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リトラボ2年目は、「課題を価値に変える」デザイン思考を学ぶオンラインスクールから
こんにちは!リトラボ運営事務局です。
令和元年度、鹿児島離島の課題解決やブランド化に向けたプラットフォームコミュニティの立ち上げを行い、令和2年度は鹿児島離島の地域づくりや商品開発に対するデザイン思考を学ぶ場をオンラインを通じて実践してきました。そんなリトラボのこれまでの取り組みを振り返ります。
2019年度のリトラボの取り組みはこちらの記事を参考にしてください。
令和2年度は、新型コロナウイルスの影響を大きく受け、リトラボの運営自体も大きな変化を求められました。鹿児島離島文化経済圏の発起人の山下が常に大切にしてきた「課題をいかに価値に変えるか」ということを私たちリトラボ事務局も問われることになりました。
そこで、もともと離れている離島だからこそ、インターネットを通じてつながりを深めて行くこと大切に、私たちは、鹿児島離島の地域づくりや商品開発に対するデザイン思考を学ぶ場として、RITOLAB ONLINE SCHOOL をオンライン上で開校(港)することにしました。
運営にあたっては、テンラボ(一般社団法人鹿児島天文館総合研究所Ten-Lab)さんに多くのサポートも頂きました。ありがとうございます。
また、令和元年から行ってきた離島でのフィールドワークでは、感染対策を行い、3密回避の下で事務局メンバーのみが対象離島にて事前に動画を撮影し、その動画をもとにオンラインフィールドワークを実施するというRITOLAB ONLINE FIELDWORK も実施しました。
それでは、2020年に実施したリトラボの取り組みをご覧ください。
1、RITOLAB ONLINE SCHOOL -全5回の軌跡-
2020年はそれぞれの異なるテーマを持って地域おこしに取り組む島民と本土地域の民間・行政などあらゆる垣根を超えたパートナーとともに、鹿児島離島の「課題」を「価値」に変えていくためのオンラインスクールを開校(港)しました。
RITOLAB ONLINE SCHOOL #1 「地域をプロデュースするとはどういうことか?拠点づくりから考える」
記念すべき第1回目のリトラボオンラインスクールは、株式会社四万十ドラマ
代表取締役 畦地 履正さんの基調講演と各離島から 山下城氏(獅子島) 荒木政孝氏(屋久島)より取り組み事例発表を行い、その後は畦地さんと鹿児島離島のメンバーとのディスカッションを行いました。
株式会社四万十ドラマ代表取締役 畦地 履正さんの基調講演テーマは「地域をプロデュースするとはどういうことか?拠点づくりから考える」
背中で見せ続ける不屈のチャレンジ精神を持った畦地さんの基調講演は参加者全員のチャレンジ精神に火を付けるような熱い学びの場になりました。
RITOLAB 2020 ONLINE SCHOOL Vol.1のYOUTUBE映像はこちらより
https://www.youtube.com/watch?v=suG69tzQ8QI&list=PLl6aBYzXy3KsiIX_55qH_9JugQD-Nf5PY&index=5
RITOLAB ONLINE SCHOOL#2 「地域おこしとコンセプトの重要性」
第2回リトラボオンラインスクールは昨年のセイルミーティングでも基調講演を頂いた株式会社 umari代表取締役の古田秘馬さんの講演でテーマは「地域おこしとコンセプトの重要性」でした。
古田さんは東京・丸の内「丸の内朝大学」などの数多くの地域プロデュース・企業ブランディングなどを手がけ、農業実験レストラン「六本木農園」や讃岐うどん文化を伝える宿「UDON HOUSE」など都市と地域、日本と海外を繋ぐ仕組みづくりを行っています。また、現在は地域や社会的変革の起業に投資も行っています。
そんな古田さんからは、「事業づくり」を行う上で、必ず必要になる「コンセプト」をどうやって設定するのか、日本中のローカル事業の取り組みの紹介を頂きながら、自分の事業が誰のために必要で、その価値はなんなのか。そこにしかない前提条件とアイデアをよりシンプルに考えて実現させていくこと、そして、これからは直感力もとても大切なことであることを学びました。
