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本当の自分
私は高校の時バレーボールをやっていました。
中学校でも部活でバレーボールをやっていましたが、思うような結果を残すことができなかったので、高校では結果を残したいと思って志望校を決めました。
部則で髪は耳にかからないくらい男の子みたいに短くしなきゃいけないことは知っていました。
でも、私も高校生です。憧れの女子高校生とはあまりにもかけ離れた髪型に戸惑いました。切りたくなかったのが正直な気持ちです。笑
でも、この高校でバレーをするために受験勉強を頑張って入学したので、入学式の前日に美容院に行きました。
ところが、中学校と高校のレベルの差に圧倒されました。私が本格的にバレーボールを始めたのは中学校からですが、他のみんなは小学校からクラブチームに入っていた人がほとんどでした。
その差はなかなか埋まるはずはなく、毎日ミスしてみんなに謝ってばっかりな自分が嫌でした。「ミスをしないように上手にやらなきゃ」って毎日ビクビクしながら練習していました。
それなのに私は3回も怪我をしました。
捻挫や突き指とかの軽い怪我じゃなくて、靭帯損傷や骨折の大きな怪我です。怪我の仕方も下手でした。
みんなに申し訳なくて、何もできない自分が情けなくて、それでも毎日部活には行きました。みんなとの差を痛感しながら。
はやく治してプレーしたい。みんなとの差をはやく埋めなくちゃいけない。怪我してるときはそう思って、復帰を目指して毎日体育館の端っこでリハビリや筋トレをしていました。
さあいよいよ復帰。やっとバレーができる。でも、いざ復帰してみたら、思い通りに体は動かないし、やっぱりミスばっかりしちゃうしで、復帰するために頑張っていたはずなのに全然バレーが楽しくない。
この繰り返しでした。
そして、私たちの代になりました。
私たちはみんなで話し合って「県でベスト8になる」という目標を決めました。
この県でベスト8になるという目標はあまり大きな目標ではないんじゃないかと思う人もいると思いますが、私たちにとっては大きな目標でした。
『絶対にベスト8になりたい』と思って毎日必死に練習しました。でも私はやっぱりBチームでした。
みんなの前では絶対にレギュラーになるって言っていましたが、心の中では私はAチームではプレーできないと思っていました。
でも、絶対に試合に出たい。
じゃあどうすればいいのか。
私の答えは「ピンチサーバー」でした。
ピンチサーバーだったら一瞬だけどみんなと同じコートに立てるし、活躍できるかもしれない。そう思いました。
それからは、自分なりにサーブを研究しました。サーブを打つときのルーティーンを決めてひたすら練習しました。
でも最初からうまくいくはずなんかなくて、練習試合で出してもらえても、緊張とプレッシャーで点を取るどころか失点ばかりしました。
でも、だんだん練習試合でもサーブで点を取れるようになりました。
そして迎えた3回目の県大会。
これまでも県大会には出場していましたが、ベスト8まで勝ち進むことはできていませんでした。面白いことにこの3回の県大会で毎回同じチームと対戦しました。
1回目はストレート負け。2回目は粘ったけどストレート負け。3度目の正直ということもあり、絶対に勝ちたいと思いました。
試合はどちらも一歩も譲らないシーソーゲームでフルセットになりました。23−24になり、サーブ権が私たちにまわってきました。この1点を取れなかったら私たちの負けです。
もう試合に出るチャンスなんてないと完全に思っていましたが、監督から呼ばれ、私はピンチサーバーで試合に出るチャンスをもらいました。
なぜかそのときの私は緊張よりも試合に出れる嬉しさが勝っていました。みんなにメンバーチェンジのときニコニコしてたよって言われたのを覚えています。笑
会場にいる全員の視線が私に集まりました。ここで私がサーブをミスしたら負け。でも、安全にゆるいサーブを打っても相手に点を決められて負け。私は、深呼吸をしていつものルーティーンでサーブを打ちました。いつも通り。
このときまわりの歓声は聞こえなくて、見える景色がスローモーションみたいになったのを覚えています。聞こえるのは私のバクバクしてる心臓の音だけ。これが緊張の極限状態なのかもしれないと思いました。
私はサービスエースで点を取り、この試合に勝ってベスト8になりました。
努力が報われた瞬間でした。
「あーここに立ってこのサーブを打つために今まで練習してきたんだ。」そう思いました。
あの試合に勝ってベスト8になった瞬間は、今でも思い出すだけで鳥肌がたちます。初めて嬉しくて泣きました。
とてつもないプレッシャーの中で自分の力を発揮できたことは自信になりました。
何より私が嬉しかったのは、あの絶体絶命の場面で、監督が私をピンチサーバーとしてコートに送りだしてくれたこと。「私なら何かやってくれる」そう思ってもらえたこと。今までの私の努力をしっかり見て、信じてくれたこと。これが本当に嬉しかったです。
この経験は私にとってとても大きいです。
