見出し画像

初めてのルーティング(2日目)

初めてのルーティング(1日目)に引き続き、ルーティング研修についてお話します。今回はルーターが2台になった場合のルーティングとルーティングの種類についてお話します。
初めてのルーティング(1日目): https://note.com/girla/n/n147f610d842d

■目的
・ルーターを2台設置した場合のルーティング設定
・スタティックルーティングの設定

前回は、2つのPCを「リピーターハブで繋いだ場合」と「ルーター1台で繋いだ場合」を検証しました。2つのパターンの違いは以下の通りでした。

リピーターハブ:同ネットワーク間のみ接続が可能
ルーター   :別ネットワーク間の接続が可能

異なるネットワークに接続するためには、ルーターが必要ということが分かりました。

さて、ルーターを2台設置した場合は、何が変わりますでしょうか。
まずは、図1の環境で考えてみましょう。
1台の時は2つのネットワーク間のルーティングでしたが、2台の時は3つのネットワーク間のルーティングになることが分かります。

画像1

図1. ルーター2台設置した場合のネットワーク

ルーターAは「10.0.10.0/24」と「10.0.20.0/24」のネットワークを知っていますが、ルーターBの右側にある「10.0.30.0/24」のネットワーク情報は知りません。ルーターBについても然りで、PC A側のネットワーク「10.0.10.0/24」の情報は知りません。

つまり、PC AからPC Bに接続するためには、ルーターAがPC Bが所属するネットワークの情報を知っている必要があります。しかし、ルーターAはその情報が分かりませんので、PC Bのネットワークを知っているルーターBに聞きに行く必要があります。

まとめると、ルーターAに宛先「10.0.30.0/24」のリクエストが来たら、ルーターBに転送するといった設定を入れてあげる必要があります。

1. ルーティングの種類

ルーティングにはスタティックルーティングとダイナミックルーティングの二種類あります。名前の通り、設定が静的か動的の違いになります。小さい規模の会社であれば、スタティックルーティングで十分ですが、規模の大きい会社であれば、ダイナミックルーティングが一般的です。

・スタティックルーティング
設定値が変化せず固定されているため、安定している。
ルーティング情報が変わる度にルーティングテーブルを修正する必要がある。また、障害時に別のネットワークへ切り替えができない。
・ダイナミックルーティング
設定値が動的に変わるため、設定を都度修正する必要がない。
ルーティングプロトコル(RIP/OSPF)によって、ルーティング情報が各ルータ間で行われ、ルーティングテーブルが自動的に更新されます。

詳細を知りたい方は、以下のサイトをご確認ください。https://www.atmarkit.co.jp/ait/articles/0111/06/news002.html

今回は、スタティックルーティングの方を設定していきます。

2. スタティックルーティング

2-1 PC AとPC Bのネットワーク接続

PC A:IPアドレス 10.0.10.1/24 デフォルトゲートウェイ 10.0.10.254
PV B:IPアドレス 10.0.30.1/24 デフォルトゲートウェイ 10.0.30.254

2-2 ルーターAとルーターBのネットワーク設定

①ルーターAおよびルーターBの各インターフェースにIPアドレスを設定します。IPアドレスの設定は、1日目でご紹介した手順同様に行います。

ルーターA
f0/0:10.0.10.254/24
f0/1:10.0.20.254/24
ルーターB
f0/0:10.0.20.253/24
f0/1:10.0.30.254/24

②設定が完了したら、この状態で、PC AからPC Bにネットワークの疎通を確認してみます。疎通を確認する際には、PC Aから近い順にPingを確認することが大事です。

ping 10.0.10.254 //Ping OK
10.0.10.254 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

ping 10.0.20.254 //Ping OK
10.0.20.254 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

ping 10.0.20.253 //Ping NG
10.0.20.253 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。
要求がタイムアウトしました。

ping 10.0.30.254 //Ping NG
10.0.30.254 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。

ping 10.0.30.1 //Ping NG
10.0.30.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。
10.0.10.254 からの応答: 宛先ホストに到達できません。

ルーターAが知らない10.0.30.0/24へのネットワークには接続できていないことが分かります。また、ルーターBは同セグメントではあるものの、ルーターAの管轄外であるため、応答が返ってきていないようです。

2-3 ルーティングテーブル設定

さて、今回のメインであるルーティングテーブルの設定に入ります。
スタティックルーティングを追加するコマンドは以下になります。

ip route [宛先ネットワークアドレス] [サブネットマスク] [ネクストホップ]
※ネクストホップは経由させるルーターです。

■ルーターA

Router>en
Router#sh ip route //ルーティング設定確認
C 10.0.10.0/24 is directory connected, FastEthernet0
C 10.0.20.0/24 is directory connetcted, FastEthernet1
Router#conf t
Router(config)#ip route 10.0.30.0 255.255.255.0 10.0.20.253 //スタティックルーティング設定
Router(config)#end
Router#sh ip route //ルーティング設定確認
S 10.0.30.0/24 [1/0] via 10.0.20.253 ←スタティックルーティングが追加された
C 10.0.10.0/24 is directory connected, FastEthernet0
C 10.0.20.0/24 is directory connetcted, FastEthernet1

Cのエントリはインターフェースに設定したネットワーク情報です。Sのエントリがスタティックルーティングになります。viaは経由という意味ですから、「10.0.30.0/24」は「10.0.20.253」を経由しますということになります。

■ルーターB

Router>en
Router#sh ip route //ルーティング設定確認
C 10.0.20.0/24 is directory connected, FastEthernet0
C 10.0.30.0/24 is directory connetcted, FastEthernet1
Router#conf t
Router(config)#ip route 10.0.10.0 255.255.255.0 10.0.20.254 //スタティックルーティング設定
Router(config)#end
Router#sh ip route //ルーティング設定確認
S 10.0.10.0/24 [1/0] via 10.0.20.254 ←スタティックルーティングが追加された
C 10.0.20.0/24 is directory connected, FastEthernet0
C 10.0.30.0/24 is directory connetcted, FastEthernet1

ここまで設定したら、PC AからPC Bへping疎通を確認してみます。
全て疎通ができるようになっているはずです。

ping 10.0.10.254 //Ping OK
10.0.10.254 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

ping 10.0.20.254 //Ping OK
10.0.20.254 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

ping 10.0.20.253 //Ping OK
10.0.20.253 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

ping 10.0.30.254 //Ping OK
10.0.30.254 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

ping 10.0.30.1 //Ping OK
10.0.30.1 に ping を送信しています 32 バイトのデータ:
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128
10.0.10.254 からの応答: バイト数 =32 時間 <1ms TTL=128

今回は、ルーター二台設置した場合のスタティックルーティングについて記載いたしました。ルーターを触れることがとても貴重な体験でしたので、設定前後の疎通の確認は丁寧に行うようにしました。

次回はL3スイッチを用いたVLANの設定およびダイナミックルーティングの設定について触れたいと思います。

いいなと思ったら応援しよう!