「本業は何?」とよく聞かれるけど、ぼくも分かりません。
奄美大島に移住して、2021年1月6日で4年になる。おかげさまでいろんな仕事をさせてもらった。
予備校のスタッフ、映像制作、カメラマン、Webライター、冊子のディレクション、セミナー講師、ドローン撮影、シュノーケリングガイド、プロポーズ企画、ウェディングプランナー、トレイルマップ制作、イベント企画etc
島に来る前から決まっていた仕事は予備校のスタッフだけ。他はすべて島に来てから決まった仕事だ。カメラやドローンを使った仕事の割合が多いが、月によってはシュノーケリングガイドの仕事が一番の収入源になる。
よく人に会ったときに「本業は何なんですか?」と聞かれるが、「ぼくも分からないんですよね。」と答えている。その通りだし、今はそれが自分にとっていちばんしっくり来る答えだからだ。
肩書きが自分の首を締めていた
ぼくは新卒でITの会社に入社し、システムコンサルタントとして働いていた。ゆくゆくはサプライズを仕事にしたいと思い、会社勤めをしながら起業の準備をし、2013年に独立した。
プロポーズプランナーと名乗り、当時はやっていたフラッシュモブの企画やプロポーズの相談を仕事にしていた。好きなことを仕事にしたつもりだったが、なかなか軌道には乗らずクレジットの支払いに終われる日々。水道や電気が止まることもあった。
なんとかして売り上げを上げないといけない。そのためには、より多くの人にプロポーズやサプライズなら自分だと認識してもらう必要がある。企画をたくさん考えないといけない。他のことを考えている時間はない。
そんなプレッシャーをずっと感じていた。
でも、頭の片隅には他のこともしてみたいと常に思っていた。イベントの企画もしてみたいし、コーチングにも興味があった。もともと多趣味でいろんなことに関心がある性格だ。
だけどそんな気持ちは押し殺して、まずは自分の選んだ分野で結果を出さないとと必死だった。好きなことを仕事にしたはずなのに、それしかしてはいけないと思い、窮屈さを感じていた。
島に来て感じた自由
独立して、なんやかんやあってぼくは島に来た。はじめから奄美大島ではなく、まずは島おこしインターンシッププログラムに参加し、1ヶ月半ほど与論島に滞在した。
与論島には以前観光で訪れたことがあった。車なら40分くらいで一周できる島。島の人が優しく、また来たいとずっと思っていた。そんな憧れだった与論島に住む。毎日がめちゃくちゃ楽しかったし、自由を感じていた。
最初の三週間は、インターンシップのプログラムがあったので島のイベントの手伝いをしていた。でも、後半の三週間は特に何をするか決まっていなかった。
夢だった島での生活。することはないので、ずっと海を眺めながら好きに過ごせる。「全部放り出して南の島でのんびりしたい。」なんて仕事に終われるとよく思うことだが、まさにそれが叶った状態だった。
しかし、半日で飽きた。
それから島の人に頼まれていろんな仕事をした。居酒屋のホール、さとうきび刈り、イベントの手伝い、ホームページの相談…
よく地方は仕事がないと言われる。それは半分本当で、半分ウソだ。確かに都会ほど給料の良い就職先はないが、人手は圧倒的に足りていない。では、やりようがあるんじゃないかと感じた。
しかも、いろんなことをやりたがる自分には、その方が合っているんじゃないかと感じた。振り返ってみると、このとき感じた仮説は合っていたのではないかと思う。
飽き性のぼくなりのやり方
「人生は、何もしないには長すぎるが、何かをするには短すぎる。」そんな言葉を聞いたことがある。確かに何者かになろうとするならひとつのことに注力するのが懸命だろう。
ロールプレイングのパラメータを振り分けるようなものだ。力も魔力も運も平等に振り分けていくよりも、まずは力だけにパラメータを振り切った方が特徴が出る。仕事の能力でも同じだろう。
スポーツ選手が引退したあとでもタレントなどで活躍しているのは、ひとつの分野で結果を出したからだ。いろんなことをやりたいなら、まずなにかを極めた方がやりやすいことはぼくも賛成だ。
しかし、生き方は必ずそうでなくてはいけないのだろうか。器用貧乏で、目移りしてしまいがちで飽き性なぼくには、ひとつのことに集中することがストレスだった。
どれだけ海が好きでも、毎日シュノーケリングツアーに出ていたらきっと飽きてしまう。今日はカメラ、今日は予備校スタッフ、今日はシュノーケリングツアーとやることを変えることで、どれも楽しくできている。
不安はあるけどやってみる
不安がないといえばウソになる。このまま10年経ち、20年経ち、今のような仕事のやり方が続けられるのか。
今やテクノロジーは発展し、誰でも情報はたやすく手に入る。カメラや動画の分野で学生でもすごい作品を作る人がたくさんいる。このままどの能力も突出しないままでは、若い才能にとって変わられるかもしれない。
必要に駆られてひとつの分野に絞ることは十分あり得る。ただ、今はこのスタンスでやれるだけやってみようと思う。やりたいことがたくさんある器用貧乏さんの希望になれますように。