#1 「もう一年」闘うという選択に【浪人】
この冬、久しぶりに大学受験が自分事じゃなかった。
共通テストは、センター試験のころからそうだけど、毎年いろいろな形で話題になる。ニュース番組なども取り上げるから、高校生になる前から、その名前だけは知っている。900点満点っていうから、音楽とか保健体育とかもあるのか?とは思っていたけど。
高校生になると急に自分事になった。共通テストといういわゆる一次試験があって、そのあとに大学の個別試験があることを知る。僕は志だけは高いタイプだったし、勉強も割としていたが、3年間の努力虚しく落ちてしまい、浪人することになった。原因は明らかに実力不足なのはわかっていた。仲のいい友人にも合わせる顔もないし、だからといってすぐ勉強する気にもならないから、家でスマホを一日3回充電するくらいにはスマホをいじり動画などを見漁った、そんな21年の3月だった。
浪人が決まったときはやはり「もう一年」という絶望を感じずにはいられなかった。4月なんかすごく長く感じたし、友人たちが大学で新しいことに触れて、着実に先に進んでいるという事実がまた、僕を苦しめる。「浪人時代は時間がとまっている」、そう思っていたから。
だからといっていつまでもネガティブな気持ちでいていいわけではない。僕は気持ちをポジティブに保ちたくて、いくつか決めて取り組んだ。
① やみくもに勉強せずに、日、週、月単位で科目ごとに目標を立てて勉強
1日単位でいえば、例えば「火曜日、数学は、月曜扱った問題2問の先生の解説を白紙の上で再現できるかの確認、そして水曜日の授業の方の予習2問に1時間まで取り組む」などである。ここでは授業で扱ったことの他に、単語など自分で勉強するものも考えた。
② 楽しみを用意する
さすがにいいだろう、これくらい。ずっと勉強も大変だから。僕は浪人期間にラジオ(オールナイトニッポンが主)にはまって、勉強が終わって寝る前の時間に、単純作業(掃除とか歯磨きとか)をしながら1番組タイムフリーできくということをしていた。このラジオを聴くために頑張ろうというような気持ちでモチベーションを保つのである。もちろん、娯楽の時間が何時間もあってはいけないから管理はしっかり行うべきだけど。
③ たまには運動
これも重要で、体も動かさないと健康にも悪いし、運動することで活性化する部分もある(はず)。僕の場合これは週1回のランニングだった。予備校の寮の近くに大きめの公園があったのでそこに走りにいっていた。
これらはほんの一部だけど、大学に入ってからの生活の基盤になっているように思う。今でこそ広くエンタメに興味を持ち始めたのもラジオとかをきいていたからだ。一人暮らしにも慣れた状態で大学生活の一人暮らしに突入できた。「時間がとまっている」浪人時代に、勉強以外でみにつけたことも多い。
大学受験が他人事になった今、同じく浪人した高校の同期と久しぶりに会うと、つらかったなーとかそんな話で盛り上がる。でも浪人を経験した人にとって現役で受かった同期の存在はもちろん大きい。
僕の親友たちは現役で大学に行ったが、1か月に1回ほどビデオ電話をつないで話をした。僕から提供できる話はあまりないが、彼らは大学の話をしてくれた。それが僕のモチベーションの向上になり、頑張ろうと思った。楽しいうえに、いい影響があった。合格の報告をしたときは、彼らは自分事のように喜んでくれた。
だから友人が浪人しているという人がいたら、その友人と定期的に連絡をとってあげてほしいと思う。全然迷惑じゃない。浪人生は、それが、本当に、うれしい。(と思う。)
さまざまな意見があるだろう。これは僕の一経験であり、考えだ。
「もう一年」闘う、と決めたすべての人々にエールを送りたい。
毎年この季節、桜を見ながら、少し、でも確実に成長したあの一年を思い出す、多分。