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Tableau の 結合、リレーションシップ(リレーション)、データブレンド(ブレンディング)を理解する


はじめに

こんにちは。
この記事では、2020年に導入されたデータモデル「リレーションシップ」について書かせていただきます。
「リレーション」とも呼ばれますが、本記事では「リレーションシップ」と表現します。

TableauのHPでは、この「リレーションシップ」について
「固定された出力を分析前に作成する結合とは異なり、リレーションシップは分析中に複数の表を組み合わせてデータを集計し、Viz 内のフィールドとフィルターに基づいて、必要な詳細レベルでデータにクエリを実行します。」
と書かれています。しかしながら、正直、これだけだと分かりにくいです。

この記事では、この「リレーションシップ」を加え、改めてTableauのデータを関連づける機能
結合
・リレーションシップ
・データブレンド(ブレンディング)

の挙動、特徴を整理したいと思います。

リレーションシップは、結合とも、データブレンド(ブレンディング)とも異なります。
どのように違うかを、サンプルデータを用いて検証していきます。
本記事で利用しているワークブックは下記、Tableau Publicにパブリッシュしてあります。
https://public.tableau.com/app/profile/satoshi.ganeko/viz/note_/sheet0

利用するデータは、ある町の中古スマホショップ
「サンプルスーパーモバイル」のデータです。

画像42

扱っている機種は2機種、「tPhone」と「Tperia」です。
色は両機種とも「」と「」があります。
中古ショップなので、販売買取の両方を行っています。

ケース1 
集計済みデータ同士の結合

1つ目のサンプルデータは、1月から3月までの販売と買取のデータです。
販売と買取の双方とも、月別、機種別、色別で集計済みのデータです。

画像2

この2つのデータテーブルにTableauから接続します。
両データテーブルをTableauで扱う方法はいくつかありますが、
シンプルに結合してみます。

次のように、月、機種、色を結合キーとして結合(内部結合)しました。

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結果、両データテーブルの1行1行が1対1で対応し、下図のデータソースが出来上がります。

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このデータソースを使って、
機種、色、月毎の、販売数量および買取数量をVizにしてみました。

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2重軸で、販売数量合計と買取数量合計を重ねています。青が販売数量、
オレンジが買取数量となっています。
これで問題なく完成です


ケース2 
個々のトランザクションデータと、集計済みデータの結合

続いて、別のサンプルデータで考えてみたいと思います。
ケース1と同じ中古スマホショップの同じ期間のデータです。
ただし、今回の販売データには、集計したものではなく1台1台の販売が個々のレコードとして記録されています。

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この2つのデータテーブルを月、機種、色を結合キーとして結合(内部結合)してみます。

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この場合のように、片方は個々のトランザクションのデータ、もう片方は粗い粒度で集計したデータで結合した場合、個々のトランザクションデータ1行1行に、集計側のレコードがすべて対応(多対一)してしまい、集計側のレコードが複製されてしまいます。

【イメージ図】

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結果、

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この赤枠のように、集計側のデータが複製されています。

このデータソースで、
機種、色、月毎の、販売数量および買取数量をVizにする時、
[数量.買取]を合計してしまうと

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このように、集計済みの買取データが複製されているため、大きな数字になってしまいます。
解決するためには、[数量-買取]の集計方法を最小値にして利用するなどの配慮が必要になります。(下図)

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結合はあくまで行レベルの関連づけである、という事が分かります。
では、次のケースで、この結合の代わりにリレーションシップを用いてみましょう。


ケース3 
個々のトランザクションデータと、集計済みデータのリレーションシップ

ケース2と同じ、
販売データは個々のトランザクションのデータ、買取は集計済みのデータです。

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今度は、このデータテーブルに、月、機種、色をキーとしてリレーションシップを設定します。
*この「キー」の事は、Tableau HPでは「関連フィールド」と呼ばれています。この記事では「キー」という用語で表現させて頂きます。

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リレーションシップは、ケース2の結合のようにデータが複製されるという現象を、回避してくれます。
イメージで描くと、キーとして設定したフィールドが一致している範囲に関連性を持たせながら、実際にデータテーブルをくっつける事はせず、両テーブルをデータソース内で共存させています。
【イメージ図】

