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#2 ソフビキット ウルトラマン

1/150SCALEソフトビニールキット ウルトラマン Cタイプ

海洋堂 / 原型製作:田熊勝夫

数十年、倉庫の奥に眠っていたウルトラマン

1980年代、僕の住む沖縄県那覇市でプラモデルを買おうと思ったら、おもちゃ屋、デパート、文具店等に行けば良かったが、当時広まってきたガレージキットを売っている店は自分の行動範囲では見つける事が出来なかった。
ガレージキットどころか、模型専門店さえほぼ無かった(1970年代のスーパーカーブームの頃にはいくつかあったが、すでに閉店していた)のだから、しょうがない。
模型誌やSF誌などでゼネラルプロダクツや海洋堂、ボークスといったガレージキットを扱う県外の店の広告をチェックし、通販で買うくらいしか方法がなかったのだ。

ところがある日、通っていた高校のすぐ近くに模型専門店が出来た。おそるおそる入店してみると、声を上げそうになるほど驚いた。
雑誌でしか見た事の無かったガレージキットがいくつも並んでいて「あれも欲しい、これも欲しい」と、棚の隅から隅まで舐めるように見続けた。
きっと店の人はあやしいヤツがやってきたと警戒した事だろう。
結局その日は何も買わず(どれもこれも高かったのだ)、しばらくは店にも近づけなかった。

数週間後、またフラフラと引き寄せられるように店に入り、比較的安価だった(確か2000円前後だったと思う)このウルトラマンを購入した。
ソフトビニールという素材はそれこそウルトラマンや怪獣などの人形として子供の頃から慣れ親しんだ物ではあったが、それらとは全く次元の異なるシャープで美しい造形は、いくら見ていても飽きなかった。
当然キットなので色も塗られていないし、組み立ても自分でパーツの不要部分を切り取り、はめ込んだり接着して組み立てなければならないのだが、もうパーツの状態を見るだけでも嬉しかった。ディテールの隅から隅まで、またしても舐めるように見続けていたのだ。
数年後(!)ようやく組み立てを始めて、パーツをいくつか接着したあたりで実家が引っ越す事になったため、段ボールに詰めこみ、そのまま押し入れの奥に埋もれてしまった。

今回、倉庫の引っ越しで数十年ぶりに日の光を浴びたウルトラマンは、接着した部分がはがれ、左腕もどこかでなくしてしまっていた。
失った左腕は自作するなどして、今度こそ完成する事ができるだろうか。

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