トロッコに乗って死刑台へ
今朝見た夢のことを覚えていないのは、決して僕の記憶がスカスカだからというわけではないのです。
誰だってそうだと思うんですが、どんなに面白かったり怖かったりした夢でも、目が覚めた途端にフッと煙のように消えていってしまう。あるいは記憶の奥底にまた潜っていって、確かに体験したはずなのにこれっぽっちも覚えていないなんてことがあるんじゃないかと。
でもなぜだかいつまでも忘れない夢ってのも、誰もが一つぐらいはあるんじゃないですかねえ。
で話は変わって、「人さらい」ですね。
この往復書簡ではジョー・ダンテの事は何度か触れてるし、あとはヒカシューの音楽に心を惹かれ続けてるってのはあるけど、ヨーリーが言ってるのはそういう事じゃないですよね。
人生の恩師とか、視野を広げてくれたり様々な影響を与えてくれたような存在、という点で考えてみると、それはそれでたくさんいると思います。
それこそ僕自身が空っぽの「穴」のような存在なので、周りはいろいろな世界を教えてくれる人ばかりであります。
ヨーリーにしろ、弟子であるryo-kingにしろ、中学の時にオーディオやプラモデルについて語り合った友人や、例の麻薬書簡の友人や、「社長」、マキヤ、ハヤシ。他にもたくさん。
多くの人の影響を受けてきて、今の僕がいるわけですが、「穴」と言ってもブラックホールのように何かを吸い込んでるわけじゃなくて、ただただ「穴」であるため、良い影響も何も全てすり抜けてるという結果になってしまっているわけです。
でも、そういう事じゃないですよね「人さらい」。
人の心をさらうような人物に出会っていながら、ただの「穴」からは何もさらえなかっただけなのかもしれません。
とは言え、まだまだこの先の人生でそんな「人さらい」に出会う事もあるかもしれないので、それは楽しみにしていきたいとも考えます。
その時にこの「人さらい」の事を忘れていないようにしなくてはいけませんね。
さて、忘れてない話に戻ります。
今から30年以上前に見た夢です。
ヨーリーが貼った写真のような曇り空に葉が散ってしまった木が立ち並んだ街の中に1本のレールが敷かれていて、石炭とかを運ぶようなトロッコがそこをゆっくりゆっくりと進んでいます。
そのトロッコに乗っているのは僕と、当時のバイト先の女性上司。
理由はわからないけれど、僕はこれから死刑されることになっていて、そのトロッコの行き先は死刑台ということ。上司は僕が死刑台まで行くのを見届ける役目なのかどうか。
季節的には秋か冬の入り口。少し肌寒さを感じながら、僕はその上司となにやら会話をしていて、恐怖や不安などではなく「死刑台につくまで結構長く話せるもんだなぁ」なんて呑気なことを考えていたように思います。
オチもなにもない、ただそれだけの夢なんですが、できることなら行き先の光景がどうなっているのか見てみたかったなあと、今でも時々思い出すのです。
ヨシミでした。
ではまた。
2022/03/07