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裏薗ちゃん
2021年7月31日 01:21
電話が鳴り響いている。しかもこんな早朝に。まだ朝日ものぼりきっていない。だが、その電話は鳴り響いているだけだ。誰も受話器を取ろうとはしていない。『発信音のあと伝言をどうぞ』『もしもし……お母さん?ごめんなさい、どうしても電話に出てほしいの。私すごく困っちゃって。お願いします』 無機質な発信音と流れるように吹き込まれる伝言。それだけが永遠とその家中に響いていた。 その鳴り響く奥の方、部屋の
2021年6月22日 19:32
私はその赤ちゃんをゆっくりと、ゆっくりと触り、温もりを感じてからしっかりと両手で触り、そのまま抱き上げました。少し風が強くなってきていました。ふんわりと赤ちゃんの柔らかな髪が揺れています。たんぽぽの綿毛を思い出しました。少しだけまつ毛が揺れて、また少ししてから、その赤ちゃんはふわっとまぶたをあげ、吸い込まれるように真っ黒な深い瞳の奥で私を取り出し、そしてニッコリと笑いました。そのままキャラキャラ