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ヤバいジジイ・ブルース
歌舞伎町の交差点で熱唱するおじさんがいた。レモンサワーを片手に小躍りをしているが、声が掠れ過ぎていて何を言っているのか全く聞き取れ無い。それでも彼は道家の如く歌い続けていた。
何を歌っているか一切聞き取れなかったが、確かにブルースを感じた。エルヴィス・プレスリーやマイケル・ジャクソン、ローリング・ストーンズを彷彿とさせるブルースの魂が。
黒人奴隷の労働歌(ワーキングソング)から誕生したブルースは、被差別階級や社会的弱者の代弁手段として人々の普遍的な憂鬱を歌い継いできた。あの名もなきおじさんの歌には、そんな虐げられて来た人々の怒りと、苦境に負けない確かな力強さがあった。
黒人のブルースをテープに纏めた白人達がいる。人種を超えて彼らの魂に共感し、口頭で受け継がれて来たそれを後世へ残した。
時代の変化と共に形を変えて、後々のロックミュージックへと繋がって行った歴史はある。
ああいうヤバいジジイの歌を、どうにかして残せないかな。音楽業界にとっての革命になるかもしれない。そう言うレコードを僕は欲しい。