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とても長くなってしまいましたが、ここから本題に入ります。
私は今、男子ラクロス部でマネージャーをしています。
最初はバレーサークルに入ろうと思っていたのに、気づいたら親を説得してまでして体育会の部活に入っていました。
「何でそこまでして入部したの?」と言われたら正直わかりません。直感です。笑
「何で選手じゃなくてマネージャーになったの?」これもよく聞かれます。
私はいつも、「また怪我をするのが怖くなっちゃったから。」と答えます。でも、これは本音ではありません。本気でやるスポーツの楽しさはもちろん知っているけど、それよりも辛くて苦しいことの方が圧倒的に多いことを知っていたから、大学生になってまであの経験はしたくない。でも、サークルは違う。だから部活のマネージャーになった。これが本音です。
実際にマネージャーになってみると、選手とマネージャーの立場の違いに戸惑いました。
昨シーズンは勝てない試合が続きました。
今までの私は、チームがうまくいっていないときには自分がもっと上手くなればいいと思い、自主練したり、たくさん声を出したりして、考えるよりもとにかく練習してきました。
でも、マネージャーの立場になって何ができるのかを考えたときに、正直自分がどうするべきなのかが分かりませんでした。
「マネージャーは直接勝利には貢献できない」
よく聞く言葉ですが、私にはこの言葉があまりしっくりきませんでした。
だから、自分なりに試行錯誤を始めました。
朝はやくグラウンドにいって選手と一緒に練習してみたり、選手と一緒に走ってみたり。
そうしていると、自分の中で「こんなの考え方次第だ」と思うようになりました。確かにマネージャーは試合に出ることはできないけど、直接勝利に貢献できないって言ってしまうと自分はチームの一員じゃないみたいで嫌でした。だから私はこの考え方がしっくりこないんだと思うようになりました。
それからはいろんな人と話してみるようになりました。自分の中で何かがふっきれて、部活で自分の素をだんだんと出せるようになりました。
この自粛期間。まさか4ヶ月も部活ができなくなるなんて思ってもいませんでした。
全然先が見えなくてもう我慢の限界でした。自分のこのモヤモヤした気持ちをどこにぶつければいいのかも分からなくて、毎日ネガティブになっていました。
そんなとき、Instagramで心理カウンセラーのサイトウユウスケさんのこんな言葉を見つけました。
なにもできてなくて
もどかしいなと思っているとき
心の中の見えない部分が
こっそりとだけどしっかりと成長しているから
安心してモヤモヤしていいよ。
この言葉に私は本当に救われました。不安になっているのは自分だけじゃないはずだと思うことができて、安心したからです。
まだ、私はこの自粛期間があってよかったとは思えません。でも、もう変えることはできないしょうがないことだから、あとでこの期間があったからこそ成長できたと思えるように、これから行動していくないといけないと思います。
でも、「当たり前だと思っていたことが当たり前ではない」ことを知ることができたのは、私にとって大きな意味を持つと思います。
ネガティブな感情になってしまったとき、自分で感情をコントロールして、ポジティブな感情にかえられるようになることが今の私の目標です。
そのためにも、私の長所である「笑顔」を大切にしていきたいです。私の笑顔で誰かが前向きな気持ちになれたり、誰かを幸せにすることができたら、こんなに嬉しいことはありません。
私は、高校時代のような何かを成し遂げたときのあの感動をもう一度味わいたいです。
目指していた目標は変わってしまったけど、その目標だって必死で努力して成し遂げることができたら、絶対に言葉では表すことのできない達成感を得ることができると思います。
目標の大きい小さいは関係ないのかもしれないと少し思えるようになりました。
このnoteを書こうと思ったきっかけは、この自粛期間に自分と向き合い、自分のことだけではなく周りの人のことを考えて動いている同期がいたからです。
その人に私は大きく影響されました。
話をしたとき、人を見た目で判断してはいけないということに改めて気づきました。
今までの私は、この人はあんまり頑張ってないんじゃないか、もっとできるはずなのになんでやらないだろう、みたいなことをたくさん思ってしまっていました。
でも、それは間違っていることに気がつきました。その人について知ろうともしていないのに、私はその人の何を知っているんだろう。すごく失礼なことをしてしまっていたことに気づきました。
私もよく第一印象でその人の全てを判断してしまうことがあります。反対に、私もそのように判断されていることがあるんじゃないか?と思いました。
この部活に入って、みんなと一緒に部活をしてきたけど、本当の私を知ってくれている人はそんなに多くはないんじゃないか?そう思いました。
だから、私について知ってもらうことが、今の私にとってまず必要なことだと思いました。
自分で思ったことをそのまま書いてしまったので、まとまりのない文章になってしまいましたが、最後まで読んでくださりありがとうございました。
2020.7.22