ショートショート「結婚更新制度」
2XXX年
グロバール化が加速していく。それに伴い国は新しい法律を制定した。
結婚更新制度。
4年に一度、車の免許の更新の書き換えのように役所の行き、結婚を更新するかしないか、決めることができる。
この制度によって離婚率か高くなったが、離婚そのもののマイナスイメージが払拭された。
離婚するのは当たり前の価値観になっていった。
役所で働く、たかしは毎年何千人と結婚を更新する人としない人を見ている。
5回更新するのは稀で、20年結婚を続ける夫婦はあまりいない。
どこかのタイミングで離婚し、新しく結婚する。それを繰り返す。
特に子供が家を出たら二人で生活する意味がなく、ケンカなどしていなくても離婚するようになった。
そんな中8回目、32年目の更新をするある夫婦がやってきた。
たかしは役所の仕事を忘れて、夫婦を観察していた。
たかしには全くわからなかった。離婚していく夫婦と目の前で8回目の更新を迎える彼等と。
ふと小声で「結婚の秘訣はなんですか」と夫婦に聞いてみた。
初老の男が言う。
「そんなものはありません。私は毎年プロポーズをしてします。プロポーズをする度に女性は綺麗になっていきますね」
初老の男は恥ずかしげもなく、言ってのけ、初老の女性にキスをする。
たかしは夫婦の帰る背中を見ながら、「羨ましい」とにやけていた。