RITOLAB 2020 ONLINE SCHOOL Vol.2のYOUTUBE映像はこちらよりhttps://www.youtube.com/watch?v=o-eSjk0sHcA&list=PLl6aBYzXy3KsiIX_55qH_9JugQD-Nf5PY&index=4
RITOLAB ONLINE SCHOOL#3 「これまでの事業から新しいマーケットを見出す戦略」
第3回リトラボオンラインスクールは創業昭和14年のイワシ丸干しの製造が主な水産加工会社の三代目である株式会社下園薩男商店 代表取締役社長の下園 正博さんの講演で、テーマは「これまでの事業から新しいマーケットを見出す戦略」でした。
下園さんは干物の消費量が減る中、イワシの丸干ししか作っていなかった実家で2013年に丸干しのオイル漬け「旅する丸干し」を販売開始し天皇杯を受賞し、商品開発のフォーマット化や2017年に初の直売店となるイワシビルを人口2万人の地元阿久根市にOPENとUターン後に家業を継いでから多くの仕掛けを行っています。
下園さんは次々に商品開発を行う中で大切にしていることとして、商品をどんなお客様に買ってもらいたいのか、またどこの売り場に置いてもらうかなどより具体的なターゲットや陳列してもらうお店を考えて商品デザインや商品名などをデザイナーやプランナーと一緒に考えている、と話していました。そのために株式会社下園薩男商店の経営理念である『今ある「コト」に一手間加え、それを誇り楽しみ人生を豊かにする』というコンセプトがあるからこその商品開発力であることを学びました。
RITOLAB 2020 ONLINE SCHOOL Vol.3のYOUTUBE映像はこちらより
https://www.youtube.com/watch?v=W9ouc4bVlIU&list=PLl6aBYzXy3KsiIX_55qH_9JugQD-Nf5PY&index=3
RITOLAB ONLINE SCHOOL#4 「地域にある『世界品質』」
第4回リトラボオンラインスクールは明治26年、京都府宮津市にて創業した127年続くお酢屋さんである株式会社飯尾醸造五代目当主 飯尾彰浩さんの講演で、テーマは「地域にある『世界品質』」でした。
飯尾醸造は無農薬の米作り、酒造り、酢造りを一貫して自社蔵にて行い、日本古来の製法のお酢を世界中の高級鮨店や家庭の食卓に提供し続けています。また、イタリアンレストラン「aceto」運営など、丹後エリアの食の活性にも力も注いでいます。
飯尾さんは地域にある『世界品質』をどう実現していくかの中で、キーワードとして「弱者の勝機は一点突破にあり」と表現されていました。自分自身の事業を「弱者」として考え、誰も競合他社がいない小さなマーケットを見つけ自分達がルールを作っていくことで飯尾醸造が掲げる「小さくても強い」ブランドを守り抜く事ができるのだということを学びました。鹿児島離島を考える上ではとても大事な視点だと思います。
RITOLAB 2020 ONLINE SCHOOL Vol.4のYOUTUBE映像はこちらより
https://www.youtube.com/watch?v=0l8BoNNKBs8&list=PLl6aBYzXy3KsiIX_55qH_9JugQD-Nf5PY&index=2
RITOLAB ONLINE SCHOOL#5 生産とデザインの現場を往復し続ける理由
第5回リトラボオンラインスクールは森果樹園×ツギキ代表、みかん農家でデザイナーの森知宏さんの講演で、テーマは「生産とデザインの現場を往復し続ける理由」でした。
淡路島育ちの森さんは生活用品メーカーで家電の商品開発に携わった後、商品デザインを中心に地場産業に関与しつつ、祖父さんの果樹園を継ぎ、淡路島原産の稀少品種「なるとオレンジ」などを栽培しています。果樹園のくだものをつかった加工品開発や、納屋を改装した空間で週末パーラーもオープンさせ、ファーマーズマーケットや百貨店に出展なども行っています。
森さんは、淡路島で果樹園を家族で経営しているからこそ、どんなコンセプトが必要なのか、また生産量に限りのある自分たちの商品を誰に届けるか考えて抜かれていました。また、そのコンセプトをもとに、情報発信や商品のパッケージデザイン、観光客に届けるのではなく、徹底的に自分たちの商品を本気で求める人に届けるという流通のデザインも丁寧に考えて事業をされていたことが特徴でした。まさに森さんのお話は、これまでのリトラボオンラインスクールで学んできたことの総集編であり、同じ離島当事者として参加したメンバーも多くの共感を得ていました。