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データペインは下記になります。

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そして、この両データテーブルのデータをVizに利用した時に、この関連づけが機能し、それぞれの範囲での集計値を利用してVizが作られます。

これまでと同じ、
機種、色、月毎の、販売数量および買取数量をViz
を、集計済みデータ[数量.買取]の合計で作っても、正しい数字となってくれます。

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*補足
列シェルフ、行シェルフに置く機種、色、月のフィールドは、販売側のフィールド、買取側のフィールドのどちらを利用しても結果は同じです。


ケース4 
個々のトランザクションデータ同士のリレーションシップ

リレーションシップのさらなる例として、販売、買取データともに個々のトランザクションデータとなっている例を見てみましょう。

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もし、この2つのデータテーブルを結合してしまったら、お互いのテーブルで、キーの一致している行同士すべてが対応し複製され、とんでもなく増殖してしまいます。
以前は、このような場合はデータブレンド(ブレンディング)がベストプラクティスでしたが、今はリレーションシップが力を発揮してくれます。

再び、月、機種、色をキーとしてリレーションシップを設定します。

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この時も、データテーブルはくっつくことなく、キーが一致している範囲同士で関係性が作られたまま共存します。
【イメージ図】

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このデータソースを利用して
機種、色、月毎の、販売数量および買取数量をVizにする時、
下図のようにカウントで個数を数えても、レコードの複製は起きておらず正しい数値が表示されます。

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数量でなく、販売価格合計と、買取価格の合計を比較したい場合も、
合計([価格.販売])、合計([価格.買取])
を用いれば、

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このように、それぞれの範囲で適切に集計してVizに表示してくれます。

結合を「行レベルでの関連付け」と表現するなら、
リレーションシップは「範囲レベルでの関連付け」と表現しても良いかと、個人的には思っています。

さて、ここで計算式とリレーションシップに関する挙動を、いくつか紹介します。


最初は2つのデータテーブルにまたがった集計計算です。
販売価格合計から買取価格合計を引いた集計計算式
SUM([価格.販売])-SUM([価格.買取])
を作りVizに表示しました。

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この時、例えば「1月 の tPhone の 白」に関しては

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という、テーブルそれぞれで関連する範囲のデータが合計され、
その後に引き算が行われています。
望み通りの計算結果を得られています。


続いて行レベル計算
[価格.販売] - [価格.買取]
を作りました。そして、これを合計してVizに置きました。

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この
[価格.販売] - [価格.買取]
は、行レベルの計算式です。
[価格.販売] と [価格.買取]はそれぞれ、リレーションシップを設定した
販売のテーブルと、買取のテーブルにあります。
ではこの行レベルの計算式は、どの行とどの行の組み合わせで計算が行われているのでしょうか?
正解は、キーで関連づけされるすべての組み合わせです。

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例えば、「1月 の tPhone の 白」に関しては
販売テーブルの4行 × 買取テーブル3行 すべての組み合わせで
[価格.販売] - [価格.買取]
が行われます。

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この組み合わせは、上図の12通りです。
Vizに表示された「1月 の tPhone の 白」の68,300は
これら12通りの計算結果の、合計となっています。
22400-15900 + 20700-15900 + 17900-15900  +  20700-15900
22400-13900 + 20700-13900 + 17900-13900  +  20700-13900
22400-14400 + 20700-14400 + 17900-14400  +     20700-14400
=68300

この計算式を実施する組み合わせが12通りになっている動きは、行レベルの結合を行った場合と似ています。つまり、リレーションシップを設定した複数のテーブルにまたがる行レベル計算を行った場合は、テーブル同士を結合(内部結合)した時と同じ動きです。

このように、リレーションシップは状況に応じ、テーブル同士を関連づける方法を変えてくれます。

結論としてリレーションシップでは、
・データテーブル内で行う集計計算は、各テーブルの範囲内で集計する。その後、データテーブルをまたぎ集計結果を利用する場合は、集計結果同士を関連づける。
・テータテーブル内の行レベル計算は、そのままテーブル内で計算を行う。
・データテーブルをまたぐ行レベル計算は、キーで関連づけられる範囲内のレコード全ての組み合わせで計算を行う。
と整理できます。


ケース5 
個々のトランザクションデータ同士のリレーションシップ(キーが一致しないレコードが含まれている場合)

