損害保険メガ4社カルテルで法人営業の現場で起きている事
日本には乗合代理店と言う制度があり複数社の損害保険会社と委託契約を結び複数社の商品を顧客に提供することが出来ます。これがゆえに、保険ブローカー(保険仲立人)が発達しなかったのは、以前の私のnote
で書きました。
乗合代理店は顧客の為に最適な保険商品を探す事が出来ます。
例えばA社では引受が困難な契約でもB社では何の問題も無く引受が出来ると、A社の専属代理店では契約できないがB社も取扱っている乗合代理店なら契約できるのです。このように乗合代理店は専属代理店より競走上有利なのです。
さらに、保険料が大きい法人契約になると補償条件を同一にして複数社に見積もりを依頼して、もっとも保険料が安い損害保険会社で契約する事が出来ます。
複数社に見積もりを依頼するには当然、契約内容やリスク状況などを顧客企業より入手しなくてはなりません。特に保険料を下げようと思えば、顧客企業のリスクが低いことを証明するヒヤリングシートや実際の保険対象の現場調査の結果等を入手して損害保険会社に提出します。
損害保険会社がカルテルで課徴金の支払い命令をされてからは、この様に見積もり依頼をする時に顧客企業側より情報を損害保険会社と共有して良いかの承諾書類に捺印して提出して、その書類を7年間保管する義務が発生しました。
また、その書類も各社バラバラ、外資系の損害保険会社では口頭の承諾でも良いと言うのです。
法人顧客が多く、常に複数社に見積もり依頼をしている損害保険募集人は業務が増えて困っています。
承諾書くらいは損害保険業界の共通の書式が作れないのでしょうか。
アメリカの保険ブローカー(保険仲立人)は顧客企業より指名状をもらいます。指名状が保険ブローカー(保険仲立人)から損害保険会社に提出されると、その企業の見積書は、指名状を提出した保険ブローカー(保険仲立人)にしか提示できないルールになっています。
乗合代理店の間では指名状の様なルールは存在しないので、情報はタダと考えるモラルの低い経営者に当たると、せっかくリスク情報を集めて複数社に見積もりを依頼して安い保険料を提示したとしても、同じ損害保険会社と委託のある銀行系や顧客企業と親密な代理店で契約されることもよくあり、競争にもアメリカの様に一定のルールが必要だと感じることが多くありました。
日本でも保険ブローカー(保険仲立人)には指名状あります。今後、損害保険の法人営業の分野では乗合代理店は衰退して保険ブローカー(保険仲立人)が主力のプレイヤーなると思います。