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『フランチャイズに加盟する前に読もう』8.FC加盟契約締結後の流れ

前回まででFC加盟前の準備は整い、ここからは加盟後のポイントについて説明します。

加盟契約を締結するとFC本部(以下本部)から、今後のスケジュールの説明があります。準備するものはFC本部が説明してくれます。

本部は何十、何百回と新規加盟をサポートしているので、その点は抜かりないでしょう。受け取った資料をしっかり読み込んで、口頭で補足説明があった場合はメモすることを心がけましょう。


FC契約締結後の流れ

①各種マニュアルの貸与
②本部研修
③物件発掘・契約
④店舗施設工事
⑤開店

②と③④が逆になっている本部もあります。新規出店もしくは転売により開業する店舗が決まってから、FC加盟契約を締結するところもあるでしょう。

こういったフロー図は細部の違いはあるものの、ほとんどのFC本部で契約前に説明があると思います。

前回のブログでも記載しましたが、①~⑤の中で、唯一③だけが本部も加盟者もコントロールが及ばない項目です。

物件探しの留意点

物件次第でオープンが早まったり、なかなか決まらなかったりすることがあるので、その見通しがどのようになっているのか、これは口頭約束ではなく、覚書等、文書で合意しておくべき内容です。

物件発掘については、加盟者の役割分担になっているFC契約もあり、大型店ではエリアによって数年間、物件が出てこないといったことも頻繁にあるので注意が必要です。

本部研修の留意点

物件の問題がクリアできれば次は本部研修です。あまり知られていないかも知れませんが、ここで研修不合格となり、出店がストップするケースがあります。

ほとんどのFC加盟契約では、この研修不合格によるFC契約解除について何らかの条文があります。

本部としては大事なブランド(商標等)を加盟者に託す訳ですから、簡単には付与できないものですし、既存の加盟店にも影響します。

不良店舗が近隣に開店すれば、自店の評判も落ちるので、本部だけでなく他の加盟店にとっても本部研修時の資質判断は必須なのです。

とはいえ、研修を受ける側にとっては研修不合格は死活問題です。過剰に恐れることはありませんが、数パーセントといった単位で実際の起こることです。

一回の不合格で即解除ということでは無いまでも、研修の延長や再試験等を受けてもクリアできなければ、本部が大ナタを振るうということはあり得ます。

それなりの覚悟を持って研修に向き合って頂きたいと思います。

店舗研修の留意点

研修で最も注意して頂きたいのは、教えてくれる相手が本部のトレーナーとは限らない点です。

本部の理念やブランドのコンセプト、計数や衛生管理などの座学はトレーナーが実施することがほとんどです。

一方、店舗での実地研修は、研修店舗の店長がトレーナーを兼務していたり、アルバイトがサポートすることがあるので、マニュアルに書かれている方法と違うやり方を指示させられることもあるでしょう。

マニュアルにこだわり過ぎて店舗の従業員と衝突して上手くコミュニケーションが取れなくなり、研修が辛くなってしまうケースがあります。

新店ならともかく、既存店を引き継いでオープンする場合は、アルバイトやパートが既に在籍している状態で店舗運営がスタートします。

つまり、良くも悪くも出来上がった店舗に後から入る訳ですから配慮が必要です。実地研修を受ける店舗のアルバイトの言動を自分が引き継ぐ店舗に置き換えて、接し方を練習をしましょう。

マニュアルも大切ですが、最優先すべきは従業員とのコミュニケーションです。後々オペレーションは正していくとして、まずは従業員との信頼関係づくりが不可欠です。

実地研修もそういう意識をもって取り組むことが、結果的にマニュアルの習得を早めますし、自分の店舗の運営も上手くいくでしょう。

本部研修を通した心構え

学ぶとは心に誠実を刻むことであり、教えるとは共に未来を語ることである」と教わったことがあります。

「誠実」の意味を納得いかないことは正義感をもって指摘すべきと捉えることもできるかも知れません。

しかし、それでは学ぶ機会を自ら放棄することになりかねません。

そうではなく、どうしてマニュアルと違う指示をするのか、その背景に何があるのか、そういったことを考えることで、マニュアルをより深く理解することにも繋がります。

また熟考した上でもなおマニュアルに問題があると思えば、本部のトレーナーにそのことを相談してみれば良いと思います。

マニュアルを変更する権限を持たないアルバイトさんにその指摘をしても解決は遠いので、しかるべき相手に相談するというスタンスで解決策を探ると良いでしょう。

また、アルバイトさんの指示が問題だと思ったら、そのお店の店長に相談して下さい。

学ぶことが単なるマニュアルの習得に留まるのではなく、人間関係やブランドの本質的な価値を学ぶ場になるよう、研修に向き合っていくことをお勧めします。

多くの研修生と接して実感したこと

長く研修を見ていて思うことは、器用なひとよりも素直な心で研修に向き合われる方が、その後の店舗運営において力を発揮されるように思います。

器用な人や経験が豊富な研修生ほど、研修の上辺だけをとらまえて、分かったつもりになって、吸収力が弱まります。

一方、不器用な研修生は分からないが故に真摯に研修に取り組むので、本質的な意味を理解して、応用力が身についていくということもあります。

研修は早く習得するのが目的ではなく、その期間を最大限に活用して、人間力を高める機会だと認識して取り組んで頂きたいと思います。

次回は③の物件発掘以降の注意点について、新店と既存店転売の2パターンに分けて共有させて頂きます。

リストランテ"TETSU"のホームページ




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