網膜剥離の強膜バックリング(網膜復位術)手術を受けた話
もしかしたらいつか誰かの何かの役に立つかもしれないので、経験談として書き残しておく。
入院にいたるまで
ことのはじまり
きっかけは右眼の飛蚊症だった。
突然眼の前に、煤のようなものが見えだした。
網膜剥離があったりすると怖いので、翌日職場近くの眼科に行った(翌日には消えていたのだけど)。
いきなり飛び込みで診察を受けたのに良い眼科で、丁寧に見てくれた。
特に問題なかった左眼まで見てくれた。
そして言われたのは
「右眼は特に問題無いです。左眼が網膜剥離の跡がありますね。紹介状書きますから大きな病院で診てもらってください。」
え?右?
私から見て右?先生から見て右?(眼の左右ってややこしいよね?)
どうも飛蚊症になった眼では無い左眼に異常があるらしい。
心当たりはとてもあった。
毎年の健康診断で「網膜変性」と言われており、一度地元の眼科にも通っていたのだが、「網膜に欠損があるけど位置的に視力には問題無いでしょう」と言われそのまま放置していたのだけれど、網膜剥離とは言われなかったぞぉ…。
後日、紹介された職場近くの大学病院へ行く。
紹介状を渡しカルテを作ってもらい、いろんな検査を受ける。
ふと見るとカルテに「緊急」のメモが挟まっている。もしかして私、大変ヤバイことになっているのではないかと、改めて慄く。
一通り検査をしてドクターの診察。
ドクター曰く
網膜剥離はずいぶん前のもので、今は何故かくっついている(…何故?)
このまま放っておくと、いつかまた剥がれる可能性が高い。
剥がれたら視力が相当失われる。
強膜バックリング手術というシリコンで網膜の欠けた部分を塞ぐ手術を行う必要がある。
手術/入院は二泊三日。
なるはやがいいけど、いつ入院できる?
…とのこと。
突然のことだったので私も「すぐお願いします!」と言うわけにもいかず、一ヶ月程猶予をもらっての手術ということになった。
今まで何故かくっついていたものなら、今日・明日にいきなり剥がれたりはしないだろう。たぶん。
入院準備
準備といっても二泊三日だし、特にドタバタすることは無かった。
過去の入院時に「入院着とタオル類はレンタルが便利」と学んでいたので、迷わずレンタルを選んだ。
あと持っていくのは日数分の下着、洗面道具、お風呂道具、踵のある室内靴、コップ等。
小さなザックに収まったので身軽なものだ。
入院/手術
いざ入院
前日に指定された時間に病院へ行く。
都内にある設備が整った病院なので、入院病棟への出入りはセキュリティもしっかり。
病室は4人部屋だけれど、眺めの良い窓際のベッドが割り当てられたのがとても嬉しかった。
入院後事務的な手続きや術前の診察、説明を受け、書類をたくさん記入する。一息ついたところで、受け取ったレンタル入院着に着替える。手術は16時からだが、それまで絶食とのこと。朝ごはんをあまり食べてこなかったので、軽く何か食べていいか確認したところ、売店で何か買って食べるならOKとのこと。階下にあるコンビニで軽くご飯を食べた。その後手術まで何度か点眼を受けたり、院内のWifi設定などをしているうちに手術時間となった。
いよいよ手術
手術室には、車椅子で連れて行ってもらう。
手術は部分麻酔で行われる。全身麻酔じゃないんだと怯んだが、もうなるようになるしかない。
手術台に仰向けに寝て。左眼だけ開いた布が顔にかぶされる。
左眼の視界は何か水のようなものがかけられているせいか、ぼんやりしていて、光のゆらぎしか見えない。
瞼の脇?から麻酔を打たれる。ちょっと痛い。嘘。かなり痛い。
麻酔が効いてくるとそんなに痛みは無いものの、時々眼の奥にじわぁと鈍痛を感じる。
手術中の音や声は全て聞こえているので、ああ今液体窒素で何かやってるんだな…今筋肉持ちあげてシリコン縫い付けてるのかな…など状況はわかる。わかるだけに怖い。身体がこわばってしまうので、できるだけ深呼吸をして身体が緊張しないように意識を逸らす。
