は、その地域の商社が仲介するのが慣例で、全国の商社から「売ってく
れますか?」と連絡が来て、取引先が増えていきました(ここまで約1年)。
さらにしばらくすると、研究者なら誰でも知っているカタログ大手「アズワン」さんから、「カタログに載せたい」というお話がきました。
実は、アズワンカタログには載せて欲しくてたまらなかったのですが、じっとその日を待っていたのです。内心の大喜びをぐっと押し隠し、「じゃあ、この条件なら」と返答。希望する条件で載せていただきました。
研究お手伝い業の方はそのような経緯でしたが、一方で「美食同玄米」の販
路開拓では、それはそれは苦労しました。自社サイトで通販したり、ブログ
に書いたり、Amazonに出したり。それまでの経験を生かして考え付くことを全部やってみましたが・・・売れません。
考えてみれば当たり前です。リーゾのサイトやブログを見に来る人は、明らかにお米を買うモードではないですから。
これは「品質の良い食品を買いたい」モードの人に見てもらえる状況にしないとダメだと実感し、農産物直売所「えるふ農国」に置かせていただくことにしました。嗜好性が強い上に値段の高いお米なので、「売れないよ」と言われましたが、「絶対売ります!」と押し切りました。
売りますと言ったからには、できることは全てやらねばと思いました。
お百度参りのつもりで、週末に試食用の小さなおにぎりをお皿いっぱいに作って売り場に置くのを1年間続けました。休日の朝に仕事を入れることになり、家族にも負担をかけてしまいましたが、その甲斐あってか徐々にお客様がついて、今ではコンスタントに売れるようになりました。
今年は郵便局から期間限定カタログにお誘いいただく幸運に恵まれたこともあり、前年度の収穫分がまさかの完売!と、夢のような話になりました。
このお誘いをいただけたのも、それまでの販売実績があったからこそ。努力はどこかで次につながるものだなあと思います。
ちなみに、Amazonのアカウントは無駄にはなっておらず、「DNAすいすいforKids」はAmazonで、今まで全くご縁のなかった方に買っていただけてますし、ごくたまにですが、試薬や交配袋もAmazonで売れてます。Amazonのサイトに出てくることで、信頼度が上がり、宣伝にもなるようです。
とりとめのない話になってしまいましたが・・・
まとめますと、リーゾの販路開拓の経験から言えることとしては、
・とにかくエンドユーザーに直接コンタクトして、信頼と支持を得ること。
・そのためにどうすればいいかを全力で考えて実践を続けること。
・ただし、お金はかけられないので、代わりに時間と手間をかけること。
要するにリーゾがやってきたことはそれだけでした。
シャイでビンボーでめんどくさがりな私でもこの程度はできたので、そうでない読者さんならもっと効率よくスピーディーにできるかも。何かしら、ご参考になればうれしいです。
(2016年8月3日配信のすいすい通信より)
「すいすい通信」
https://rizo.co.jp/merumaga.html