さて、レコードの複製を回避してくれるリレーションシップを考えると、もうデータブレンド(ブレンディング)の必要はないのではないか、と思われるかもしれません。しかし、リレーションシップとデータブレンド(ブレンディング)には大きな違いがありますので、ここからは、その違いを確認したいと思います。

次に使用するのは、1-3月ではなく、
4-6月の販売、買取の個々のトランザクションデータ です。

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1-3月のデータと形は同じですが、一部違うところがあります。

販売では、
5月 Tperia の 白
6月 tPhone の 黒
の販売がありませんでした。

また、買取では、
5月 tPhone の 黒
6月 Tperia の 白
の買取がありませんでした。

この事を意識しながら、再びリレーションシップでつないでみます。

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このデータソースで、これまでと同じように、月、機種、色毎の、販売数量、買取数量をVizにしてみます。
最初は、販売のテーブルから月、機種 色のディメンションを利用してみます。

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出来上がったVizは下図になります。

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販売のない、
5月 Tperia の 白
6月 tPhone の 黒
買取のデータは、左上の部分に機種、色ともNULLとなって表示されます。

もし、買取のテーブルから月、機種 色のディメンションを利用した場合は、

画像40

Vizは下図になります。

画像40

今度は、買取のない、
5月 tPhoneの 黒
6月 Tperiaの 白
販売のデータは、左上に機種、色ともNULLとなって表示されました。

これは、リレーションシップで設定されたキーで、データテーブルを関連づけるとき、対応する相手のないレコードは、関連づけされないためです。


このように、月によって、販売データのない月、買取データのない月、が存在している事が分かったので、今度は月毎に分析せず、機種毎と色毎だけで、販売数量と買取数量を比較してみます。

下図のように、列から「月」のディメンションを外しました。

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しかしながら上図のように、機種、色がNULLとなっている部分のデータはそのまま、NULLで表示されています。
4-6月のデータを、月は気にせず、機種、色で集計すれば

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このように全ての組み合わせで、販売、買取の数値がそろっています。
しかしながら、ディメンションを機種、色とした上記のVizでは、
この集計値を上手くVizに表示できていません。

その理由は、

リレーションシップのキーは、データソース作成の段階で決定されており
このキーすべてが一致する範囲以外のデータは、関連づけられない。

ためです。
つまり、Vizに使うディメンションを機種、色だけとしても
リレーションのキーは、「月 と 機種 と 色」
と「月」が含まれたままです。このキーは、リレーションの設定画面で変更しない限り変わりません。

結果、
販売テーブルの、機種、色をディメンションに使うと、
販売のない、
5月 Tperia の 白
6月 tPhone の 黒
買取のデータは、機種、色がNULLとなって表示されます。(下図)

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また、
買取テーブルの、機種、色をディメンションに使うと、
買取のない、
5月 tPhone の 黒
6月 Tperia の 白
販売のデータは、機種、色がNULLとなって表示されます。(下図)

画像40

では、データブレンド(ブレンディング)を使用した場合はどうでしょうか?
次のケースで見てみたいと思います。

*補足
リレーションシップを設定していて、キーの一致しないレコードがある場合、ディメンションだけをVizに使うと、キーの一致しないレコードは表示されません。
これは、内部結合の際にキーが一致しないレコードが除外されるのと似ています。

画像42

(もし、キーの一致しないレコードも表示させたい場合は、
画面上の分析メニューから、
表のレイアウト→ 空の行を表示 , 空の列を表示
を設定すると表示されます。)

一方、Vizにメジャーも利用した場合は、キーが一致しないレコードもVizに表示されるようになります。
これは、完全外部結合の動きに似ています。

画像42


ケース6 
個々のトランザクションデータ同士のデータブレンド(ブレンディング)
(販売、買取に欠落している月のある場合)

今度は、ケース5と同様の事をデータブレンド(ブレンディグ)を利用して行ってみたいと思います。
データブレンド(ブレンディグ)ってなんだ?
という方は、下記の記事も併せてご参考ください。
https://note.com/ritz_tableau/n/n950eaac03128

