「帰りたくない」Yくんが、「帰る」と自分で自分の気持ちを切り替えられた話
とある日の出来事です。3歳のYくんはお母さんと二人でレッスンに来てくれました。レッスンが終わって帰り支度を終えたYくんは、すでに靴を履いてお玄関でお母さんを待っていました。
お母さんは、他のお母さんとお話をされていてまだまだ帰る気配はありません。(よくある話です)
Yくんは、そのお母さんの帰り支度の間、玄関の可愛いお椅子に座って借りた絵本を興味深く見ながら、ひとりでお母さんを待っていました。
※状況をイメージしてくださいね!
そこへ、帰り支度を終えたお母さんがやってきてこのように言いました。
母「Yくん、帰るよ」
私は、「え?この状況でそのセリフ?あかんやろ」と驚きました。当然、こういうことになりました。
母「Yくん帰るよ」
Yくん「・・・・・(無視です)」
母「Aちゃん(妹さんです)が待ってるから帰るよ」(最悪のセリフ)
Yくん「・・・・(聞こえないふり)」
母「ほら、早く早く」
Yくん「・・・・・(梃子でも動かぬぞという気配)」
母「さ、帰るよ、帰りましょう!」
Y「・・・・・」
Yくんは一向に立ち上がる気配などありません。そりゃそうです。私がYくんだったとしても、立ちあがらないし帰らない(笑)このままでは、お母さんはYくんの手を引っ張ってでも強引に連れて帰ることになりそう・・・と思ったので助け船を出すことにしました。
私「お母さん、そんなんじゃYくんは帰らないですよ」
母「え?」
私「心を動かさないと!」
母「????」
私「認めてあげて」
母「何を?・・・・」
私「Yくん、お母さんを待っててくれてありがとう。上手に待てたね。へ~、その絵本を選んだんだね。その絵本、先生も大好き。絵が可愛いね。」
Yくん「うん。クマが面白い。お団子食べてるの」
私「ほんとほんと。クマが面白いんだね。そのお団子おいしそう。そういえば、お腹空いたね。もうお昼ご飯の時間だよね?Yくんはお昼食べてきたの?」
母「まだです」※なんで母が答える!?
私「Yくん、お昼ご飯食べてきたの?」
Y「食べてないよ」
私「そうなんだ、じゃあお腹空いてるね。帰ってお昼を食べなくちゃ!」
Y「うん。帰る。せんせ、さよなら」と言って立ち上がり、自分で選んだ大好きな絵本を大事に抱えて帰っていきました。
Yくんは、お母さんを待っていたことを感謝してもらえて選んだ絵本を認めてもらって大好きな場面に共感してもらったから「帰る」方向に気持ちが切り替わったのですね。
子どもの心を動かす言葉かけって、そんなに難しいものではありません。子どもを観察していたらできます。