『ダンス・ダンス・ダンスール』を一気読みしてどハマりした
■はじめに
このnoteは一昨日から昨日にかけて『ダンス・ダンス・ダンスール』を一気読みしてどハマりし、「こんなにも芸術にめちゃくちゃにされてる人間を描いている漫画が20集も出ているのに今まで気付いてなかったなんて!!!」となった者が勝手に書いている魅力紹介noteです。いや本当に……芸術を愛する者としてこんなにすごい漫画を知らなかったの不覚すぎる……。お恥ずかしい……。
もちろん関係各所様方とは何の関係もございません。
あとまだ反芻しきれてないのに書いてるのは、ツイッターでアニメ化&20集記念のキャンペーンをやっていたので、ならついでにnoteも書いてしまおう……と思ったからです。最終日!! 滑り込み!!! 応援してます!!!!!!! みんな読んでください!!!! アニメ始まったら観てください!!!!!!!
■『ダンス・ダンス・ダンスール』あらすじ
主人公・村尾潤平は中学二年生。
幼い頃にバレエに魅了されるも、父の死をきっかけに「男らしくならねば」とその道を諦める。
バレエへの未練を隠しながら格闘技・ジークンドーを習い、クラスの人気者となった潤平だが、彼の前に、ある日転校生の美少女・五代都が現れる。
母親がバレエスタジオを経営する都に、バレエへの興味を見抜かれ、一緒にやろうよと誘われるが――!?
(上記作品ページより引用 最終閲覧日2021.4.18)
■魅力その1:目を背けたくなることも全てが必要な物語
『ダンス・ダンス・ダンスール』には正直に言うと、心がギュッとして苦しくなる、見たくないような偏見や性の消費、愚かさや醜さがたくさん描かれています。あらすじにもあるように、主人公の潤平は「バレエは男らしくない」と一度は諦めてしまいます。そのジェンダーバイアスが恐ろしく生々しく描かれていて、そこで読むのをやめてしまう方もいるかもしれません。わたしもかなり苦しみながら読みました。
でも、そこで読むのをやめないでほしい!!!!!!! 頼みます!!!!!!!!!! 一気読み仲間になって!!!!!!
『ダンス・ダンス・ダンスール』という作品は、そういうしんどいものもひっくるめて全てが必要不可欠な作品だと思っています。
人生って、気を付けていても、どんなにアップデートをしていっても、無意識でも意識的でも、何かの醜いものはあるじゃないですか。だからどうしたって、潤平にも、他の人たちにもたくさんの出来事や感情があります。ウワッて思う目を背けたいもの、それも含めて人生です。そして芸術を表現する者は、創造するものに己の人生が出てくると思います。『ダンス・ダンス・ダンスール』の登場人物においても同じことでしょう。それを糧にして成長していく。読者のわたしたちも彼らの人生を見ていって、一緒に進んでいける、そんな力を感じさせます。
というか!!!!! それが丸々16集の最初です!!!!! よろしくお願いします!!!!!!!!
一番最初にこのことを書いたのは、どう足掻いてもこの作品で避けて通れる話題ではないですし、前半部分はそういったものが特に多いので、この苦しさで「not for me」だったなと思って読むのをやめてしまう人が少しでも減ればいいなと思ったからです。
■魅力その2:芸術から得る魂の揺さぶりの描き方
これ!!!! 本当に!!!!! これ!!!!!!!!!!!!
バレエによって魂を揺さぶられて、きらめきを感じ取って、それにいてもたってもいられなくなる。その様子が本当に魅力的に描かれています。
「魅力その2」として書きましたけど、わたしが一番好きなところはここですね。
「感情の濁流を漫画でこんなに素敵に表現できるのか!!」という驚きと、「そう、そう!!!! 芸術にめちゃくちゃにされるあの感じ!! そしてただ好きで好きでたまらないの!!!」という共感とで、読みながら満足感で溜息をついたり、もうひたすら号泣して一回読むのを放棄したり、もう色々心の中を引っ掻き回されながら読みました。
ちなみにわたしの一番の号泣ポイントは前述した16集の最初の136、137幕あたりです。辿りついてほしい……頼みます……。いやでもそれ以前も、もちろんその後だって感情の濁流の嵐で素晴らしいんですよ……。全部読んでください……。
あと、『ダンス・ダンス・ダンスール』の描写はわたしの大好きな芸術の心理的作用についてのカタルシス効果がめちゃくちゃ感じられるという個人的な思いもあってとても好きです……。
芸術の中の内容に描かれていて現実のもののように感じられる感情と、一方でそれが芸術であるがゆえに現実でないということによってもたらされる感情との対立によって昇華され、未来のためのエネルギーとなり、新しい方向を得て、自分の世界を広げることができる。そんな芸術の特殊性、自分で改めてまとめてて思ったんですけど、やっぱり好きだな……。いやわたし専門家じゃないので、色々間違えてるところあると思うのでぜひ色々研究してください皆さん……。とりあえず以下に好きなやつ引用しておきますね……。
美的反応の基礎には、芸術によって呼び起こされ、私たちにより現実性と迫真性をもって体験される感情があるが、それは芸術の知覚が決まって私たちに求める空想の活動の中で自己放電をするということができる。この中枢放電のために感情の外的運動的側面はいちじるしく遅滞し、抑圧され、私たちは幻の感情を体験しているにすぎないと思ってしまう。この感情と思想の統一に、あらゆる芸術は基づいている。そのもっとも重要な特殊性は、それが対立的傾向の感情を惹き起こしながら、対立の原理のために情動の運動的表現を抑制し、対立的衝動に出会うと、内容の感情、形式の感情を否定して、神経エネルギーの放電、爆発をもたらすということである。
この感情の転化、自己燃焼に、すなわち、たったいま惹き起こされた情動を放電させる爆発的反応に、美的反応のカタルシスがある。
(ヴィゴツキー,2006年,『新訳版 芸術心理学』,柴田義松訳,学文社,pp.287-288)
■魅力その3:才能がある者とない者の対比
主テーマとなっているバレエでもそうなんですけど、それ以外でも『ダンス・ダンス・ダンスール』では才能がある者とない者との対比が事細かに描かれています。
遅くから始めたにもかかわらず驚くべきバレエへの情熱や技術の吸収スピードを持つ主人公、幼い頃からバレエのために生きているかのようなライバル、主人公のようになりたかった幼馴染、「主役にはなれないだろう」と諦められていて自分でも諦めてしまっている子……。様々なキャラクターが存在しています。
そして、ただの天才と凡人の対比だけでなく、同じ「天才」で括られるような存在でも、種類の違う才能や憧憬の対比が本当に巧みに表現されています。
いや、もう、これもすっごいんですよ……。そしてその対比によって巻き起こる感情が「一部の存在しか理解できないもの」でなく、「もしかしたら万人が共感できるものではないかもしれないけれど、それでも理解できるもの」として描かれているんですよ……。すごい……。
そしてわたしはそれをうまく説明できないので、お願いなのでぜひ読んでください……。
■おわりに
いやなんかもう感情の整理がつかないままこのnoteを書いてしまって申し訳ないんですけど、『ダンス・ダンス・ダンスール』ぜひ読んでいただけたら嬉しいです!!!!!!! 続きも楽しみ!!!!! アニメも楽しみ!!!!!!!
読んでいただいてありがとうございました!
寒暖差が激しい日々が続いておりますので、どうぞご自愛くださいませ。
2021.4.18 りう