「今までも」「今も」「これからも」土木!!!
①土木を学ぶ女子学生のいま
私が土木の扉を開けて勉強を始めたのは2年前のこと。「多くの人を笑顔にして平等な社会を作りたい!」と考え、とある大学の土木に関する学科に入学しました。
大学での授業の内容は様々です。黒板に向かっての講義はもちろん、作業着を着ての実習や、グループで協力して作品を作るコンテストのようなものもあります。大人数で長時間の講義はあまりなく、寂しくなることもありますが、先生方は人数制限や時間制限の工夫をして実習や実験を行ってくださるので、私たちは、土木がいかに多くの人達が関わるものなのか、や、実際に体を使って実習・実験を行う重要性を感じています。さらに私の大学では、国際的な土木技術者を育てる目的で、英語の授業や留学の機会が多く与えられており、私たちは「今まで会ったことの無い、どこかの国の誰か」を想像しながら、ますます高まるモチベーションとともに勉強ができています。
また、私も驚いているのですが、土木に関わる女性は結構多いです。私の大学には、土木を学ぶ女子学生の同期が10人近くいますし、先生の中にも女性教員が何人かいらっしゃいます。理系科目の勉強ばかりで、体を使うことが必要な場面はありますが、そんなときは男子学生の同期や先生方がサポートしてくださるので、大変で苦痛、といった感情を持つことはあまりありません。
このように、私はとても充実した大学生活を毎日送りながら、土木技術者になる夢を追いかけることができています。
②「大学辞めようかなあ…」 心が折れかけた過去
ここまでの文章を読んで、「土木の勉強に熱心な学生がいるぞ!!!」と感じてくださる読者の方もいらっしゃるかもしれませんね。ありがとうございます。
でも、私は過去に、土木の勉強を辞めようと思ったことがあります。
土木は、歴史の深さや学ぶことの緻密さ、求められる忍耐力がゆえに、時に私たちをつまらない気持ちにさせる学問です。特に女子学生の私にとってはなおさらで、来る日も来る日も、高校物理の延長線のような科目を学んだり、実験で水の流れを見たり、ダサい作業服を着てコンクリートを作ったりすることは、入学当初の私を苦痛にさせました。
(土木の勉強ってホントに地味でつまんないなあ…デザインとかプログラミングみたいにもっと新しくてキラキラしたことを勉強したい…)
(人のためになる仕事なら、看護師とか保育士とかでもよかったんじゃないか?そっちの方が女性らしいし…)
(私は人生の大事な選択を間違えた…今から大学受験の勉強を始めて違う大学の文系学部を目指そうかな?)
このような気持ちは日を重ねるごとにどんどん強くなり、私は勉強に集中できなくなってしまいました。そして、最終的に単位を落としまくることになり、余計に気分が落ち込んで、次第に大学を辞めたいと考えるようになりました。しかしながら、当時の私には、実際に大学を辞めて別の道を模索する行動力すらなかったので、ますます自分が惨めになり、精神的に追い込まれていくばかりでした。
③これからもなくならない学問
そんな時、友人との何気ない会話が気分の落ち込んだ私をはっとさせてくれました。
夏休み、友人の家でだらだらとおしゃべりを続けていると、やがて「土木を選んだきっかけ」についての話題になりました。友人はこう言っていました。
「そんなに土木にめちゃくちゃ興味があったわけではないんだよね、実は。もともと文系科目の方が好きだし、できることなら将来は(大好きな)トイプードルを何百匹も飼って優雅に暮らしていたいね(笑)。」
友人がそう語っているのを聞いて、私は正直びっくりしました。友人は学科内でとても成績が良いことで有名だったからです。そして、友人は続けました。
「しいて言うなら、土木はこの先もずっと必要な学問だと思ったからかな。これからも自然災害は予想できないタイミングで起こるだろうし、その地域に住む人を助けなくてはいけない。あと、土木は、人間はもちろん、大自然を相手にするわけだから、今後AIとかが発達してもそれでカバーしきれない部分があると思うんだよね。うん。土木って昔からあるものだけど、これからも絶対残り続けると思うんだよ。しかも、人間の力で。」
身近にこんなにしっかりした意見を持っている友人がいることに驚きました。すごい。
その話を聞いて、私も、土木はこれからも必要な学問であると感じられるようになり、勉強への意欲を取り戻すことができるようになりました。
小さなきっかけだったかもしれませんが、こんなに素晴らしい話を聞かせてくれた友人には感謝しています。
④「土木で多くの人を笑顔に!」 私の夢
まだまだ学生の分際で、土木技術者になれる保証がない私ですが、最後に、私の望む未来の社会を記述したいと思います。
それは、「平等で、多くの人が笑顔で過ごせる社会」です。
この「平等で、多くの人が笑顔で過ごせる社会」は様々な形で実現できると考えます。例えば、十分な飲み水を得ることができない発展途上国に井戸やダムを建設すれば、飢えに苦しむ人々を救い多くの人が健康的な毎日を送ることができます。また、交通量が多くて渋滞が多発する街に、信号機付きの道路を作れば、混雑した道路が規制され、交通事故の少ない安全な国にすることができます。さらに、町と町、あるいは国と国を結ぶ橋を作れば、流通が活発になって経済が潤い、人々の幸福度も高めることができるのです。
映画や本などのエンタメ作品とは違い、土木は人々を直接笑顔にすることはできないかもしれません。でも、一つの道路、一つの橋ができることでもたらす幸せは、きっと大きなものだと思います。これからも、土木のもたらす力を信じて自分の理想の社会を描き続け、いつかは土木技術者としてそれを実現出来たらな、と思います。