引き続きケース5と同じ、販売4-6月のデータ、買取4-6月のデータを使用します。

画像40

ケース5と同様
販売では、
5月 Tperia の 白
6月 tPhone の 黒
の販売がありませんでした。

買取では、
5月 tPhone の 黒
6月 Tperia の 白
の買取がありませんでした。

今回は、それぞれデータテーブルに別々に接続し、違うデータソースとしました。

下記が、販売テーブルのデータソース、

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そして、下記が買取テーブルのデータソースです。

画像42

*補足
それぞれの、月、機種、色のフィールドは、名前を「月」「機種」「色」に変更してあります。(ブレンド関係を自動で作動させるためです。)

まずは先ほどのケース5と同じように、月、機種、色毎で販売数量、買取数量を表示するVizを作ってみます。

ここで、影響してくるのは、販売テーブルと買取テーブル、どちらをプライマリデータソースとして利用するか、です。
販売テーブルをプライマリデータソースとし、買取テーブルをセカンダリデータソースとする方法
買取テーブルをプライマリデータソースとし、販売テーブルをセカンダリデータソースとする方法
どちらも可能です。
まずは、前者
販売テーブルをプライマリデータソースとし、買取テーブルをセカンダリデータソースとする方法」
で作ってみます。
 
販売テーブルをプライマリデータソースとし、月、機種、色のフィールドをディメンションとして利用します。
メジャーとしては、販売テーブルのカウントと、買取テーブルのカウントを利用し、下図のように作成しました。

このVizにおいてブレンド関係キーは、自動的に
「月」、「機種」と「色」となっています。セカンダリデータソースのデータペインでは、「月」、「機種」と「色」のアイコンが鎖が繋がっているアイコンになってプライマリデータソースと関連付けされているのが分かります。

このVizを見て気づくのは、
買取のない
5月 tPhone の 黒
6月 Tperia の 白
については、販売テーブルのカウント(青)のみ表示されている点です。
これらの月、機種、色は買取がないのですから、買取テーブルのデータが表示されないのは特に不思議ではありません。
 
もうひとつの気づくのは、
販売のない
5月 Tperia の 白
6月 tPhone の 黒
には、何も棒グラフが表示されていない事です。
これらの月、機種、色では買取はあったのに、その買取データは表示されず、NULLとなっています。
Vizの右下にも「2個のNULL」とインディケーターが表示されています。
これはデータブレンドの、
「プライマリデータソースにデータの存在しない部分では、セカンダリデータソースとの関連付けは行われず、結果的にセカンダリデータシースのデータは表示されない。」
という特徴のためです。
 
ならば、プライマリデータソースとセカンダリデータソースを入れ替えるとどうなるでしょう?
さっそく試してみます。
 
次は、買取テーブルをプライマリデータソースとし、月、機種、色のフィールドをディメンションとして利用しています。メジャーとしては先ほどと同様、販売テーブルのカウントと、買取テーブルのカウントを利用し、下図のように作成しました。

今度は、
販売のない、
5月 Tperia の 白
6月 tPhone の 黒
には買取データのみ表示されました。(オレンジ色)

一方、
買取のない
5月 tPhone の 黒
6月 Tperia の 白
については、NULLとなりました。販売データはありますが、そのデータは表示されていません。
これも先ほどと同じ理由です。今度は買取テーブルがプライマリデータソースなので、その買取テーブルにない月、機種、色の部分がNULLとなったのです。

 
ここまでは、
「月によって、販売データのない月、買取データのない月があり、その部分は表示出来ていない。」
という点で、ケース5でリレーションシップを利用した場合と、とても似ています。
ではケース5と同様に、月毎では分析せず、機種と色毎だけで、販売数量と買取数量を比較することにしましょう。
 
そのためには、今、列に置かれている「月」を外すだけです。

すると、月は気にせず、機種と色毎で、販売数量、買取数量を表示するVizとなります。
(販売テーブル、買取テーブル、どちらをプライマリデータソースとしていた場合も同じVizになります。)
 
ケース5のリレーションシップ利用時とは違い、NULLとなるレコードは発生しません。
これは、このVizにおいてはブレンドリレーションシップキーが「機種」と「」のみになっていて、「」はキーとなっていないためです。
セカンダリデータソースのデータペインでは、「機種」と「色」のみ、鎖が繋がったアイコンになってプライマリデータソースと関連付けされているのが分かります。