RITOLAB 2020 ONLINE SCHOOL Vol.5のYOUTUBE映像はこちらより
https://www.youtube.com/watch?v=vQEGW2Y3Kn0&t=154s
「深める」というテーマで鹿児島離島の地域づくりや商品開発に対するデザイン思考を学ぶ場としてRITOLAB ONLINE SCHOOLを5回に分けて開催してきました。毎回のスクールの講演者が当事者として現場を持ち、自身の経験を下に苦悩や葛藤がありながらも未来を見据えた取り組みと鹿児島離島のメンバーとの意見交換があり、とても大切な時間を共有することができたと思います。
RITOLAB ONLINE FIELDWORK-屋久島・獅子島編-
全5回のオンラインスクールを通して、RITOLABのメンバーは全国の実践者たちから離島地域のプロデュース力、デザイン思考、商品開発力について学びました。次の舞台は、世界遺産の島「屋久島」と鹿児島県最北端の島「獅子島」の離島フィールドワークです。
ただ、新型コロナウイルスの影響を考えると2019年度に実施した離島フィールドワークと同様の形式では実施することができませんでした。しかし、この状況だからこそ、地域おこし団体や企業によるプロジェクト紹介やインタビュー動画をRITOLABの事務局が最低限の人数で感染対策を取りながら撮影した動画を用いてオンラインツールであるZoomを使って参加者と対話をしていくオンラインでの離島フィールドワークに挑戦しました。
RITOLAB ONLINE FIELDWORK 〜 屋久島編 〜
世界遺産登録からおよそ30年経った屋久島。世界中から年間40万人以上の観光客が訪れていた屋久島が、新型コロナウィルスをはじめ、豪雨災害、航路の減便、一部のオーバーツーリズムなどあらゆる課題も山積するなかで、島の若者たちが、これからの屋久島の姿を模索し、新たなセイル(帆)があがる動きがはじまりそうです。
RITOLAB ONLINE FIELDWORKの動画 - 屋久島編-
RITOLAB ONLINE FIELDWORK 〜 獅子島編 〜
鹿児島最北端の人口700人弱の漁業と農業が盛んな獅子島。そんな島で生まれた山下城さんは大学卒業後に富士フイルム株式会社に入社後は中国法人に出向し、新規サービスの立ち上げや販路拡大に推進していました。多様な国籍の人や価値観と出会ったことで“自分が本当にやりたいことは故郷・獅子島を盛り上げること“だと再認識し、2019年に同社を退職して、獅子島に家族を連れUターン、現在は家業の4代目として漁の腕を磨きつつ、「島のごちそう」の代表として事業拡大と地域創生に力を注いでいます。
「故郷を盛り上げていきたい」というその真っ直ぐな熱い思いに共感し「獅子島」に生きる生産者の仲間たちと共に取り組んでいるプロジェクトの苦悩と挑戦に向き合います。
RITOLAB ONLINE FIELDWORKの動画 - 獅子島編-
受け入れに当たって、屋久島チーム、獅子島チーム共に、初めてのオンラインフィールドワークという事で、様々な準備やプレゼンテーションなど大変だったと思います。本当にお疲れ様でした。
不確かな「未来」に対して、私たちはどんな帆を掲げるのか?混沌とした変化の時代だからこそ、あらゆる前提条件を疑い、あらゆる垣根を超えて、私たち一人一人が当事者となってできることは、一体何だろうか?離島という辺境の地は、地域の課題先進地でもあります。まだ答えのないものに直面し、それに挑戦している人々がいることこそが、この時代における「価値」なのかもしれません。
鹿児島離島文化経済圏、さらに面白く、そして各島々で新しい動きが同時発生的に生まれていきそうです。
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ご質問・ご要望は下記へお問い合わせください
鹿児島離島文化経済圏 運営事務局
(東シナ海の小さな島ブランド株式会社内)
E-mail: ritolab2020@gmail.com [蔵元・高橋・山下]