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恋日記①

自分のnoteに列なった言葉に人間味を感じることが出来なかった。なんだか、言葉の使い方が断定的で、理屈じみていて情緒的な部分が疎かになっているからかな。恋愛哲学を語ってる訳だからそうなっちゃうのは仕方ないけど、どうにかしたい。

もっと、自分の感情を「話し言葉」のように伝えたい。
というわけで、恋愛哲学とはちょっと違う「恋日記」を書くことにした。

恋日記では、今までの自分の恋愛をその時の情緒や学びを中心に、話し言葉で告白していこうと思う。

今回は、恋日記①だけど、小学校5年生の時に恋したHについて話そうと思う。

Hと初めて会ったのは、小学校1年生の時だった。彼女は、とても思いやりがあって、何より笑顔が可愛い。
これは、当時同じクラスだった友達に聞いたことなんだけど、どうやら僕は小1のときに彼女に告白されていたらしい。

正直、覚えてない笑

だけど、思い当たる節がない訳でもない。例えば、昼休みの終わりに手を繋いで教室に戻ったり、放課後2人きりで公園に行っては彼女の家で遊んだりもしていた。

まあ、小学校1年生なんて付き合ってる自覚もないだろうし大した話でもないよね。

それから、2年が経ち、小学校4年生のときにまた同じクラスになった。それまでの2年間は特に話すこともなかったけど、久しぶりの再開にもかかわらず、とても楽しく話すことができたのを今でも覚えてる。

彼女はいつも話しかけてくれて、自分では人見知りだと言ってるけど、その影すら見せない積極性にはいつもクエスチョンマークが浮かんだ。

ある日、彼女が椅子取りゲームで負けた。


僕の学校では、月に1回担任教師の担当科目を利用して「お楽しみ会」ならぬ、お遊び会があった。椅子取りゲームで負けた彼女は、罰ゲームとして「将来欲しい子供の人数」を告白した。

どうやら彼女は3人の子供に恵まれ幸せな家庭を築きたいらしい。少し乱暴で男気気質があると思っていた彼女が、意外と結婚に対して前向きだったことにはちょっと感心した。それと、照れながら語るその彼女の姿が、いつもと少し違ってドキッとした。

とにかく、そういう年頃だということもあり、小学校4年生の時にはじめて、僕は彼女を女性として意識し始めた。

それから、僕たちは5年生になりクラスは別になった。まあ、少しの寂しさはあったけど、仲のいい友達がいたから別に気にならなかった。

だけど、小学校5年生になってはじめて自分が女子から好かれてないことに気づき始めた。

なんてったって、僕は小学校のとき少し太っていた。いや、少しじゃないかもしれない。
まあ、どちらでもいいんだけど「ブタ」と言われるくらいにはふくよかだった。

その他にも「デブ」「キモイ」「ブス」なんてことも言われた。何の工夫もない幼稚な言葉だけど、だからこそ悪い意味で心に刺さる言葉でもあるんだよね。

そんな状況の中で、僕は途端に彼女が恋しくなった。いつも、自分から話しかけてくれて、好きでいてくれた彼女がすごく恋しくなった。
そんな自覚を抱いてから日に日に彼女のことを考える回数も増え、気づいた頃には、僕は彼女のことを好きになっていた。

そして、小学校6年生になった。


僕は「Hと同じクラスになれますように」と信じてもいない神様に祈ってみたら、なんと彼女と同じクラスになることができた。僕は嬉しくて嬉しくてたまらなく、この未来に期待した。

だけど、初日はちょっと緊張して彼女とは上手く話すことができず、悔しい思いで帰路に着いたのを今でも覚えてる。

僕は、運がいいことにHの苗字と近かった。僕たちは主席番号が最後の方で、いつも彼女は僕の前の席にいた。
ただ、ギリギリ僕たちの班は別々だった。肩を叩けばいつでも話せるような距離だったけど、緊張していた僕にその勇気なんてなかった。手の届く距離の中で僕はずっとウジウジしてた。

