ネットは社会を分断しない
SYNODOSの田中辰雄先生の記事「ネットは社会を分断しない――ネット草創期の人々の期待は実現しつつある」を読みました。
田中辰雄先生のGLOCOMのワークショップ「インターネットは社会を分断するのか」にも参加しましたし、角川新書の『ネットは社会を分断しない』も読みましたので、本記事の内容はだいたい承知していますが、それでも、改めてとても希望の持てる記事でした。
本記事によれば、SNSやニュースサイト・ブログといったネットの利用が社会の分極化を有意に促進しているという検証結果は見つからず、むしろ年齢のほうが影響が大きい可能性があるとのことです。そして、年齢のほうが影響が大きいとは、ネットにより親しんでいるはずの若者層はむしろマイルドになっており、逆に年齢が高いほど過激な意見を持つ傾向にある可能性があるということだそうです。
ネット草創期には、インターネットが、個々人に表現の手段を与え、全世界の連帯を促進し、社会をより良い方向に変革する、という高邁な理想があったと思います。90年代後半からインターネットを使い始めた自分は、今でもネット草創期の理想は正しいと思っていますし、その理想の実現に微力ながら貢献したいというのが自分の社会人としての原点になっています。
だからこそ、SNS上の醜悪な誹謗中傷合戦、フェイクニュース等のせいで、ネットそのものの価値に疑問符が付けられる最近の風潮に対しては歯がゆい思いをしていたのですが、本記事によって、ネット草創期の理想は少なくとも全否定されるものではないということが明らかにされたと思います。
もちろん、それが直ちに、ネット草創期の理想の全肯定にはつながらないと思いますが、自分の原点が夢幻ではなかったということが再確認できただけでも、救われた思いがしています。
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