一時間ほどして手術終了。
自分で身体を起こし、また車椅子に乗り、病室へ戻る。
左眼にはガーゼと、眼を保護する金型のようなものが貼られている。
術後の説明では、明日にはシャワーを浴びることができるそうだ。
夜には普通に晩ごはんを頂く。
今まで経験してきた入院は内臓系の手術のための入院が多かったので、術後に普通に生活できるのがとても不思議な気分。
夜になって、眼の奥から頭にかけて鈍い痛みを感じる。
深呼吸していればそのうち落ち着いて眠れるかなと思ったが、痛みが気になって全然眠れない。
術後に痛みがあったら内服の鎮静剤をもらえると聞いていたので、看護師さんに鎮静剤(カロナール)をもらう。
薬を飲んでしばらく様子を見たが一向に治まらないので、看護師さんにその旨伝える。
術後ということもあるのでと、夜なのにドクターが召喚される(すみません…)。
診察の結果特に問題は無さそうとのことで、別の鎮静剤(ロキソニン)をもらい服用。
これがなんとか効いて、その夜は無事就寝することができた。
入院生活
手術翌日(入院2日目)。
この日は朝から診察と眼科の偉い人の診察の両方があった。
診察が終わってから朝食。
私がやらなければいけないのは、朝昼晩就寝前の点眼のみ。
きちんと眼をつぶれば洗顔もシャワーもして良いとのことだったので、午後にシャワー。
あとは暇だったので、院内を散歩したり、Chromebookで動画を観たり、スマホで本を読んだり。
右眼だけで生活しているので眼が疲れるかと思ったが、意外と気にならないものである。
夜にまた頭痛がしたので、ロキソニンをもらう。
入院3日目。
早いものでもう退院である。
朝から診察があり、術後の経過は問題無しとのことで左眼のカバーをはずされる。
特に気にならなければ眼帯などは必要ないとのこと。
左眼は真っ赤でちゃんと開かない。ちょうど台風がきていたこともあり、眼に何か入ると嫌だなと思い、念のため眼帯を購入してつける。
術後の生活の説明を受け、10時には退室。
街に出て、行き慣れたファーストフードで一服。
世は全てことも無し。
退院後
退院後の生活
退院後が土日だったこともあり、土曜は家事以外はほとんどベッドの上でゴロゴロしていた。
車の運転ができないので、家人に買い物に連れて行ってもらう。
片眼がよく見えないので食事の支度がいつもの段取りのようにはいかず、ちょっとイライラする。
日曜は少し調子が良くなってきたような気がするので、少し散歩に出かけた。
左眼は充血しており、やや半目状態。視界はまあまあ見えるけれど、光がまぶしく感じるし、疲れやすい。鏡をよく見ると眼に黒い点のようなものが見える。これが手術で縫い付けたシリコンなのだろうか。
サングラスをしていると眼の状態を周りに見せずに済むし光が軽減される分楽だと気付いたので、月曜の出勤時はサングラスを着用することにした。
お守り代わりに退院時にロキソニンをもらったが、土曜に頭痛があった時に使っただけで、その後は服用していない。
月曜からは普通に通勤をし、職場に向かう。サングラスが心強い!
私の仕事はデスクワークなので、長時間モニターに向いているとやはり左眼が疲れるので、時々左眼をつぶって休ませたりしている。
運動制限がかかっているので、ジムに通ったり筋トレしたりはできないが、身体が鈍らない程度に歩いたり、ストレッチをしたりしている。
早くクライミング復帰したいし、山に行きたいし、バイクにも乗りたい。
運動制限解除されたらどこに行こうか考えることで自由に動けない憂さを晴らしている日々である。
1週間後に退院後の経過診察がある。
またその様子は追記するかもしれないが、順調でありますように…🙏
その後の経過はこちら