そんな感じの学校生活が続いていたけど、僕に転機が訪れた。

それは、席替えだ。

クラス替えから約5ヶ月が経ち、席替えの時期がやってきた。ここでもまた信じてもない神様に神頼みをしては、もう次は叶わないだろうと少し悲観的になりながらゆっくりとクジを引いた。

彼女と同じ班になれた。

そんなわけで、グループワークや給食の時とかに、僕は彼女とたくさん話すきっかけを勝ち取ることができた。実際に、色んな話をして楽しんだし、彼女との恋バナの時間は特に幸せなひと時だった。

多分、あるあるだと思うけど、好きな人をクイズ形式でヒントを与えながらどんどん選択肢を狭めて、最終的にバレるっていう流れが僕にも起こった。

廊下ですれ違うとき、給食の配膳を待っているとき、そして、静まり返った授業中でさえも、えんぴつの尻で僕の体をつついては、好きな人を聞いてくる。

そんな日々が何日も続いて、僕は彼女とのひと時に限りない幸せを感じていた。

だけど、そんな日々にも終わりが来る。

好きな人クイズの選択肢はいよいよなくなり、最終的に彼女は「私?」と言った。




はぁ。




僕はなんてことをしてしまったのだろう。

今では、とても勇気のある質問を彼女はしていたのだと思う。

そんな彼女にもっと真剣に向き合えばよかった。

その顔を赤らめて照れる彼女の姿にもっと積極的になればよかった。

だけど、僕は、そんな告白にも似た状況に耐えられず、誤魔化すように「そんなわけないだろ」と嘘をついた。

それからは、話す機会も減り、言葉にし難い気まずさがいつも漂った。


それから何ヶ月かが経ち、そんな日々も桜の開花と共に終わりを告げようとしている。


「もう卒業するんだ」

そんなことを思っていると後ろから、誰かに肩を叩かれた。それは幼稚園からの幼なじみでHと同じ塾に通っている友達だった。

「Hがお前のこと好きって言ってたよ」

突然の言葉になんて返したらいいのか分からなくなった。Hが俺のこと好き?そんなことあるのか。

少し戸惑ったが、僕は「へー、そうなんだ」と返事をして、とりあえず自分のクラスに戻った。

実はそんな気もしていた。

僕たちの学校では、1人1つ、クラブに参加するルールがある。その時、僕は彼女を追いかけるように彼女と同じクラブに入った。それは、卓球クラブで別に興味はなかったけど、彼女がいたから入った。

そして、しばらくした後、彼女が突然クラブ長になりたいと立候補し始めた。クラブ長は今まで不在だったから、すぐに彼女はクラブ長へ任命されたけど、当時は少し不思議に思った。まあ、クラブ長といっても名簿に記帳したり、グループを分けたりといった簡単な仕事しかない。

それで。ここからがちょっとした予感なんだけど、毎回グループのメンバーが変わるはずなのに、何故か僕と彼女だけいつも一緒だった。
僕たちの関係が気まずくなった時期くらいから、卒業間際までいつも一緒のグループだった。

なんか、ぎこちないなとかボディタッチの回数多いなとか思ったけど、“当時の僕”には何でもないことだった。


話は戻るが、幼なじみの友人に彼女の想いを告げられた私は 、



“他に好きな人がいるから、ごめん”


とそんな思いを心の中に留め、そのまま卒業式を迎えることになった。

そうだ。

僕は他の人を好きになってしまった。

いつしかの彼女との気まずさに耐えれなくなった僕は、もっと居心地良く楽しく話せる他の女性を好きになっていた。

だから、Hの気持ちも、幼なじみの言葉も、全部無視して他の女性を優先した。

今では、とても後悔してる。

自分の人生を振り返ったときに、僕を好きになり、アプローチしてくれた人はとても少なかった。まして、女子から嫌われていたはずの僕を、面白いからという理由で何度も話しかけ、好きになってくれた彼女を僕はなぜ無視してしまったのだろう。

そんな悔しさがいつまでも脳裏にへばりついている。

もう、後悔しかない。

もし、一度だけ人生をやり直すことができるのなら、僕は小学校6年生の自分に戻るだろう。


だって、唯一、僕を表面的なものの見方で決めつけなかった彼女がそこにいたから。

そんなことを今でも思ってる。

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