一方、リレーションシップ利用で
ケース5とケース6で使用しているような、月によって販売、買取のデータに不一致が存在する(つまり、リレーションシップキーで結びつかないレコードがある)データに関し、
月は気にせず、機種と色毎のみでの比較」をするためには、データソース編集画面に戻り、リレーションシップキーから「月」を外す必要があります。しかし、このキーの変更は同じデータソースを利用している全てのワークブック・ワークシートに影響します。
データソースを複製し別のデータソースとし利用する事も可能ですが、それも煩雑です。
 
一方、ブレンド関係のキーは、ワークシート毎に自由に変化させることが出来ます。
ここが、データブレンド(ブレンディング)とリレーションシップが大きく異なる点であり、データブレンド(ブレンディング)の特徴が活かされる場面と言えると思います。
(下記の記事もご参考いただけると思います。良かったらご覧ください。)
https://note.com/ritz_tableau/n/n8b5f0dd603ce

整理すると、

リレーションシップのキーは、データソース作成時点で固定されている。
 →Staticと表現されています。
データブレンド(ブレンディング)のキーは、ワークシート毎に任意に変更できます。
 →Flexibleと表現されています。

まとめ

リレーションシップの、
レコード複製を避けてデータテーブルを結びつける働きはとても画期的です。
結合クエリがなくなり、パフォーマンス向上も期待されます。
また、リレーションシップを設定したデータソースをパブリッシュできる点も、大きな利点です。
しかしながら、これで、結合やデータブレンド(ブレンディング)の役割がなくなったわけではないようです。

・結合
・リレーションシップ(リレーション)
・データブレンド(ブレンディング)
の詳しい違いは、Tableau HP
https://help.tableau.com/current/pro/desktop/ja-jp/relate_tables.htm
に記載されています。

まだまだ私も研究中ですが、思いつくそれぞれの利用シーンを挙げてみます。(2022年11月、一部編集済み)

結合
・内部結合、左外部結合、右外部結合などの結合方法により、不要なデータを除外したい場合
・関連付けが1対1で対応で、レコードの複製を気にしないで良い場合
・マスターテーブルとの結合など、多対1(1対多)結合であっても、レコードが複製される側にディメンションしかない場合(メジャーの集計が、行の複製により増大する、などの悪影響を受けない場合という意味です。)
・抽出ファイルを作るつもりなので、結合クエリによるパフォーマンス低下を考慮しないで良い場合

リレーションシップ
・1対多、多対1、多対多の関連づけで、結合を行ってしまうとレコードの複製が発生してしまう場合
・3つ以上のテータテーブルが関連し、結合だと複雑化してしまう場合
・必要な場合のみ関連づけの処理を行わせる事で、パフォーマンスを向上したい場合

データブレンド(ブレンディング)
・ワークシート毎に、関連付けのキーを柔軟に変化させたい場合
・データテーブルを別々のデータソースとして扱い、関連づけが必要なワークシートでのみデータブレンドで関連づけた方が、作業しやすい場合
・プラリマリデータソースの優位性(集計後の結合が、プライマリデータソースを左にした左外部結合である事)を利用したい場合
・もともと別のデータソースとして存在しているデータを、関連づけたい場合


この3つを、上手く使い分けたいところです。
以上、長文をご精読頂き、ありがとうございました。

本記事を書くにあたり
SPLINE社さまの下記Web Pageを参考にさせて頂きました。お礼申し上げます。

By ritz_Tableau
Tableau Zen Master | Tableau Public Ambassador |
Tableau Certified Professional | Data Saber
Twitter : @ritz_Tableau
Tableau Public : https://public.tableau.com/profile/satoshi.ganeko#!/
*記事の中に不正確な点などありましたら、是非、Twitter Direct Mailでお知らせ下さい。よろしくお願いします。m(__)m


おことわり

当記事のコンテンツについて、商用利用でない場合は許可なく転載して頂いて構いません。(ハードル画像および他のサイトから引用している画像は除く)
転載の際は、当記事へのリンクを掲載し転載であることを明記してください。商用利用の場合は許可なく転載しないで下さい。
当記事のコンテンツについて、可能な限り正確な情報を掲載するよう努めていますが、誤情報が含まれたり、情報が古くなっている可能性があります。




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