サイドバックからフォーメーションを決めるとうまくいく
採用するフォーメーションと戦術を考える際に、どのポジションから置いて行くかは人それぞれかと思う。
まず、チーム内の絶対的な選手(1~3人ほど)は最も得意とするポジションと役割を割り振るのが定石か。大体の場合エースストライカーや中盤の選手であることが多いが、それが戦術の方向性を決定づけることはあまりない。
足が速いストライカーやウインガーはカウンター向けだがポゼッションでも別に活躍はする。パサーや潰し屋といったタイプの選手もまた戦術はあまり選ばない。
全体的なチームの能力値傾向が露骨にスピード型だったりした場合はまあカウンターでいいのだろうが、あまりはっきり決められないことの方が多い。
じゃあどうすればいいのか?
解答は監督の数だけ存在するが、ここで提唱するのはサイドバックの能力を見てフォーメーションを決める手法である。理由はいくつかある。
SB(WB)から決めたほうがいい理由
SB/WBのいないフォーメーションは原則存在しない
全世界的に優秀なSBが不足しているため、SBは補強しづらい。WBはもっといない。当然補強のコスパが悪い。
SBは専門職の傾向があり、他のポジションもできるがSBもできる、みたいな選手が少ない。
偽SBの台頭でSBの戦術の幅が広く、選手とミスマッチする役割を振りたくない
スカッドにいる選手の能力値傾向からサイドの高い位置にオーバーロードする戦術か偽SB・偽WBのビルドアップ参加かあたりが確定するので少なくともその前のウィング(とFW)をどうするかは定まる。(中盤はある程度の方向性くらいしか決まらないが…)
要するにSBは手持ちで何とかしたいし、その割に役割の向き不向きが激しいし、戦術やフォーメーションへの影響も少なくないという厄介なポジションなのだ。
ここからはどう決めていくかを書く。SBとWBが混在するとややこしいのでSBに話を絞る。これ以降のウィングバックはサイドバックにウィングバックの役割を振ることを指す。わかりづらい。
SBのよくある能力値パターン
アーセナル所属の左SBが説明に都合がいいので例に使う。
スピード型
フィジカルのスピード、加速力にドリブルやクロスといった能力が高い選手がこれに該当する。いわゆる攻撃的サイドバックのイメージ。このタイプはグラフの右側が尖る。役割はウィングバック系。より攻撃に寄せたい場合はコンプリートがついてるほうにする。何がどうコンプリートなのかはずっとやってきてもよくわからない。
中に絞るタイプのウィング、あるいはウィングを置かないフォーメーションとの相性がいい。
推奨:ウィングバック(サ・攻)、コンプリートWB(サ・攻)
守備型
身長が高く、スピードはまあまあでタックル、マーキング、ポジショニング等が高い選手が該当する。SB適性のあるCBを無理やりSBで使う場合も大体これに該当する。グラフは上のほうに寄りがち。
ドリブル、クロスはそこまで得意じゃないことが多いので、あんまり前に上がらないほうがいい。冨安位足元があるなら偽SB(インバーテッドSB)の目が出てくる。
推奨:サイドバック(サ・守)、インバーテッドSB(守)
パサー型
パスや視野が高く、いわゆる司令塔っぽい動きができるサイドバック。中盤もできることが多い。能力値配分もMFに近く、万能よりだが、大抵高さや守備スキルには難があることが多い。グラフは丸めになるが、最悪空中とか守備力とかは凹んでいてもいい。(中央の守りを任されるため基本的にはあったほうがいいが)
頑張れば攻撃的サイドバックとしても使えるが、基本的には偽WBがいい。
推奨:インバーテッドWB(どれでも)・サイドバック(サ)・ウィングバック(サ)
で、どう決まるの
※左右別々のタイプのSBがいる場合、左右で別の判断をしてもいい。むしろ片方が守備に寄ってるならもう片方は攻撃寄りにした方がバランスが取れる。
スピード型がいる場合
縦に上がることが想定されるので、ウィングは起用しないか、内側に入っていく方がいい。どちらにするかはウィングとFWの層と相談になる。例に挙げるアーセナルは両ウィングがワールドクラスなのでウィングを起用するのは確定か。
で、内側に入っていく役割はどれかというと、実はウィング以外全部が該当する。ほぼ選び放題。インバーテッドウィング、インサイドFWあたりがよくある選択。
ちなみにインサイドFW(三笘みたいなタイプ)は実は外から中という性質上どっちで扱っても問題なかったりする。
FWは落ちてボールを受けるターゲットFWやフォルスナイン、ディープライイングFWが選択肢に入りやすい。ワンボランチのハーフバックやアンカーでディフェンスをフォローして、SBが上がりやすくするのもいいだろう。
チームが強い場合はハイラインハイプレスのゲーゲンプレス系の戦術、そこまででもない場合はカウンター気味になるか。全部ゲーゲンプレスでもいいんじゃね?というのは言わない約束。
守備型がいる場合
原則ウィングを起用する。当人はサイドアタックにはあんまり貢献してくれないのでサイド攻撃に特化したウィング、あるいは大外から中へ侵入を試みるインサイドFWの二択だろう。ウィングには基本的にタスクは攻撃を振ることになる。
逆にボランチが下がってきて守る必要はなくなり、それに押し上げられる形でIHは上がりやすくなる。中盤が守備力<攻撃力の選手ばかりという時に効果的。この場合やや中央突破の色合いが強くなるだろうか。
SBが前のウィングを追い越したりしない分、ネガティブトランジションでごちゃつかない(気がする)。
補足・偽SBを起用した場合
偽SBを使う場合ウィングへの展開には貢献するが、縦ではなく横に動くため、当人はサイドアタックをほぼしなくなる。つまりサイドアタックの頻度はともかく突破力は下がる。その代わりCBが1枚増えるような効果があるため、特にカウンターに対しての守備力が高くなりやすい。最終ラインからのビルドアップの貢献も期待できる。
偽SBがある側のCBにリベロを任せることでさらに最終ラインからのビルドアップをしやすくすることもできる。これは従来のリベロではなく、いわゆる偽CBと呼ばれる動きになる。
パサー型がいる場合
100%生かすなら偽WBをさせよう。通常のウィングバックでも動けはする。
偽WBはポゼッション時にボランチの脇に動くので、動くスペースを確保するため基本的にワンボランチになる。この場合、ボランチは守備の負担が重めなので、守備的な役割が望ましい。
ウィング・インサイドFWへの展開のしやすさ、カウンターへの備えは偽SBと同じ。ウィングを置かない、ということは基本的にないのも同じ。それに加えて中盤でのパス回しがしやすいことからポゼッションよりの戦術が生きるだろう。
以上、SBをチームの中心に据える宗教の勧誘でした。