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某海外IVFクリニックでの初診対応をヨーロッパ生殖医学会2023年最新ガイドラインが斬る!
ギリシャのクリニックAに提案された付加検査・処置について、世界の生殖医学最高権威(の一つ)といわれるヨーロッパ生殖医学会(ESHRE)が2023年8月に発表した生殖医療の付加的処置ベストプラクティス(英語)に照らし合わせてチェックしてみた。
なぜ推奨するのか・しないのかは原典で直前のページで解説されてます。(画像の下に原典の該当ページ番号あり)
子宮鏡検査:ルーチン使用(=全患者を対象)は推奨しない
ギリシャやイギリスだと、診るだけの子宮鏡検査は1500ユーロ/ポンド(24〜27万円相当)が相場ですが、チェコのクリニックでは同じ検査が軒並み500〜600ユーロ(8〜9万円相当)。えらい違いだ。
どっちにしろ高額検査には変わりないし、初期段階で誰も彼もがやる必要はないということだと思います。
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子宮内膜スクラッチ法:ルーチン使用は推奨しない
「やったあとに自然妊娠することが多いので、施術後数ヶ月は自然妊娠を試みるよう薦めている」なんて言われれば、やるでしょ(笑)
本当に実例があるんだろうなというのは疑いませんよ?
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免疫検査とステロイドでの免疫抑制:推奨しない
免疫検査も、その結果を元に提案されたステロイドも、どちらも条件なしでNGじゃん(笑)
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精子DNA損傷検査:ルーチン使用は推奨しない
夫はこのためにわざわざギリシャ行ったんだなと思うとチョット切ない。
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ここまで「推奨しない」が多いと、クリニックAのメッキが一気に落ちた感あります。
あそこで提案された検査の中で唯一載っていなかった、子宮内フローラ検査は、先進医療すぎてESHREの調査対象でさえないのかな(笑)
とはいえ、当時はガイドラインも発表前だったし、ESHRE自体、妊活コーチに聞いて初めて知ったので、的確なリサーチに基づいてではなく、闇雲な検索と勘で意思決定してたんですけどね。
ちなみに私があれだけ熱をあげていた卵巣PRP療法は…
PRP療法:推奨しない
どのクリニックにも口を揃えて「あなたには薦めません」と言われ、この頃には熱が冷めてましたが。
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こうやって「推奨しない」ばかり載せると、実際に上のどれかを使って患者に対応してるクリニックを批判しているかのように見えてしまうかもしれないので、ことわっておくと、症例の特異な状況や症状に合わせて使うことを否定する意図はありません。
流産や着床不全を繰り返す患者に、この人は既往歴がこうで検査でこう出たからステロイド、って対応は正解なことも多いのでしょう。そういう体験談も割りと見かけますから。
でも私のケースでは、既往歴も治療歴もない新規患者を誘い込むエサみたいな使い方してない?って感じがした、それだけっす。