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ヨット部脱出

友人(以降A)と地元のヨットハーバーに行った。私にとっては”曰く付き“と言っても良い程楽しい思い出の無い場所だ。というのも、学生時代の半年間程ヨット部(厳密にはセーリング)に属していて、Aとここで活動をしていた。

部活の実態を一言で言うのなら、パワハラ・オブ・パワハラだった。体育会系のよく無い部分のみを抽出した感じ。部内の人間関係は終始ギスギスしており、仲が良いのは私とAだけ。コーチの怒声を浴びる事は日常茶飯事で、何度全体の前で怒鳴られたかわからない。
そんな環境が嫌で、私は半年間で逃亡した。
もう7年近く前なのに、いまだに悪夢として夢に出る。PTSDの症状。

思いつきでAと件のヨットハーバーに行ってみた。ウェットスーツが干してあったため、数時間前まで何かしらの活動をしていたのだろう。事務所から高笑いが聞こえる。例のコーチだ。薄らと見えるシルエットから私とAは存在を確信し、一目散に逃げ出した。「ちゃんと時間って流れているんだ」と思う。全く止まっておらず、変わらずに活動していた事実がただただ恐ろしかった。時間の重みを感じる。

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