50m走「2分37」
「いちについて、よーい、ドン」
春の恒例行事だった50m走。
僕は一回一回の計測に全力で取り組んでいた。
「俺ハッテンゼロ」「俺ナナテンハチ」「俺ハッテンニ」
自分の速さは男子の中で中の中くらいであることは自覚していたのに、なんかミラクルが起きないかな、と思って、アキレス腱を伸ばし、手をぷらぷらとさせ、まるでオリンピック選手がごとく集中してのぞんでいた。
思春期の僕は速くてカッコいい男に憧れていた。
でも走ってる時のほっぺたはプリンみたいに揺れていたんだと思う。ゴールする時には少しでもタイムを縮めたくて胸を思いきり押し出したけど、距離にすれば10cm。
胸クイの瞬間の顔、結構ひどいと思いませんか?写真に撮ることが出来れば、脅しにだって使える気がして今更ながら恥ずかしくなってきた夏の夜。
空を見上げていると
50m走を「アート」にしたらどうなるだろう
と思いました。
どうやって走ってもいいよ
と言われてスタートラインに立つ。
つまり、勝ち負けはなく、速さが全てではない走りの機会を提供されたということ。
走らなくても良いし、おしゃれをしてランウェイをしても良い。ダンスをしても良い、肩を組んで走っても良い。
僕ならゴルフボールをパターで思いきり打って、何秒かかるのか計測したいな。
皆さんならどんな50m走をしますか?
いちについて、よーい、ドン
50m走一緒にやりませんか(^-^)