実体験⑤コミュニケーションボード
ある時、点滴の上に、ひらがなが書かれたラミネート加工の五十音が掛けられているのを見つけた。
看護師さんに、目と指先で訴え、取ってもらった。
指差しボード、コミュニケーションボードだった。
手の拘束ベルトをはずしてもらい、ひらがな一文字一文字を指で指し、医師ともコミュニケーションを図ることができた。
そして、ある日、ICUのセンター長である医師が私に言った。
「とても危険な状態でしたが、よくここまで回復しましたね。良くなっていますよ。」
良くなっている、、、、
その言葉で、初めて私は希望を持った。
私は指差しボードで、一文字ずつ指した。
「わ・た・し・の・び・よ・う・き・は・?」