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44歳、初産、イギリスでの自宅・水中出産計画

妊娠週数が順調に増え、さてどこで産もうか?という話になる。
帰国しての里帰り出産も考えたけど、産休との兼ね合いなど考えて、現実的なのはやはり医療がタダ(給与から天引きで保険料は強制徴収されてるし)なイギリス。
では分娩場所はどうする?
私と夫が出した答えは「自宅」だった。

イギリスでの三大出産場所

日本だと、例えば厚労省のサイトで出産について調べると、場所については病院・診療所・助産所の3択で、「自宅」ってまったく触れられないのね。
出産や分娩の場所を検索しても、施設での出産が前提の記事ばかり。

一方こちらではNHS公式サイト内のWhere to give birth: the options(出産場所の選択肢)で、まず自宅、次にMidwifery units or birth centres(助産センター)最後に病院、と、病院が言及される順番が日本とは反対なのが興味深い。

一人目は助産センターで安産だったという同僚は二人目を産むとき、担当のNHS助産師に自宅を薦められたそうなので、かなり「普通」な選択なのだ。

自宅どころか無介助出産ってアリ?

イギリスでは、無介助出産も探せばそこまで珍しくはない。
自宅で、完全に二人でやり切ったアメリカ人カップルに無介助出産の体験談や情報を発信するアメリカの団体 Freebirth Societyについても教えてもらった。

けど年齢のこともあるし、そこまで自信はなかったので、どれか一択で貫徹するのではなく、「第一希望は自宅出産だけど臨月の体調次第では病院とかへの方向転換もアリ」ということにして、宅飲みならぬ「宅産み」の準備は着々と進めていった。

事前に決めなくていい

イギリスNHSでは、事前に予約せずとも、産気づいた日にアポなしで来院・入院して出産できる。自宅なら自宅出産チームの助産師を派遣してくれるので、いつ連絡しても、それこそ分娩が始まってからでもOK。自宅出産、無介助、病院、計画するお産の形が何であれ、いつでも利用できる。
セーフティネットとしては素晴らしい仕組み。

数時間のスピード出産という話も聞いたことあるし、スムーズに行けばもしや無介助もありじゃないの?という感覚で準備した。

出産準備

自宅で産みたいとなると、ただのらりくらり産気づくのを待つんではなく、それなりの準備が必要になる。

NHS助産師による自宅出産査定

NHSに自宅で産みたいと伝えると、妊娠36〜37週ごろ、助産師が家に来て、出産に適切な環境か、必要なものは揃っているか、という査定をする。
助産師を呼ぶとこんな医療介入が受けられるよ、という情報提供や指導もしてくれる。

ドゥーラ

NHSの産科医療、つまり助産師や施設利用や産前産後の医療サービスはタダなわけだけど、もしかしたらNHSを利用せず(無介助で)出産できるかもしれないという目論見のもと、自費でドゥーラを雇った。

私たちのドゥーラは、産前ケアのセッション4回、産後ケア2回、そして分娩立会いというサービスパックで1500ポンド!安くはない。
でも、出産にまる一日、24時間以上ぶっ続けで立ち会うことも珍しくないわけで、心の面で安心感が違うし、初産なのでこれもベストを尽くす一環、と投資することにした。

バースプール

イギリスでは水中出産が人気で、病院にさえ水中出産用の部屋がある。
家にあるお風呂は日本と違ってたいてい長くて浅いので、陣痛の時に肝心の部分が浸からない。和痛の意味でも、赤子を産み落とす目的でも最適とは言えない。病院や助産施設にはプラスチック製の深い専用バスタブがあるけど、自宅では、空気で膨らますプールを使うのが主流。

私たちは、地元のNCT自宅出産グループが無料で貸し出すbirth pool in a boxという製品を借りた。どういうものかは、アメリカの助産師によるYouTube動画↓が非常に良く説明してくれてる。

ノイズキャンセル機能付きのヘッドフォン

説明は省くけど、分娩中に「ゾーンに入って」その状態を保つため、周囲の音や話し声をシャットアウトできるヘッドフォンを買った。

出産用の祭壇

「祭壇」なんじゃそりゃって思うかもしれないけど、自宅で分娩中、リラックスして幸せな気分を高めてくれるものや写真を集めたコーナーを設置することを薦められ、最近の楽しかった思い出の写真、好きな匂いのするものなどを置いた。

リポソーマルビタミンC

ビタミンCベイビーの記事で触れたクレナー医師は分娩中に静注でビタミンCを投与していたそう。自宅じゃ静注はできないので、代わりに吸収効率のいいリポソーマル型のビタミンCを用意した。

ハーブティンクチャー(チンキ)

分娩後の異常出血があった場合に出血を止める作用のある Shepherd's Purse (ナズナ)と Yarrowのティンクチャー(チンキ)と、胎盤が出てこないときに服用するアンジェリカの根のティンクチャーを、スコットランドのハーバリストNapiersから購入。

病院バッグ

病院で産むという選択肢の優先順位は低いけど、もし分娩や産後に来・入院することになった場合に備えて、病院バッグも準備。

  • 楽なジャージ

  • 大きめのパンツ

  • Tシャツ

  • バスローブ

  • サンダル

  • おむつ

  • ウェットティッシュ

  • 赤ちゃんの着替え:肌着と足つきロンパース、生まれてくる大きさがわからないので2サイズ

  • おくるみ・ブランケット

  • 産褥ナプキン

  • おやつ

  • 携帯充電器

日々の運動で体力づくり

エクササイズのクラスとかは始めそびれたけど、どこに行くにもだいたい自転車で移動し、歩いたり、妊婦は重いものを持つなというけども、そこそこの荷物は持ったりと、できるだけ体を使うように心がけた。

予行演習

ドゥーラとの産前ケアセッションの一環で、自宅での分娩の予行演習をした。
バースプールに水を溜めるまでどのくらい時間がかかるか、温水は足りるか、ホースを繋ぐところからやるわけで、これは必須の段取り。
予行演習の後は、夫と二人で浸かったけど、バスタブと違って硬くないし深く浸かれるので、スパ感覚でなかなか楽しめる!

バースプラン

助産師が家に来たときや、病院に行ったとき、これはやりたい・やりたくないなど、こちらが希望するお産の形や医療介入について細かく指定した文書。印刷してクリアファイルに入れて置いておき、NHSに対応する際に渡す。
完成したとき私はもうすでに産休に入ってて、夫の仕事場で印刷してもらった。それから数日で陣痛が来たのでギリギリだった。


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